日本語専門家 派遣先情報・レポート
アイルランド教育省

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
アイルランド教育省
Department of Education, Ireland
(PPLI: Post-Primary Languages Ireland)
派遣先機関の位置付け及び業務内容
PPLIはフランス語とドイツ語に加え、新たに4つの外国語(日本語、イタリア語、スペイン語、ロシア語)の促進を目的に2000年に設立された。現在ではポーランド語、リトアニア語、ポルトガル語、中国語、ルーマニア語、韓国語も加わり、アイルランドにおける初等教育以降の現代外国語教育発展のために支援を行っている。国際交流基金日本語専門家は日本語教育アドバイザーとして高校の日本語教育支援を中心に、アイルランドの日本語教育全般のサポートを行っている。
所在地
Floor 5, The Liberty Insurance Building, Navan Road, Dublin 15 Ireland
国際交流基金からの派遣者数
専門家 1名
国際交流基金からの派遣開始年
2005年

多言語・多文化の中の日本語

アイルランド教育省 Department of Education, Ireland
(PPLI: Post-Primary Languages Ireland)
鵜飼香奈子

2022年1月に新型コロナウィルスの規制がほぼ撤廃されたアイルランド。アイルランドはヨーロッパの北西部に位置し北海道より少し大きく、人口は約500万人です。そんな日本からは決して近いとは言い難い国ですが、なんと人口比あたりの日本語学習者はヨーロッパで一番多いんです。
2005年から始まった国際交流基金(以下、JF)の日本語専門家(以下、専門家)は私で6人目となります。Post Primary Languages Ireland(以下、PPLI)というアイルランド教育省によって設立された機関に派遣されています。PPLIは主に中学、高校における外国語教育普及を目的とし、専門家はPPLIの一員として業務にあたっています。

初等教育への外国語導入

2023年3月にアイルランド教育省ノルマ・フォーリ大臣より初等教育カリキュラム改革の発表がありました。1999年に現在のカリキュラムが導入されて以降、初めての大改革です。新しいカリキュラムは全国カリキュラム・評価審議会(NCCA:National Council for Curriculum and Assessment)によって開発され以下7つのキーコンピテンシーが発表されました。

初等教育カリキュラム キーコンピテンシーの写真
初等教育カリキュラム キーコンピテンシー NCCA作成(※)

また今回のカリキュラム改革における変更点としてSTEM教育の強化、外国語教育の導入、アート教育の充実が挙げられます。外国語教育では2023年現在、学べる言語はまだ決まっていませんが、日本語も学習言語に含まれるようさまざまな活動を行っています。2021年から始まった小学校での外国語教育サンプルコース(参考:2022年度のレポート)での実践報告や日本語を教えられる小学校教員の発掘、2023年8月にはそれらの先生を対象とした研修などを予定しています。

外国語アシスタント

アイルランド教育省ではフランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、日本語の外国語アシスタントを中学校・高校に派遣しています。2022年は181名のアシスタントが活動中、日本語は2名のアシスタントが活躍されています。

オリエンテーションに参加した外国語アシスタントの皆さんの写真
オリエンテーションに参加した外国語アシスタントの皆さん

アシスタントは日本語クラスで先生のサポートはもちろんのこと、学内で日本語をアピールするためにポスターを作成、課外授業外の日本語クラブの運営、また今年はアイルランド全国で日本語を学習している学生が作った折り鶴をまとめ千羽鶴にし、広島へ届ける!ということもしています。
専門家はアシスタント募集から渡愛準備のサポート、そして活動中には勉強会を実施します。アシスタント達がアイルランドで充実した生活が過ごせるようサポートします。

アイルランドでは専門家が一人ですので業務は多岐にわたります。いつも柔軟に対応できるよう、これからもアンテナをはって活動を続けたいと思います。

※出典:National Council for Curriculum and Assessment (2023), Primary Curriculum Framework For Primary and Special Schools.

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