日本語教育通信 本ばこ 『中~上級日本語学習者用Voices From Japanありのままの日本を知る・語る』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『中~上級日本語学習者用Voices From Japanありのままの日本を知る・語る』

著者:永田由利子
出版社:くろしお出版

中~上級日本語学習者用Voices From Japanありのままの日本を知る・語る

URLhttp://www.9640.jp
発行年月:2009年10月
ISBN: 978-4-87424-453-1
判型・頁数:B5判、106頁、CD1枚
定価:1,890円

豊かな話し言葉の素材集として

 この教材は、日本の各地で生活しているさまざまな人の生の声を録音した素材集です。話題は、労働、生き方、家族、結婚、教育、親子関係、ジェネレーションによる考え方の違いなど、身近でありながら、国境を越えて多くの社会に共通する普遍的なものを扱っています。

 本書に登場する人は、学生、主婦、お年寄り、外国人などさまざまです。また、インタビューをそのまま収録しているので、「あのー、えーと」などのフィラー、繰り返し、言い換え、省略、俗語、方言などの話し言葉の特徴が入っていてとても自然です。

本書の構成

 本書は、「人生、働くことについて」「家族について」などの8つの大きなテーマに分かれています。各テーマは、ストーリーと呼ばれるいくつかのインタビュー(文字数200字~1000字)からなっています。このストーリーごとに、キーワード、内容確認の質問、話し合いのためのディスカッションポイント、さらに、活動を発展させるためのアイデアが載せられています。

授業での利用の仕方

 この教材は、ストーリーをもとに自由なディスカッションに発展させることを目指して作られています。そのため、まず、ストーリーを聞いて、キーワードだと思うことを3つ考えてグループで意見交換します。次に「内容確認」の質問にそってストーリーの理解を確かめた後、「ディスカッション」の質問(図参照)を見ながら、自分の意見や経験を出し合います。この自由な話し合いこそが、この教材の醍醐味と言えるでしょう。さらに、時間がある学習者のためには、「発展活動」として、グループでインタビュープロジェクトを行う、ディベートをする、作文(エッセイ)を書く、リサーチプロジェクトを行うなどの活動のアイデアが準備されています。これらの発展活動は、コース全体のシラバスや期間を考慮して、学習者にとっておもしろそうなものを組み込むとよいでしょう。

 また、ここでは、授業での利用の仕方を中心に説明しましたが、ストーリーを聞いてみる、そこで考えたことを自分で書いてみるといった独習的な使い方も十分に可能だと思われます。

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(藤長かおる/日本語国際センター専任講師)

日本語国際センター図書館

「日本語教育通信」の「本ばこ」では、新しく出版された図書の紹介を行っていますが、日本語の教材や、日本語、日本語教育関連の図書についての情報がほしいときは、日本語国際センター図書館のホームページもぜひ利用してください。

日本語国際センター図書館
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/j_lbrary.html

2010年3月のテーマ展示「作文・論文作成法を学ぶ教材」
http://jli-opac.jpf.go.jp/display/201003.html

図書館蔵書検索
http://jli-opac.jpf.go.jp/mylimedio/search/search-input.do?lang=ja

日本語教育ナビゲーション
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/navigation.html

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