日本語専門家 派遣先情報・レポート
カザフスタン日本人材開発センター

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
カザフスタン日本人材開発センター
Kazakhstan-Japan Center for Human Development
派遣先機関の位置付け及び業務内容
国際協力機構(JICA)とカザフスタン政府との協定により設立された機関で、日本語コース、ビジネスコース、相互理解の事業を行っている。2011年10月から、日本語コースはJF講座となり、2012年の2月から、アルマティでJF日本語教育スタンダード準拠の日本語教育が始まる。同年9月からは首都のアスタナ分室でもJF講座が始まる。日本語専門家は、JF講座をはじめカザフスタンの日本語教育支援として、教師養成や現地の教師の希望に応じたセミナーを開催も積極的に行っている。またカザフスタン日本語教師会(以下教師会)が行う弁論大会へのサポートを通し、教師会の自立発展に向けて活動している。
所在地
55, Zhandossov street, Almaty, Kazakhstan
国際交流基金からの派遣者数
専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年
2002年

カザフスタンの日本語教育

カザフスタン日本人材開発センター
井手 剛平

 皆さんはカザフスタンと言われて何かイメージが湧くでしょうか。私は現地に派遣されるまで、カザフスタンで暮らす人たちや街の具体的なイメージができませんでした。しかし、カザフスタンでは一般の人たちも日本のことをよく知っており、日本の車や製品を通して日本の技術力や品質に信頼を寄せ、日本人の考え方などに敬意や好印象を抱いている人が多くいます。

日本語教育の現場

 私の派遣先はカザフスタン日本人材開発センター(以下、KJC)という一般向けに日本語コースを提供しているセンターです。ここで日本語を勉強している皆さんをサポートすることが、私のメイン業務のひとつです。KJCでは、コミュニケーションを重視した教科書『まるごと』を使って入門から中級クラスまでを開講していて、若い学習者が多いこと(高校生や大学生がメイン)が特徴の一つです。そのため、今KJCで授業をしている先生たちの中には小さいころからKJCで日本語を勉強して先生となり、次の世代に日本語を教えている『まるごと』育ちの20代の先生もたくさんいます。
 学習者のサポートに加えて、そのような先生たちの支援をすることも私の役割のひとつです。セミナーや勉強会などを通して、先生たちの日本語力向上や先生としてのレベルアップをしてもらえるよう努力しています。支援にも色々な側面があるので、アドバイザーとして多角的なサポートができるようになりたいというのが私の現在の目標です。

KJCの入口の写真
KJCの入口の様子

戻ってきた対面イベント

 さて、このポストの業務には、教育現場だけではなく、カザフスタン全体で行われる日本や日本語関連イベントの支援も含まれます。カザフスタン教師会が中心になって企画、運営をしている「日本語弁論大会」はその一つです。今年は3年ぶりの対面開催ができましたが、弁士の緊張や熱意、お客さんの拍手や応援がダイレクトに伝わる対面の良さを改めて実感しました。また、KJCの学生に向けた「JAPAN CLUB」という交流イベントもコロナ禍以降初めて対面で実施しました。日本の正月に合わせてみんなで絵馬に願い事を書いたり、福笑いやかるたなどの日本の遊びを体験しました。そして2023年3月には「日本文化デー」という大規模な日本文化の紹介イベントを、首都のアスタナで10数年ぶりに実施しました。例年はKJCのメインオフィスがある最大都市アルマティのみでの開催でしたが、アスタナではこのようなイベントも少ないためか、会場が満員になっただけでなく、会場の外にまで長い入場待ちの列ができました。その様子を見て、この国の人たちの日本への関心の高さを改めて実感しました。

JAPAN CLUBで学生が願い事を書いた絵馬の写真
JAPAN CLUBで学生が願い事を書いた絵馬

 このように、日本語を教える教室という小さい単位から、国単位の大きなイベント運営にまで携わることができる点にこの業務のやりがいを感じています。多くの経験を積んで成長し、現地の皆さんに少しでも多くの貢献ができるようがんばりたいと思っています。

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