日本語専門家 派遣先情報・レポート
マニラ日本文化センター(セブ)

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
国際交流基金マニラ日本文化センター
The Japan Foundation, Manila
派遣先機関の位置付け及び業務内容

セブ島を中心としたヴィサヤ地域の日本語教育支援

  1. (1)中等教育における日本語プログラム支援
    • 教師研修の実施
    • 巡回指導の実施
    • 現地日本語教師の日本語能力向上についての指導など
  2. (2)ヴィサヤ地域における日本語教育活性化の支援
    • ANT-V(ヴィサヤ地域日本語教師会)の活動支援
    • スピーチコンテストのようなイベントへの参加など
  3. (3)マニラ日本文化センターがヴィサヤ地域で実施する日本語事業の支援
    • 専門家・講師の実施する教師研修の支援など
  4. (4)基金の日本語事業の実施・協力
    • 日本語パートナーズ派遣事業など
所在地
23/F Pacific Star Building, Sen. Gil Puyat Avenue corner Makati Avenue, Makati City, 1226 Philippines
国際交流基金からの派遣者数
専門家 1名
国際交流基金からの派遣開始年
2011年

 フィリピンにはマニラとセブに日本語専門家(以下、専門家)が派遣されており、フィリピンの日本語教育支援を行っています。セブには1名の専門家が派遣されており、公立の中等教育機関やセブを中心とするヴィサヤ地域の日本語教師会の活動支援をしています。2022年8月からようやく小学校、中学校、高校での対面授業が再開され、フィリピンの日常が少しずつ戻ってきています。今回は、久しぶりに対面が再開された中学校の日本語授業の様子や教師会の勉強会についてご紹介したいと思います。

学校に生徒が戻ってきました!

国際交流基金マニラ日本文化センター(セブ)
松田 涼子

 2020年3月から新型コロナウィルスの世界的流行により、フィリピンでは2年半もの間、生徒が登校することが許可されておらず、モジュール学習またはオンライン授業で日本語学習を継続していました。2021年にも日本語の先生たちとの意見交換のため、何度か学校を訪問していましたが、生徒のいない学校は静まりかえっていました。しかし、2022年8月よりようやく一部対面での授業が再開され、同年11月に完全対面授業に戻りました。
 対面授業が始まった学校の様子は今までとは全然違いました。学校に行くと、日本語を学習している生徒たちが笑顔で迎えてくれました。日本語を履修していない生徒たちも、少し恥ずかしそうに手を振ってくれます。授業見学の際には、生徒たちが楽しそうに、そして真剣に日本語を学習している姿を見ることができました。先生が言うことを聞き逃すまいとクラス中が先生に注目しています。先生は上手に生徒たちの関心や注目を引きながら授業を進めていきます。フィリピンの生徒たちは発表するのが好きなので、先生の質問に対して、ほぼ全員が手を挙げて、先生に当ててもらうのを待ちます。授業の終わりには、その日の授業で学んだことの振り返りを行います。日本語を学ぶのは決して簡単なことではありません。しかし、多くの生徒たちが日本語や日本文化を学ぶと同時に、フィリピン文化の再発見をし、相互理解に努めています。

授業の振り返りの様子の写真
授業の振り返りの様子

対面の勉強会、再開しました!

 セブ島を中心とするヴィサヤ地域には、ヴィサヤ地域日本語教師会があり、フィリピン人の日本語教師を中心として勉強会や研修などさまざまな活動をしています。2020年から集会が禁止され、月一回実施していた勉強会も中止せざるをえなくなりました。その後、しばらくしてからオンラインでの勉強会を始めましたが、対面の勉強会の再開を望む声も多く、オンラインでの勉強会の参加者はあまり多くありませんでした。その後ようやく2022年6月から対面での勉強会を再開することができました。
 勉強会では、教師会のメンバーが自分の授業での実践報告をしたり、活動を紹介したり、皆で協力しあって勉強会を実施しています。現在は自分の授業を改善するために、課題を見つけ、それに対して効果的だと思われる練習、活動などをクラスで実践し、どのような結果が出たのかを振り返るということをしています。勉強会参加者はさまざまな機関に所属しており、大学で教えている人、日本に働きに行く人に教えている人、セブにある日系企業内で教えている人など多様です。そのため、それぞれがそれぞれの課題を抱えており、参加者全員が同じ課題に取り組んでいるわけではありません。それでも勉強会で発表者の取り組みを聞く中で、授業改善のヒントを得ることができ、参加者それぞれがそれぞれの形で授業に反映しています。対象学習者や教える機関は違っても、自分の授業を改善したい、よりよい日本語授業を提供したいという思いは同じです。今後もっと多くのセブ地域の日本語教師が勉強会に参加し、皆で一緒に成長していければよいと思っています。

勉強会の写真
勉強会の様子

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