日本語教育通信 本ばこ 『楽しく覚えるにほんご語彙・表現 初級者のためのアクティビティ61』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『楽しく覚えるにほんご語彙・表現 初級者のためのアクティビティ61』

著者:中村春子、マリア・フェルナンデス
出版社:The Japan Times

楽しく覚えるにほんご語彙・表現 初級者のためのアクティビティ61

URLhttp://bookclub.japantimes.co.jp/
発行年月:2010年9月
ISBN:978-4-7890-1405-2
判型・頁数:A5変形、151頁

 「日本語を習うのは楽しいけれど、覚えるのは大変」というのをよく耳にします。日本語に限らず、新しい言語を学ぶのは刺激的で楽しいことですが、たくさんの単語を機械的に覚えるのは、大変で次第に難しくなっていくでしょう。

 みなさんは、学習者にどうやって覚えるように指導していますか。訳語つきの語彙リストを渡し、「次の授業まで覚えてきてください」とか「来週、覚えたかどうかテストします」と言えば、学習者はみんなしっかり覚えてきてくれますか。みなさんが勉強したときは、どうやって覚えていましたか。

 この本は、初級の語彙や表現を簡単なゲームで覚える方法を紹介しています。

選んで使う61ゲーム

 全部で61の活動が紹介されています。それぞれの課が独立しているモジュール型なので、必要に応じて選んで使うことができます。学習項目は、次の25種類です。

 あいさつ/教室の言葉/国の名前/職業/数字/時/日常行為を表す言葉/色/町の中の場所/乗り物/位置を表す言葉/家族/食べ物/食器/数え方/服飾/住居/体の部位/容姿を表す言葉/性格を表す言葉/スポーツ/動きを表す言葉/趣味/感情と状態を表す言葉/動物

すぐに使える絵カードや練習シートつき

 各課に、ペアワークやグループワークなどの活動形式、学習語彙、用意するもの、活動の進め方、アドバイスや解答などが示されています。そして、ほとんどの課に絵や練習シートがついています。本のサイズがA5ほどの大きさなので、必要に応じて拡大コピーをして使うといいでしょう。巻末には、切ってそのまま使えるカラーの絵カードもついています。

学習者に合わせて工夫する

 1回の活動で扱う語彙は、日常生活でよく使われるもので数もしぼられていますが、学習者に合わせて、多ければ減らし、必要なものがあれば加えることができます。絵カードを利用して他のゲームを考えてみるのもいいでしょう。

 また、あくまでも語彙の導入や復習のためのゲームなので、想定されている学習者同士の会話は、「これは『おはよう』ですか」や「私は2番と9番に印を付けました」のように、日常生活で使う場面とは関係なく教室活動のための会話がほとんどです。

 授業で使う前に一度、教師同士で実際にやってみて、わかりにくいところはないか、学習語彙は活動の中でどのように使われるかなどを確かめて、自分たちの学習者に合わせた工夫を加えてから使うといいでしょう。

P.10(小松知子/日本語国際センター客員講師)の図P.10 P.11(小松知子/日本語国際センター客員講師)の図P.11

(小松知子/日本語国際センター客員講師)

日本語国際センター図書館

「日本語教育通信」の「本ばこ」では、新しく出版された図書の紹介を行っていますが、日本語の教材や、日本語、日本語教育関連の図書についての情報がほしいときは、日本語国際センター図書館のホームページもぜひ利用してください。

日本語国際センター図書館
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/j_lbrary.html

2月のテーマ展示「「『日本語教育通信』66号「本ばこ」掲載資料」
http://jli-opac.jpf.go.jp/display2/201102.html

図書館蔵書検索
http://jli-opac.jpf.go.jp/mylimedio/search/search-input.do?lang=ja

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