日本語専門家 派遣先情報・レポート
ジャカルタ日本文化センター(中等教育機関担当)

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ジャカルタ日本文化センター
The Japan Foundation, Jakarta
派遣先機関の位置付け及び業務内容
ジャカルタ日本文化センター派遣の日本語専門家として中部ジャワ州及びジョグジャカルタ特別州の日本語教育支援を行っている。主な業務内容は次の通りである。
  1. (1)高校日本語教師会支援(教師会への参加、勉強会の実施、文化祭運営サポート)
  2. (2)学校訪問を行い、授業見学・教授法指導及び校長に対する日本語プロモーション
  3. (3)地域にある大学での勉強会開催及び情報収集
  4. (4)ジャカルタ日本センターが実施する日本語教育事業への協力
所在地
Summitmas (2) Lt. 1-2, Jl. Jenderal Sudirman, Kav. 61-62 Jakarta 12190, Indonesia
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年
2008年

対面での活動が始まりました!

ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ・ジョグジャカルタ特別州)
村上 奈未

にほんご人フォーラムin ジョグジャカルタ特別州

 ジャカルタ日本文化センター(以下、JFジャカルタ)では、公益財団法人かめのり財団との共催事業としてにほんご人フォーラム(以下、JSフォーラム)を実施しています。このフォーラムでは、高校生がさまざまなトピックについて日本語を使って意見を述べたり、チームで考えをまとめたり、発表することを通して日本語運用力やチームで協働する力、批判的思考といったスキルの育成を目指しています。インドネシアでは対面での活動が制限された2021年度もオンラインを活用してJSフォーラムを実施しました。そして、ついに2022年度は対面でJSフォーラムを開催することができました *1。今回はジョグジャカルタ特別州(以下、ジョグジャカルタ) で行われたJSフォーラムについて紹介します 。
 ファシリテーターは、過去のJSフォーラム経験者4名と初参加の2名の6名の高校日本語教師が務めました。これに加えJFジャカルタから日本語専門家と現地講師、事務スタッフが加わり、総勢12名でJSフォーラム開催まで準備を行いました。ファシリテーターとは何度もミーティングを重ね、ジョグジャカルタのJSフォーラムでは「少年不良行為」を題材とし「もっとやさしい社会にしよう!」というテーマでプログラムを作ることが決まりました。このテーマを基にファシリテーターが中心となり、プログラムデザインを作りました。参加する高校生に考えてほしいことやそれに必要なインプット、アウトプットの方法や高校生が楽しめる仕組みなどさまざまなことを話し合いました。こうして完成したプログラムで2022年10月1日2日の2日間フォーラムを行いました。ジョグジャカルタの高校生24名が集まり、身近な少年不良行為を取り上げ、それぞれの不良行為について解決策を考えていきました。最後に「身近にある少年不良行為について、私たちにできることを考え、少年不良行為のないよりやさしい社会を目指す」をゴールに最終アウトプットとしてビデオ制作を行いました。高校生の作品はhttps://www.youtube.com/watch?v=V3668fXaGOwに公開されています。ぜひご覧ください。
 参加した高校生からは「アイデアを共有できる多くの素晴らしい人々と知り合うことができた」「友達の何人かが日本語を上手にマスターしているのを見て、最初は躊躇した。しかし、私たちは一緒に学んでいることに気付いた。だから、ディスカッションはより自信を持つのに役立った」といったコメントが寄せられました。また、連日にわたり準備を行ってきたファシリテーターの先生方もプログラム作成に時間をかけた分、得られた達成感が大きかったようです。ぜひ、今回の経験を各自の教育現場にも生かしてほしいです。

  1. *12022年度のインドネシアJSフォーラムは東ジャワ州スラバヤとジョグジャカルタの2地域開催で実施しました。

2年ぶりの対面での高校文化祭!

 中部ジャワ州とジョグジャカルタの日本語教師会が主催する高校文化祭が2023年1月に対面で開催されました。2年ぶりの対面で行われた文化祭の様子をお伝えします。パンデミック中はオンラインで文化祭が行われてきましたが、対面で文化祭ができるようになり日本語学習者にとって貴重な機会になりました。文化祭では①プレゼンテーション、②マンガコンテスト、③カラオケコンテスト、④日本語能力の4つのコンテストが行われ、合計で98名の応募がありました。多くの高校生が日本語・日本文化に興味を持ち続け、それぞれ得意なことでコンテストに参加してくれたことが嬉しかったです。また、文化祭には中部ジャワに派遣されている日本語パートナーズにも参加してもらい、浴衣体験・書道・ダンスのパフォーマンスをしていただきました。高校生にとって日本人に会えたことや日本文化に触れる機会となり、会場は大いに盛り上がりました。

文化祭のポスターの写真
文化祭のポスター

第2回全国プレゼンテーション大会の開催

 JFジャカルタでは日本語学習奨励事業として2020年度からプレゼンテーション大会を実施しています。2回目の本大会 は「私は日本語をこう使う!」というテーマに地域予選を勝ち抜いた14名がオンラインで全国大会に参加しました。全国大会ではプレゼンテーションの内容についてライブで質疑応答を行います。さまざまな質問に対し日本語で答えている高校生の姿は、インドネシアの日本語教育の成果を感じる瞬間です。また、その裏には各地で日本語の指導にあたる先生方の努力が垣間見える瞬間でもあります。地方大会・全国大会に参加してくれたみなさんの努力に大きな拍手を送りたいです。大会の様子はこちらからご覧いただけます。

最後に

2022年4月のレバラン前に任地に赴任をし、パソコンの画面越しで話していた先生方と直接お会いした時の感動は今でも忘れられません。任期中はたくさんの先生方に支えていただきました。関わってくださったすべての方に心から感謝をしています。この先もインドネシアの日本語教育が発展していくことを願っています。

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