日本語専門家 派遣先情報・レポート
バンコク日本文化センター(北部中等)

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ユパラート・ウィッタヤライ学校
Yupparaj Wittayalai School
派遣先機関の位置付け及び業務内容
専門家の派遣先機関は、チェンマイ市内旧市街の中心部に位置しており、伝統ある有名校として知られるユパラート・ウィッタヤライ学校である。同校はタイ北部において、中等日本語教育のリーダー的役割を担うセンター校でもある。日本語コースは今年度で18年目を迎え、日本語専門家派遣も同じく18年目となる。日本語専門家は派遣先機関に対する日本語教育支援、及び教師研修の運営や学校訪問、巡回指導、教員間のネットワーク形成支援など北部地域全体に対する支援のほか、全国規模の中等教育機関関連イベント(日本語コンテストなど)への支援・協力も行う。
所在地
238 Praplokkloa Rd,. T. Sripoon, A. Muang, CHIANGMAI 50200
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年
2004年

タイ北部の現場より

ユパラート・ウィッタヤライ学校
木元 祐輔

 みなさん、こんにちは。私は2022年3月より、タイ第2の都市チェンマイにて、タイ北部・中等教育担当の日本語専門家(以下、専門家)として活動を行っています。私が担当しているのは、チェンマイを中心としたタイ北部の17県で、同地域の日本語教育の質の向上に資するさまざまな活動が担当業務になりますが、ここではそのうちの主なものについてご紹介したいと思います。

学校訪問

 専門家の大切な業務のひとつに学校訪問があります。私が担当しているタイ北部における中等教育機関(中学、高校)のうち、日本語科目を扱っている学校は約100校であり、それらの学校にコンタクトを取って日程を調整し、少しずつ訪問を行っています。
 学校訪問の目的は、実際の教育現場を回ることによる情報収集、実態(問題)把握、教師間ネットワークの構築(強化)、また授業見学を行ったうえでのフィードバックなど、多岐に亘ります。
 私がチェンマイに赴任した2022年3月頃は、まだ新型コロナウィルス流行の影響が強く、対面による日本(語)関連イベントも少ない状況でした。このため、北部地域で日本語教育に携わる先生方と面識を作ることが難しく、そのことが学校訪問を行うためのコンタクトを難しくすることにもつながり、最初は訪問がはかどらない状態でした。また、せっかく日程の調整がついて訪問が決まっても、訪問前に先方の先生やご家族が新型コロナに感染してしまい、予定をキャンセルせざるを得ない状況も多々ありました。
 そういった大変な状況が続いていましたが、感染状況は少しずつ改善し、2022年後半頃からは、対面でのイベントも例年通り行われるようになっており、まだまだ感染に気を付けながらも、学校訪問も大きな問題なく実施できるようになって来ています。
 そのようななか、2023年2月には、チェンマイ県の西に隣接するメーホンソン県を学校訪問のため訪れました。同県は全域が山間部となっており、交通も大変不便な環境です。日本語科目を扱う中等教育機関は県内に3校のみですが、学校所在地間の移動に使える公共交通機関もないため、各学校から車を出してもらい、それを使って移動しました。
 このように決して学習に便利とは言えない環境において、日本語を学ぶ生徒達がおり、また、日本語を教えてくれる先生方がいらっしゃることが大変嬉しく感じられ、一生懸命取り組む姿に感動も覚えました。
 日本語教育に従事する先生方にやる気を出してもらうことも、専門家の大切な職務です。赴任直後は、授業見学後のフィードバックでも、教え方の技術面を中心にアドバイスをすることが多かったのですが、最近はこの点にも留意しながらコメントするようにしています。今後も学校訪問を通して、タイ北部の日本語教育をサポートしていきたいと考えています。

派遣先支援、その他

 北部担当の専門家は、チェンマイ旧市街の中心に位置し、地域の日本語教育の中心ともなっている中等教育機関のひとつ、ユパラート・ウィッタヤライ学校(以下、ユパラート校)を拠点に活動を行っています。
 ユパラート校では、専門家のカウンターパートにあたる、日本語科目を教える5名のタイ人の先生方が勤務されています。専門家はここで、先生方からのリクエストに応じて授業に参加したり、試験に協力したりする他、外部機関との連絡において、日本語面でサポートを行ったり、日本語キャンプや日本語コンテストなど、さまざまなイベントに協力をしています。
 赴任当初は、授業についてはリクエストベースのみでの参加としており、専門家単独での授業は行っていなかったのですが、最近は生徒からの「もっと先生(専門家)と一緒に勉強したい」という声もあって、放課後に会話クラスも実施しています。これも業務のひとつではありますが、生徒からの期待に応えて活動を行うのは、専門家自身にとっても非常に嬉しいことであり、また生徒達と交流するための良い機会にもなっています。
 このような派遣先機関の支援を行うほか、日本語能力試験を実施する際の会場視察(運営への協力)、チェンマイ大学スピーチコンテストへの審査員としての参加、タイ北部大学生スピーチコンテストへの運営協力など、メインとなる中等教育支援だけでなく、北部地域全体の日本語教育に対する支援も専門家の業務となっています。上記のタイ北部大学生スピーチコンテストなど、在チェンマイ日本国総領事館と協力して業務に当たることも多いです。
 今後も、派遣先機関への支援はもちろん、北部地域全体の日本語教育に貢献するため、総領事館とも協力しつつ、活動していく予定です。

  • 派遣先のユパラート校の写真
    派遣先のユパラート校
  • 授業の風景の写真
    授業の風景
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