日本語教育通信 本ばこ 『日本語を教えるための 第二言語習得論入門』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『日本語を教えるための 第二言語習得論入門』

著者:大関浩美
監修:白井恭弘
出版社:くろしお出版

日本語を教えるための 第二言語習得論入門

URLhttp://www.9640.jp
発行年月:2010年6月
ISBN:978-4-87424-480-7
判型・頁数:A5判、203ページ

 「学習者が間違えたところをどうやって訂正したら効果的なんだろう?」、「どんな順番で教えたらいいの?」、「授業内活動はどうやって組み立てよう」、こんな悩みを抱えたことがある人も少なくないでしょう。そんな時、これまでの第二言語習得研究でわかってきたことを手がかりに、自分の教育現場を観察したり、分析したりすることによって、新しい発見があったり、今までとは違った角度からの考え方が生まれたりするかもしれません。

基本的な理論から実践まで

 この本は、著者が日本国内の大学でおこなっている「第二言語習得論」の授業シラバスにほぼ沿っており、大学で日本語教育を学ぶ学生の教科書として利用することができます。また、第二言語習得論の基本的な知識を学ぶだけではなく、そこで得た知識を教師としてどのように生かしていくことができるのかという視点で各章が構成されており、現職の日本語教師が自分の教育現場と照らしながら読むことができます。最終章を除いて、各章の最後に「この章のまとめ」と「練習問題」があり、後で、要点を見直したり、さらに自分自身で考えを深めていく手助けとなります。構成は、次のようになっています。

第1章 第二言語習得論とは
第2章 中間言語・学習者独自の言語体系
第3章 学習者の母語は第二言語習得にどう影響するのか
第4章 習得には決まった順序があるのか
第5章 必要なのはインプットかアウトプットか
第6章 文法を教えることに効果はあるのか
第7章 教室で何ができるのか
第8章 言語習得に及ぼす年齢の影響
第9章 言語習得に及ぼす個人差の影響(1)
第10章 言語習得に及ぼす個人差の影響(2)
第11章 まとめ:教室で私たちにできること

 前半の第1章から第6章では、主にこれまでの第二言語習得研究の流れや研究でわかってきたことを、日本語教育の現場と結びつけながら解説しています。第7章では、前半の知識を踏まえながら、習得の促進という点から、教室での実際にどのように指導すればいいのかを考えるヒントが書かれています。第8章から第10章では、私たちが学習者の多様性を考えるためのさまざまな視点を紹介しています。最終章の第11章では、教育現場への応用という点から、日本語を学ぶ人の習得過程に教師がどのように関わっていけるかを見つめなおすきっかけを与えてくれるでしょう。

 全体として、第二言語習得論の知見をどのように日本語教育の実践に応用していくことができるかを、読み手自身が自分の教育現場に照らして問いかけながら読み進めていけることができます。

充実した引用文献を利用しよう

 本文中には、最新の第二言語習得論の研究成果が数多く引用されています。また、巻末の引用文献が充実しており、自分が興味をもったテーマや引用箇所について、さらに掘り下げて調べたりするのにも便利です。

 すでに日本語教師として現場に立っている人、これから日本語教師を目指そうとしている人、第二言語習得に興味がある人、研究を始めたい人、それぞれの立場の人に役立つ1冊でしょう。

74ページ
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(稲葉和栄/日本語国際センター客員講師)

日本語国際センター図書館

「日本語教育通信」の「本ばこ」では、新しく出版された図書の紹介を行っていますが、日本語の教材や、日本語、日本語教育関連の図書についての情報がほしいときは、日本語国際センター図書館のホームページもぜひ利用してください。

日本語国際センター図書館
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/j_lbrary.html

10月のテーマ展示「新聞記事を使った日本語教材」
http://jli-opac.jpf.go.jp/display2/201010.html

図書館蔵書検索
http://jli-opac.jpf.go.jp/mylimedio/search/search-input.do?lang=ja

日本語教育ナビゲーション
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/navigation.html

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