世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) みなさんは生徒たちがいる町の名前を知らないかもしれません。でも生徒たちは、日本を知りたくて、そして日本語を勉強したくて、日々頑張っています。

国際交流基金バンコク日本文化センター
(タイ東北部中等教育機関)
武井 康次郎・福永 達士

東北の玄関口、ナコンラーチャシマー

外国語学部の建物の写真
外国語学部の建物

ナコンラーチャシマーと聞いて、すぐにどこだか分かった方はかなりのタイ通ではないでしょうか。地名を言うと、多くの方に「ナコン…島、ですか?」と勘違いされることも少なくありません。とはいえ、ナコンラーチャシマー県は首都バンコクに次いで2番目に人口が多い県で、東北地域の玄関口と言われている都市です。そして、その県中心部にあって、県内有数の女子中等学校として名を馳せるのがスラナリーウィッタヤー校(以下スラナリー校)です。生徒は約4000人で、外国語科目として、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語などが教えられています。国際交流基金の日本語専門家(以下、専門家)は2012年から派遣されています。

日本語専門家のミッション

ここで専門家に与えられたミッションは、タイ東北部における中等教育レベルの日本語教育の質的向上を図るともに、導入校・学習者数を拡大することです。主な業務はふたつです。ひとつは、配属先校であるスラナリー校への支援です。スラナリー校には、タイ人の日本語担当の先生が2名と、実習生が2名在籍しています。専門家は、その先生や実習生たちと一緒にティームティーチングを行ったり、教授法の助言、そして教材作成などを行ったりします。しかし、専門家の業務は配属先校だけにとどまりません。次なる主な業務は、タイ東北部全体における中等教育支援です。東北各地の日本語教育機関を訪問したり、また日本語教育のセミナーやワークショップを開催したり、日本語関連のイベントへの協力を行います。

前任から後任へバトンタッチ

2013年4月末に、東北地域に3年間赴任していた武井康次郎から、後任の福永達士にバトンが渡されました。下記は、ふたりのメッセージです。

タイ東北部に赴任して3年、そしてスラナリー校に着任してあっという間の1年でした。私はここで主に次のことを行いました。1)配属先校支援 2)タイ東北部の中学・高校訪問 3)コンケン大学主催のワークショップへの協力 4)日本語キャンプやスピーチコンテストなどのイベントへの協力 5)タイ東北部日本語教師のネットワークの構築。これらは、タイ東北部の中・高校生の中に日本文化や日本語のファンを増やすために行ったことです。私がやってきたことがこの地域に貢献できたかどうかは、まだ、わかりません。この東北地域で、引き続き日本語教育が発展し続けるよう、後任に託します。(武井)

5月から、新年度の日本語の授業がはじまりました。

日本語授業風景の写真
日本語授業風景

日本語を初めて学ぶ中学校3年生は今学期40名以上もいて、教室はいっぱいです。当初1クラスにしようと考えていましたが、2クラスに分けようか先生と相談中です。その最初のクラスでは、はじめて習った自己紹介の言葉を使って、友達同士で楽しそうに練習していました。日本人の私が会話のパートナーになると、ちょっと恥ずかしそうにしていますが、何度も言い直して、頑張って言うことができていました。そのクラスを担当する実習生も、毎回、授業の前には教案教材作成を頑張っています。授業後もフィードバック活動を通して、よりよい授業になるよう努力しています。

6月には、ナコンラーチャシマー県周辺で日本語教育を実施している中等学校の生徒が集まって、1泊2日の日本語キャンプを開催する予定です。今は、日本語の先生たちが集まって、この2日間に、どうやったら生徒たちが楽しく日本語と日本文化を学ぶことができるかを計画中です。そして7月には今年度1回目のコンケン大学主催の日本語教育ワークショップが開催されます。私も講師として参加します。東北地域全体からタイ人と日本人の先生たちが集まってともに勉強します。これからもますます東北地域の日本語教育を盛り上げていきます。(福永)

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Bangkok
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
専門家業務の拠点となるスラナリーウィッタヤー校は国立の6年制女子中等学校である。1997年に選択科目として開講、現在は専門科目として開講されている。専門家は日本語クラスをタイ人教師と協力して運営している。それ以外の業務として(1)タイ東北部の日本語教育実施中等教育機関への学校訪問および情報収集、(2)同地域のタイ人日本語教員に対する研修、(3)同地域のネットワーク構築などがある。
所在地 248 Mittraphap Rd.,A.Muang.,Nakhon Ratchasima 30000
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
外国語部
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   専攻:1997年から
国際交流基金からの派遣開始年 2012年
コース種別
日本語専攻、日本語選択、クラブ活動
現地教授スタッフ
常勤2名
学生の履修状況
履修者の内訳   中3:23  高1:44 高2:31
高3:29
学習の主な動機 日本語や日本文化への興味、日本企業への就職希望
卒業後の主な進路 大学進学
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N4程度
日本への留学人数 2,3年に一度

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