日本語専門家　派遣先情報・レポート
ジャカルタ日本文化センター（西スマトラ州）

インドネシアの後期中等教育には、普通高校、宗教高校、専門高校の3種があり、専門高校では、自動車工学や会計といった専門高校ならではの科目のほかに、日本語も選択科目として学ばれています。

『にほんご☆ラクラク』サイト公開

　『にほんご☆ラクラク』は、2021年に国際交流基金ジャカルタ日本文化センター（以下、JFJA）が公開したインドネシアの専門高校向けの教材です。そして、2022年6月にJFJAは『にほんご☆ラクラク』サイトをオープンしました。同サイトでは、本冊のほかに、授業用スライド、語彙リスト、生徒用ワークブックの閲覧及びダウンロードができ、教師がすぐに『にほんご☆ラクラク』を導入できるようになっています。

『にほんご☆ラクラク』サイト

『にほんご☆ラクラク』書籍助成

　JFJAでは、専門高校の教師を支援するために、『にほんご☆ラクラク』に関連するワークショップのほかに、書籍助成を実施しました。『にほんご☆ラクラク』本冊はPDFファイルで無料でダウンロードできることが特徴の一つですが、教師から学校ではやはり本の形になっているほうが使いやすいという声があったことがきっかけでした。2022年度の書籍助成では、インドネシア全国の助成採用校に印刷版『にほんご☆ラクラク』を送ったほか、教師を対象に模擬授業を課題とするオンラインワークショップも実施しました。

学校訪問

　JFJA中等教育チームには、ジャカルタ、スマラン、パダンに計3名の日本語専門家がいます。そして、教師からの要請や日本語専門家からの声がけで、全国の学校を訪問し、授業に関する助言を行っています。パダン駐在の筆者は、パダンのある西スマトラ州を中心に学校訪問を行っています。
　先述の書籍助成には、西スマトラ州の学校も採用されましたが、2022年度はその中から3校を訪問しました。うち1校は2022年10月にインドネシア中学校・高等学校全国日本語教師会とJFJAが共催で実施したOlimpiade Guru Nationalと呼ばれる教授力大会で優勝した教師の学校です。学校訪問で実際に見学した同教師の授業は、『にほんご☆ラクラク』の特徴を生かしているだけでなく、生徒一人ひとりの様子に気を配っているものでした。地域のリーダー的存在として、近隣の若手教師の支援をお願いしました。残りの2校は、教授歴3年未満の若手教師が教える学校です。授業は改善が必要なところもありますが、ワークショップでの学びを生かしている姿を見て、今後の成長に大きく期待できると感じました。今後も教師の成長を促せるように、適宜、学校訪問や授業相談を行っていきます。

スマホを使って『にほんご☆ラクラク』の音声を聞く生徒