日本語専門家 派遣先情報・レポート
ミンスク国立言語大学

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ミンスク国立言語大学
Minsk State Linguistic University
派遣先機関の位置付け及び業務内容
ミンスク国立言語大学の日本語専攻は通訳翻訳学部の東洋語講座の1つとして設置されている。日本語専攻の学生募集は5年に一度、行われており、主にプロの通訳・翻訳家の育成を目指している。副専攻として日本語を学んでいるのは通訳学部と英語学部の学生である。専門家は授業を担当するとともに他教師へのアドバイスを行う。
所在地
St.Zakharova 21,Minsk,220034,Belarus
国際交流基金からの派遣者数
1名
日本語講座の所属学部、学科名称
通訳翻訳学部日本語専攻
日本語講座の概要

「オンライン特別授業の開講」

ミンスク国立言語大学
山岡洋輔

 配属先の一つであるミンスク国立言語大学は私のオンライン派遣業務が決まった2021年9月の段階では大学でオンライン授業を行える体制も設備もないため、授業を担当することができませんでした。しかし、2022年度に入ってから行っているベラルーシ日本語教師勉強会ではミンスク国立言語大学の先生や卒業生にもたくさん参加していただきました。勉強会で先生たちとさまざまな問題についていっしょに考えていくことで、徐々に信頼していただけたのか私の授業を取り入れてもらえるように学校側に相談してくださり、2022年9月から希望者を募って行う特別授業という形での開講が決まりました。

リポーターになろう!

 大学の正規授業ではない特別授業ということでかなりイレギュラーな体制となりました。対象者は1年以上日本語を勉強している学生(日本語だけの授業でも大丈夫な人)という制限のみをつけて募集したため、3年生から5年生までの学生が集まりました。もちろん日本語能力はバラバラです。授業は正規授業がない時間に学生は自宅から参加するという形です。発話能力の向上を目指す内容にしてほしいということ以外は講義内容も自由ということで、講義というよりはサークル活動のようなイメージで内容を考えることにしました。せっかくの特別授業なので、正規授業ではなかなかできない教室外で日本語を使う機会にしたいと思い、考えついたのがリポーターになって「日本語でベラルーシのことを発信する動画を撮る」というグループ活動です。第1弾は学内での「大学の施設紹介」をして手応えがあったので、第2弾はいよいよ学外活動「ミンスクの観光地紹介」をしました。オンラインによる指示出しだけでどこまでできるか不安な部分もありましたが、学生たちの積極的な協力のおかげですばらしい作品ができ上がりました。国内を対象としたスピーチコンテストもなくなり、日本関係のイベントが限られる中で学生たちが楽しんで日本語を使う機会を提供できてよかったと思います。

学生が作成した「ミンスク紹介リポート」の写真
学生が作成した「ミンスク紹介リポート」

協定校との交流に向けて

 授業で作成した動画が素晴らしかったので、いろいろな日本人に見てもらいたいと思うようになりました。当初はインターネット上での公開を考えたのですが、ベラルーシを取り巻く国際情勢への懸念からもっと限定的な方法を取った方がいいと思い至りました。そこで、協定校となっている関西の外国語大学に交流会の企画を提案してみたところ、ロシア語学科のほうでやはり国際情勢の悪化から留学が難しくなっているというお話を聞くことができました。日本側も学生のモチベーションや学習意欲の維持に困っていたのです。どんな形で開催できるかはまだまだこれからの展開次第ですが、第1回目の交流会は何とか私の任期中に達成したいと思っています。

今後の課題

 1年余分にかかってしまいましたが、環境的にも体制的にもオンライン環境が整わない中で放課後の特別授業とはいえ、授業を開講することができて、学生の指導に携わる機会をいただけたのは一つの成果と言えると思います。しかし、配属先は外国語大学ということで主専攻、副専攻合わせるとかなりの数の日本語のクラスが存在します。日本語の先生たちは少ない人数で多くのクラスを抱え、奮闘されています。現地に行けないことで特別授業しか担当できず、先生たちの負担を減らすことができていないのが何より心苦しいです。残りの任期も少なくなりましたが、日本からの遠隔業務でも可能な範囲で先生たちの負担を軽減し、教師サポートの面でお役に立てる方法を模索していきたいです。

What We Do事業内容を知る