世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) コンケンの印象とコンケン大学日本語教育プログラムについて

コンケン大学
飯尾 幸司

みなさん初めまして。3週間ほど前からコンケン大学を拠点としてタイの東北部で仕事をさせていただいている飯尾幸司と申します。赴任したばかりの私がタイの日本語教育について語るのはおこがましいので、今回は私のコンケンの印象を中心にご報告したいと思います。

私の派遣先機関であるコンケン大学はその名のとおりコンケンにあるのですが、日本語教育関係者や大学関係者以外の方は、そんな名前は初めて聞いたという方が多いのではないでしょうか。もし地名は知っていたとしてもコンケンという町のイメージが具体的に浮かぶという方はごく少数だと思います。このことは一般のタイ人もあまり知らないのですが、2012年にタイ政府が行った調査によると、コンケンはタイで3番目の人口を誇る県で、なんとあのチェンマイよりも人口が多いそうです。町の中心にはCentralというタイ東北部で一番の近代的なショッピングモールがあり、そこにはスターバックス、資生堂、ダイソー、日本食レストランなども入っています。

私がコンケンに来て一番驚いたのは、町の中に日本のものが溢れているということです。バンコクには日本のものが何でもあるということは知っていたのですが、まさか地方都市がこういった状態になっているとは想像していませんでした。商品のパッケージ、町中の看板など、至るところで日本語を見かけますし、先ほどのショッピングモールにある10数件のレストランのうち、その半数以上を寿司、焼き肉、ラーメンなどの日本食レストランが占めています。また、日本人観光客が少ない割には日本語が話せる人が多く、ちなみにコンケン大学教育学部の学部長も日本語が流暢ですし、まだお会いしたことはありませんが、学長も日本に留学経験がおありだそうです。こういったことはこれまでのタイと日本の間で培われてきた友好関係の賜物なんだろうなあと思います。

タイでは1981年から高校の第二外国語として日本語が正式に採用され、現在では大学の入試科目にもなっていますが、このタイの日本語教育をこれから支えていくのが今回私が派遣されたコンケン大学の学生たちです。タイの高校は近年国際化を推し進めており、その流れで公務員の外国語教員を5年間で600人増やす(そのうちの200人が日本語教員)という方針が昨年タイ政府によって打ち出されました。タイで高校の外国語教員になるためには、教育実習期間1年を含めた5年間の教育課程を修了するのが一般的ですが、継続的に日本語教師を養成しているのはコンケン大学の教育学部のみで、もしその話が実現したら、コンケン大学教育学部日本語教育専攻の学生にとって、より公務員になれるチャンスが大きくなることになります。

実習の様子の写真
実習の様子
コンケン大学日本語教育プログラムの先生方の写真
コンケン大学日本語教育プログラムの先生方

コンケン大学の学生たちは最初の4年間で日本語と日本語教育を学び、そして5年生になると1年間の教育実習に出かけて行きます。今年も25名の実習生たちがこの5月にそれぞれの実習校へ散って行きました。私はこれまでに5校ほどの実習生受け入れ校に挨拶に行ったのですが、その時の実習生たちは緊張感に満ちた、引き締まった非常にいい顔をしており、それを見たとき私たち教師の責任の重さを実感するのと同時にやりがいを感じました。

右の写真は実習生が初めて高校のクラスに入って生徒たちと話しているときの写真です。

授業の準備はもちろん、実習先の先生方や生徒との人間関係など、きっといろいろ大変だろうと思いますが、私がコンケンにいる間に一人でも多くの実習生から、「先生、実習はとても大変でしたが、楽しかったです。」と聞けることを切に願ってやみません。そのために、2年か3年という短い派遣期間で私にできることは限られていると思いますが、受入機関の先生方と一緒になって、できることを一つずつ着実にやっていきたいと思っています。

以上、簡単ではありますが、これで今回の報告に代えさせていただきます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Khon Kaen University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
コンケン大学は1964年にタイ東北部で最初に設立された大学で、17学部および大学院を有するタイ東北部最大の総合大学である。教育学部、人文社会学部で日本語教育を行っている。日本語教育専門家は、教育学部日本語教育課程の運営サポート、日本語と日本語教育科目の指導、教育実習指導、タイ人講師のサポート、地域支援等を行う。
所在地 123 Mitraparp Highway, Khon Kaen City,40002 THAILAND
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
コンケン大学教育学部日本語教育プログラム
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   主専攻:2004年~
国際交流基金からの派遣開始年 2005年
コース種別
主専攻
現地教授スタッフ
常勤6名(内邦人3名)
学生の履修状況
履修者の内訳   1年生から5年生まで各学年30名前後
学習の主な動機 日本・日本人・日本語・日本文化への興味、日本語教師希望
卒業後の主な進路 日本語教師・日系企業就職・進学
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N3受験可能な程度
日本への留学人数 5名程度(私費留学)

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