日本語専門家 派遣先情報・レポート
ブカレスト大学

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ブカレスト大学
University of Bucharest
派遣先機関の位置付け及び業務内容
ブカレスト大学の日本語専攻は、ルーマニア国内の日本語教育、日本文学研究の中心であり、日本語だけでなく日本文学、日本文化について幅広い知識を身につけるための教育が行われている。専門家は日本語専攻での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、現地教師へのアドバイスなどを行う。
所在地
Strada Pitar Moş nr. 7-13, Sector 1, Bucharest
国際交流基金からの派遣者数
専門家: 1名
日本語講座の所属学部、学科名称
ブカレスト大学外国語外国文学部東洋言語学科日本語専攻
日本語講座の概要

ルーマニアの日本・日本語関係行事

ブカレスト大学
本橋啓子

 ここルーマニアと日本は物理的には遠く離れていますが、実は日本や日本語に関するさまざまな行事が開催されています。今回は筆者が協力した2つの行事をご紹介します。

1.ブックフェスト2022

 ルーマニアでは毎年出版業界によりブックフェスト(国際図書展)が開催されています。2022年6月の第15回目は日本がゲスト国となり、5日間に渡り開催されました。ブックフェストでは書籍の展示・販売はもちろんのこと、70以上もの日本関連のイベントも行われ、筆者も派遣先機関であるブカレスト大学の教師や学生といっしょに参加しました。
 筆者は子ども向けコーナーを担当することとなり、同僚や学生と相談し、日本の昔話の紙芝居の披露と折り紙ワークショップを実施することとしました。まず、日本語専攻の図書室にある紙芝居をチェックし、学生の意見から「イラストがかわいいもの」を中心に、会場で披露するものを決めました。それから、ルーマニア語訳があるもの(卒業生が翻訳してくれたものです)はそれを再確認、ないものは翻訳作業を行いました。また、折り紙については、小さな子どもでも折れる簡単なものから大きな子ども向けの複雑なものまで数種類準備し、当日に望みました。
 このような行事があると、いつも驚かされるのは、授業ではわからない学生の隠された能力です。今回もふだんはおとなしい学生が『かちかち山』のタヌキになりきって子どもたちを大喜びさせたり、「ボクも鶴が折りたい~」と無理を言う小さな子どもに上手に教えていたりと、本当に感心させられました。
 2021年の着任時から1年間はコロナ禍のためオンライン授業が続き、学生の素顔が見られる機会は限られてしまっていましたが、今後はさまざまな行事でブカレスト大学の学生はもちろん、多くの日本語学習者に会いたいと思っています。

折り紙ワークショップの写真
折り紙ワークショップ

2.第7回日本語プレゼンテーション・コンテスト

 ルーマニアでは日本語学習者奨励行事として、2017年から「日本語プレゼンテーション・コンテスト」(以下、プレゼンコンテスト)が開催されています。これはルーマニア日本語教師会と在ルーマニア日本国大使館との共催ですが、筆者も運営メンバーとして、出場者の選抜、審査基準の作成、質疑応答の質問作成など、さまざまな面で協力しています。
 特に赴任してからの2年間、最も力を注いだことは「テーマ決め」でした。ルーマニアではプレゼンコンテストの前身は「スピーチコンテスト」だったそうですが、プレゼンコンテストに変わっても、出場者の発表内容にはあまり変化が見られなかったそうです。そこで運営メンバーで話し合い、「日本やルーマニアについて調べ、考えてもらう」ようなテーマを設定することにしました。2023年3月に実施されたプレゼンコンテストでは、A部門(初級)は「日本とルーマニアの昔話」、B部門(中・上級)は「日本の環境問題」というテーマを設定し、そのテーマに関連するプレゼンテーションをしてもらうこととしました。コンテスト終了後には、「テーマがあると内容がかぶりやすい」という心配もありましたが、「テーマがあることで、出場者が深く考えて発表するようになった」という意見も多く聞かれました。
 現在、ルーマニアの日本語学習者は2,000人弱(2021年度海外日本語教育機関調査より)ですが、彼らの声に耳を傾けつつ、関係者一同、広くアイディアを出し合って、学習者奨励行事をよりよいものとしていきたいと思っています。

プレゼンコンテストのポスターの写真
プレゼンコンテストのポスター

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