世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)「つなぐ」を合言葉にネットワークとしてのセンターを目指して

ブダペスト日本文化センター
村上吉文・相川弓映

国際交流基金ブダペスト日本文化センター(以下、JFBP)では、ハンガリーを含む中東欧13か国の日本語教育支援や、センターにおける日本語講座の運営を行っています。今回は、中東欧13か国を担当する村上と、ハンガリー国内とセンターの日本語講座運営を担当する相川から、それぞれの仕事をご紹介します。

研修会とFacebookで教師ネットワークを強化!

まずは村上から、「外」のお仕事を紹介します。

国際交流基金の日本語教育機関調査によると、中東欧地域には現在493人の教師が学校などの機関に属して日本語を教えています。この日本語教師たちの間のネットワークを強化することも、JFBPの大切な業務の一つです。管轄国はポーランド、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、セルビア、スロバキア、スロヴェニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、マケドニア、コソボの13ヶ国です。

中東欧研修会の写真
中東欧研修会の様子

私たちはこれらの国々の先生方をブダペストにお呼びして年に一度研修会を行っていますが、これも地域のネットワークを作るには非常にいい機会になります。2015年は2月7,8日に実施し、私たち運営側も含めて11ヶ国57名の参加がありました。

しかし、年に一度顔を合わせるだけでは、ネットワークは簡単には育ちません。そこで、JFBPではFacebookにこの地域の日本語教師のコミュニティーを開設し、活発な情報交換を行っています。現在、会員数は187人で、これは先ほど申し上げた493人というこの地域の日本語教師の数に比べれば少ないものの、それぞれの国のFacebook利用率を掛けあわせると146人になりますので、とりあえずこの地域の日本語教師のうちのFacebookユーザーはほとんど網羅していると言っていいのではないでしょうか。グループ名は「いいね!中東欧の日本語教育」です。本欄をお読みで、この地域の日本語教育に関わっていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、Facebookでグループをご検索の上、お気軽にご参加くださいませ。

日本語でつながる「しゃべりゅんく」

では、次に相川から「中」のお仕事を紹介します。

JFBPでは今年度から毎月1回、「しゃべりゅんく」を開催することになりました。「しゃべりゅんく」とは、「しゃべる」をハンガリー語風に語尾変化させたもので、日本語学習者と日本人が自由に楽しく日本語で会話するという会です。独学で日本語を勉強してきた方、旅の途中でふらっと参加してくださった方、下は6歳(!)から年配の方まで、年齢も、職業も、国籍もバラバラ・・・そんな人たちが「日本語」というキーワードでつながっています。ワイワイ、ガヤガヤ…たっぷり1時間半話しているのに、「終了でーす!」と声をかけると、「えー!」と言われてしまいます。日本語でつながっている居心地の良い場所になりつつあるようです。

ブダペストにいらっしゃる方は、ぜひのぞいてみてください。

異文化をつなぐ日本語講座

続いて、もう少し「中」に入ったお話をします。

JFBPでは日本語講座を運営しています。本講座では、以下の4つのコースがあります。ハンガリー国内で作成された教科書『できる』を用いた総合日本語コース、入門者のための準備コース、さまざまなトピックについて学ぶトピックコース、そして文化体験を行う文化日本語コースです。

本講座の特徴は2つあります。1つは『できる』を用いていることです。『できる』は上述のようにハンガリー国内で作成された教科書で、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に基づき構成されています。『できる』という名前通り、ハンガリー人学習者が日本語で「できる」ようになるために作成された教科書です。また、『できる』では日本文化についての話題が数多く取り上げられています。日本語を学ぶだけではなく、教科書を通して日本文化を知り、ハンガリー文化を見つめ直すことができる教科書です。つまり、教室の中で、日本語を学びながら、異文化体験もできるのです。

囲碁の写真
囲碁に挑戦!

もう1つの特徴は、タブレットPCがあることです。写真は文化日本語コース「伝統ゲーム」の様子です。日本から遠く離れたハンガリーでは、日本の物を手に入れるのは容易ではありません。ですが、タブレットPCを使えば、実物の囲碁セットがなくても囲碁を楽しむことができます。最新機器が伝統文化と日本語学習者をつないでくれています。

JFBPはこれからも、人を、日本語を、日本文化をつなぐネットワーク構築を目指していきます!

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Budapest
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ブダペスト日本文化センターはハンガリーを含む中東欧計13か国を活動範囲とする広域事務所として位置付けられている。中東欧13か国の日本語普及およびアドバイザー業務を担当する日本語上級専門家と、ハンガリー国内およびセンターの日本語講座運営を担当する日本語専門家の計2名が派遣されている。
業務内容は、一般を対象とした日本語講座の運営をはじめ、研修会等の企画および実施、スピーチコンテスト等日本語関連行事への協力、日本語教育関連情報の収集と提供、日本語教育機関・教師への助言や支援、機関訪問等がある。また、日本-ハンガリー協力フォーラム事業で作成したCEFR準拠教材『できる』の普及にも力を入れている。
所在地 1062 Budapest, Aradi u. 8-10. Hungary
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2000年

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