世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)HCMCの日本語教育

国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(ホーチミン担当)
佐藤直樹・藤島夕紀代

中等教育支援-文化紹介でレベルアップ

授業の様子
文化紹介-切り紙

ホーチミン市の中等教育機関では中学校3校、高校3校が日本語を導入しています。国際交流基金日本語専門家(以下、専門家)は中等教育レベルにおける日本語教育の質的向上のためベトナム人日本語教師(以下、現地教師)対象の研修会の実施や各学校を訪問して授業への協力、そして日本文化の紹介を行っています。

日本文化紹介はこれまで専門家が準備から実施までを主に担当していましたが、昨年度から現地教師主導型へと大きく変えました。当初は現地教師の負担が大きいかと心配しましたが、心配をよそに様々なアイデアを取り入れながらすばらしい文化紹介を考えてくれています。そして、資料の準備から実施に至るまで専門家をうまく使いながら実施できるようになってきました。写真は4月に行った「切り紙」の文化紹介です。日本の季節を学び、そして4月を代表する花「さくら」の花を切り紙で作りました。このセッションを考えたのも現地教師です。生徒たちの笑顔が現地教師と専門家の嬉しい瞬間です。

日本語導入校拡大

ホーチミン市の隣ビンズオン(Binh Duong)省では2014-2015年度より新たに7校の中等教育機関が日本語を導入する予定となっています。同省には日系企業の進出が多く日系デパートの建設も進んでいます。ホーチミン市南に位置するバリアブンタウ省においても日本語導入校が2校増える予定です。また、ホーチミン市内で新たに日本語学科を設置する予定の大学もあります。専門家として新規校の日本語導入がスムーズに進むよう各機関と協力しながら支援を実施していきたいと思っています。

ホーチミン市における日本語教育情報

《中等教育-日越高校生交流会》

日本ベトナム外交関係樹立40周年を迎えた昨年より修学旅行でホーチミン市を訪れる高校が急増しています。そして、修学旅行のプログラムの一つとして日本語導入校との交流会が実施されています。文化紹介・スポーツ交流・市内散策・ホームビジットなど様々な交流プログラムが行われ、ベトナム人生徒たちが同世代の日本人と触れ合うことができる貴重な場となっています。

《高等教育-上級レベルへの対応》

ホーチミン市の中学校・高校で日本語を導入していることから、大学受験においても外国語科目で日本語の選択が可能になっています。2014-15年度はホーチミン市内で日本語受験が可能な大学が8大学あります。そして、中等での日本語教育に合わせて大学1年次より初中級・中級クラスを用意している大学や飛び級制度を取り入れている大学も出てきています。今後は大学3年生・4年生向けの上級クラス(日本語能力試験N1レベル以上)のカリキュラム開発が課題となりそうです。

JF講座

続いて、JF日本語講座(以下、JF講座)についてご紹介します。2012年10月に開講したJF講座も2年目を迎え、受講生のレベルも上がってきました。今回は、ホーチミン市のJF講座ならではの取り組みについてお伝えしようと思います。

ホーチミン市のJF講座では、異文化理解を促進するため受講生によるグループ発表を行っています。教科書にある「自然を楽しむ観光地」「日本の正月休み」「伝統文化と今の生活」などのテーマから一つ選びグループで分担して調べ、発表原稿やスライドを日本語で作成し発表するというものです。受講生にとって日本語で原稿を書くのは少し難しいことですが、毎回、一生懸命に取り組んでいます。でも、あまりに真剣に取り組みすぎて、会社を休んでしまった受講生もいるとか…。

文化体験講座

ホーチミン市のJF講座では文化体験講座にも力を入れています。昨年は茶道、浴衣と盆踊り、お正月、和菓子作り、ひな祭りなどを題材にした文化体験講座を実施しました。その中で和菓子作りは2日間で定員がいっぱいになるほど大人気の講座となりました。和菓子作りを独学で習得したベトナム日本文化交流センタースタッフのChauさんが講師となり、桜や梅の練り切りと大福作りを体験してもらいました。事前に白あんと黒あんをそれぞれ60人分ずつ作るなど、準備が大変な講座でしたが、受講生の皆さんは繊細な和菓子の世界に触れ、日本文化への理解を深めたようです。

恋チュン

恋チュン参加者の写真
恋チュン撮影

2014年1月には、「恋するフォーチュンクッキー(世界の日本語学習者Ver.)」を撮影するプロジェクトも行いました。これは国際交流基金本部のプロジェクトですが、皆さん積極的に参加してくれました。踊りが得意なリーダーを中心に、休日や授業の前後に何度も集まって練習し撮影しました。一目でベトナムだとわかるようにしたいということで、ベトナム国旗のTシャツを着て、ベトナムの菅傘をかぶって踊りました。短い練習期間でしたので、あまり上手に踊れなかった人もいましたが、一つのものをみんなで力を合わせて作り上げていくという経験によって、受講生同士の連帯感や結びつきが高まったように感じています。ホーチミンバージョンもアップしてありますので、どうぞご覧ください。

JF講座では日本語学習だけではなく、異文化理解も大きな柱と位置付けられています。文化に関するグループ発表や文化体験講座などの機会を多く提供することで、受講生の異文化理解が進むことを願っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation Center for Cultural Exchange in Viet Nam
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金の海外拠点の一つとしてハノイに設置された。 日本語教育支援事業を中心に、様々な文化交流事業を実施している。日本語教育支援事業の中心に、ベトナム教育訓練省と在ベトナム日本国大使館が実施する「ベトナム中等学校における日本語教育試行プロジェクト」がある。具体的には、中等学校教師向け教師研修の実施、教科書制作、モデル中学・高校でのティームティーチング、巡回指導などが挙げられる。また、ホーチミン市でも2012年9月よりおもに一般成人を対象としたJF日本語教育スタンダード準拠日本語講座及び日本文化体験講座を開始した。
所在地 27 Quang Trung, Hoan Kiem, Hanoi, Viet Nam
国際交流基金からの派遣者数 専門家:2名、指導助手:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2008年

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