日本語専門家 派遣先情報・レポート
クアラルンプール日本文化センター

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
クアラルンプール日本文化センター
The Japan Foundation, Kuala Lumpur
派遣先機関の位置付け及び業務内容
国際交流基金の海外拠点のひとつ。マレーシアの各機関と連携し、日本語教育に関する幅広い業務を行っている。教師全般に対する支援として、教師研修会、「マレーシア日本語教育セミナー」「マレーシア日本語教育国際研究発表会」などを開催している。中等教育機関に対しては、中等教師向けの研修会の実施、教師養成コースへの協力などを行っている。学習者支援としては、JF日本語スタンダードに基づいた日本語講座の運営、中等生徒対象の弁論大会などを実施している。
所在地
18th Floor, Northpoint, Block B, Mid-Valley City, No.1, Medan Syed Putra, 59200 Kuala Lumpur, Malaysia
国際交流基金からの派遣者数
上級専門家:1名、専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年
1995年

中等教育日本語教師キャンプ

国際交流基金クアラルンプール日本文化センター
長田佳奈子、天願千里佳

 コロナ禍の影響で2020年以降、クアラルンプール日本文化センターは、マレーシア、シンガポール、ブルネイの日本語教師を対象にオンライン教師研修を行ってきました。居ながらにして研修に参加してもらえるメリットを生かし、引き続き、多様なテーマで研修を展開していけたらと考えていますが、一方、対面だからこそできることもあるため、今後どのように対面での研修を行っていくかが課題です。そんな中、2022年度は中等教育教師向けに対面での日本語教師キャンプを実施しました。

「中等教育日本語教師キャンプ2022」

 2022年8月から10月にかけて、かめのり財団、マレーシア教育省の協力を得て、「教師が自分の授業をふりかえり、日本語を教える目標を再考する」「参加者同士意見交換や情報交換を行う」「生徒の目線で教室活動を体験する」を目標に、マレーシア全国の中等教育教師を対象とした2泊3日の日本語教師キャンプを北部(イポー)、南部(マラッカ)、中央部(クアラルンプール)の3か所で行いました。参加教師は計88名(北部26名、南部24名、中央部38名)です。
 マレーシアの教育目標である「バランスの取れた人間の育成」のために日本語科目を通じてできることは何か、日本語を教える目的と意義を考えてもらったところ、さまざまな意見が出てきたのが印象的でした。「生徒が日本語でコミュニケーションできる力を育てること」だけでなく、「生徒が視野を広げ、異なる言語や文化に対し柔軟な対応ができるようになること」「生徒の日本の社会や文化を理解し、尊重する態度を育てること」を重視する教師も多かったです。その理由として「多民族国家のマレーシアでは、互いに理解しあうことがとても大事だから」「生徒がこの世界はまだまだ広いという意識を持ち、視野を広げることにつなげたい」などが挙げられていました。
 また、教室活動やゲーム、ポスター発表体験、アイデア交換の時間は盛り上がりました。参加者から「授業に役に立つ色々なゲームや活動を新たに勉強しました」「最初はポスター発表をすると聞いて不安だったけど、意外とおもしろかったです。今後どうやって自分の授業にとりいれるかが課題です」「一人で考えても、なかなかアイデアが出てこないので、他の教師とアイデアを共有したり、意見交換をしたりできて、すごく役に立ちます」などのコメントがありました。
 3日間のキャンプでは、日ごろの教授活動を客観的にふりかえり、新たに学んだことをどう生かしていくか、具体的に何をどう改善していくかまで考える時間が十分に取れなかったという反省点もありますが、アンケートに「改めて授業の目標を考えました。いい成績を取ることのほかに、生徒の視野を広げる活動も工夫しなければなりません」「長い間日本語教師として仕事をしてきましたが、日本語を教える目的と意義が再考できて、よい再出発になりました」というコメントもありました。久しぶりに集まった先生方は生き生きとしており、改めて「対面」で研修を行う意義や「温かさ」を感じました。
 中等教育の教師研修は、対面でのキャンプとオンライン研修を組み合わせて、実施しています。2023年の日本語教師キャンプで、先生方と再会するのが楽しみです。

  • 日本語教師キャンプの写真
    日本語を教える目的を再考しています
  • かるたをする教師たちの写真
    かるたで真剣勝負!
What We Do事業内容を知る