日本語専門家 派遣先情報・レポート
ニュージーランド教育省

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
トゥイトゥイア・ラーニングサークル
TuiTuia|Learning Circle(TTLC)
派遣先機関の位置付け及び業務内容
TuiTuia| Learning Circle(以下、TTLC)はオークランド大学の営利組織であるUniServicesの下部組織で、NZ教育省との契約に基づき、TTLCの言語教育チームがニュージーランドの初等・中等教育段階における外国語教育支援業務を担当している。日本語の他にスペイン語、中国語、ドイツ語、フランス語のナショナルアドバイザーがおり、ファシリテーターとともに学校訪問、教材提供、ワークショップの実施などを通じて、主にYear7-10における外国語教育の推進、普及活動を行っている。業務は多岐にわたり、訪日研修や日本とニュージーランドの言語・文化交流活動に対する助成金に関する業務なども行っている。
所在地
76 Epsom Campus, Epsom Avenue, Auckland, New Zealand
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年
1987年

現地で活動することの意味

TuiTuia| Learning Circle
深澤 香

 Kia ora koutou (みなさん、こんにちは)初対面の方に自己紹介をすると、所属先名について「TuiTuiaというのはどう意味ですか」とよく聞かれます。TuiTuiaはマーオリ語、Learning Circleは英語ですが、対訳になっているわけではありません。Tuiはニュージーランド固有の鳥の名前でTuiaweaving、編むという意味があるそうです。TuiTuiaには日本語を含む5言語の他、マーオリ語媒体の学校を支援するチーム、サモアやトンガなどのパシフィカ言語を支援するチームなどがありますが、日本語教育に特化しない派遣先というのは国際交流基金の派遣先の中でも珍しいのではないでしょうか。コロナ禍で予定通り渡航できず無事入国できるまで1年以上かかりましたが、現地に赴任しニュージーランド各地で奮闘されている日本語の先生を訪れるたび、パソコンの画面からはわからなかったことがたくさんあることに気づきます。


 TuiTuiaのアドバイザー業務の中でも特に重要だと思うものは学校訪問です。まず、赴任して初めてウェリントンにある高校を訪問したときのエピソードをご紹介します。全職員が集まってミーティングする部屋のホワイトボードに日本語アドバイザーの訪問のことが予定表に書かれていました。日本語に限らず、必修科目でない外国語科目の教師は学校に一人しかいないというケースも少なくなく孤立しがちです。授業見学やアクティビティの実施は担当教師や生徒に直接関わる支援ですが、そのような環境で学校訪問は現地の日本語教師の存在や活動を訪問先の学校内でも示すことができるいい機会であると感じました。
 また、ニュージーランドの南島の中でも最南端のまち、インバーカーギルには全部で5名の日本語の先生がいらっしゃいます。地球儀を見るかぎり、おそらく日本語教育が行われている最南端の地ではないかと思わずにいられません。ある学校で生徒対象に風呂敷ワークショップをしたときのことですが、事前に担当の先生からとても内気な生徒がいると聞いていました。授業始めの自己紹介では彼女の声はとても小さかったのですが、最後に「風呂敷で本を包みました。」と大きな声で誇らしげに話すのを聞いて思わず先生と顔を見合わせ、とても嬉しく思いました。


 ニュージーランドで日本語を教えている先生は都市部ばかりでなく地方にも散在しています。ワークショップなどの機会はできるだけ多くの人に提供したいと考えているので、現地に赴任してからも引き続きオンラインで行うことが多いですが、学校訪問は地方で孤軍奮闘している先生がさらに孤立しないよう意識して訪問先を選ぶようにしています。残りの任期、できるかぎり多くの学校に足を運びたいと思います。Ka kite koutou(みなさん、それではまた)

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