日本語教育通信 本ばこ 『上級へのとびら―コンテンツとマルチメディアで学ぶ日本語―』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『上級へのとびら―コンテンツとマルチメディアで学ぶ日本語―』

構成・執筆:岡まゆみ
総監修・文法解説:筒井通雄
執筆:近藤純子、江森祥子、花井善朗、石川智
出版社:くろしお出版

上級へのとびら

URL:http://www.tobira.9640.jp
発行年月:2009年7月
ISBN: 978-4-87424-447-0
判型・頁数:B5判・424頁
定価:3,465円

 初級の教科書を終えて、中級と呼ばれる段階に入ったものの、初級の時のように目に見える伸びが感じられず、学習への意欲も失いがち……そんな学習者はいませんか? 中級の道程は長く厳しいものですが、この教科書は、そんな学習者(授業時間で言えば250~300時間終了程度)が上級に入る「とびら」を開けることができるようにと考えられたものです。初級で習った文法や語彙・漢字を定着させながら、学習者の知的好奇心を満たす内容を聞いたり、話したり、書いたり、読んだりすることによって、上級への道を歩んでいくためにさまざまな工夫がされています。

中上級に必要な内容重視の構成

 まず、大きな特徴の一つは、この段階で求められる「内容のあるコミュニケーション」ができるようになるために、日本や日本人に関する幅広い知識や情報が提供されていることです。初級では日常的で身近な内容だけがコミュニケーションの対象でしたが、中級以上のコミュニケーションでは、多くの日本人が共有している一般常識や社会文化事情、伝統文化や歴史などに関する知識や関心が必要です。各課のテーマには「日本の地理」「日本のテクノロジー」「日本のポップカルチャー」「日本の政治」「世界と私の国の未来」など、また「文化ノート」と呼ばれるコラムのトピックには「お米の話」「日本の色々な迷信」「日本人のジェスチャー」「標準語と方言」などがあって、中上級にふさわしい上質なコミュニケーションを行う上で必要な「内容」が豊富に取り入れられています。

教科書を補完する専用ウェブサイト

 この教科書のもう一つの特徴は、インターネットの活用です。「とびらサイト」と呼ばれるウェブサイトに音声教材、会話練習用教材、ビデオ教材、単語や漢字の練習などが用意されており、学習者がこのサイトにアクセスして予習や復習をするようになっています。会話練習用のプログラムLanguage Partner Onlineでは、映像の中の人物と会話を練習したり、学習者自身の発話を録音したりすることができます。また、たとえば下の教材例にあるように、本文で読む内容に関連するサイトや読解補助ツールが利用できるサイトにリンクできるようになっています。

 単語の意味や文法の説明は英語で書かれているので、英語圏の学習者には使いやすいでしょう。

テキストの画像1
P.54
テキストの画像2
P.55

(横山紀子/日本語国際センター専任講師)

ページトップへ戻る