日本語教育通信 本ばこ 『わたしのにほんご 初級から話せるわたしの気持ち・わたしの考え』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『わたしのにほんご 初級から話せるわたしの気持ち・わたしの考え』

著者:杉浦千里・小野寺志津・ボイクマン総子
出版社:くろしお出版

日本語で自己表現したい学習者のために わたしのにほんご 初級から話せるわたしの気持ち・わたしの考え

URLhttp://www.9640.jp/xoops/
発行年月:2011年3月
ISBN:978-4-87424-516-3
判型・頁数:B5判、144ページ

 「授業でいろいろな表現やことばを習っているのに話せるようにならない」という学習者の声をよく聞きます。そんな学習者を前に、先生は教室でどんな活動をすればいいのでしょうか。本書は、初級学習者(入門期から初中級まで)を対象に、習った日本語で自己表現ができるようになることを目標にして書かれたものです。

1 自分の気持ち、自分の考えを話す

 本書は全18課で、活動の基本となるテキストは「ストーリー」と呼ばれています。ストーリーは各課に3つ~6つあり、これらは文型や話の流れが共通しています。ストーリーの内容は全課を通して、話し手自身の気持ちや考えを表わすものです。

  ストーリーの例
LESSON7
びっくりしました
きんようびに、ゆうびんきょくにいきました。じゅうしょをかんじでかきました。ゆうびんきょくのひとは、びっくりしました。どうしてですか。わかりません。
LESSON13
何か言いたい
きのう、デートをしました。デートの前に髪を切りました。ボーイフレンドは「新しいヘアースタイル、いいね」と言いました。私は「ありがとう」と言いました。とてもうれしかったです。

 前半の課はストーリーが単調になりがちかもしれませんが、使える日本語が限られていても、自己表現はできるという点が重要です。また後半は、文型や語彙が増える分、内容もおもしろくなります。ストーリーには全課を通して、文化理解の視点なども取り入れられていて、深い学習につなげられそうです。

2 4技能を統合的にバランスよく使う

教室活動の手順の画像

 本書の目標は話すことですが、学習プロセスで4技能を統合的に使います。右のように、活動は順を追って丁寧に展開されているので、学習者を無理なく話すことへ誘導できるでしょう。Ⅱ~Ⅳはいわば話すための準備の活動です。学習者はストーリーを聞いて口頭で再生する、読む、書くことで「話すパターン」を自分の中に取り込みます。再生は、一文ずつ記憶するのではなく、全体の意味把握を重視します。ⅤとⅥは最も大切な活動です。Ⅴではペアで話しながら自分のストーリーを作り、Ⅵではクラスメイトの前でその
ストーリーを話します。

3 いろいろな使い方が可能

 本書は大学、日本語学校、ボランティア教室等で主教材、副教材として使用できるでしょう。特に文型シラバスの教科書との併用は効果的だと思われます。巻末にはいくつかの初級教科書との学習項目対照表もあり、進度確認がしやすくなっています。また、日本国内、海外の学習者で、話す力を伸ばすことにむずかしさを感じている人にも参考になるでしょう。自己表現をする楽しさは、日本語学習の継続動機にもきっとつながるはずです。

P.40(来嶋洋美/日本語国際センター専任講師)の図
P.40
P.41(来嶋洋美/日本語国際センター専任講師)の図
P.41

(来嶋洋美/日本語国際センター専任講師)

日本語国際センター図書館

「日本語教育通信」の「本ばこ」では、新しく出版された図書の紹介を行っていますが、日本語の教材や、日本語、日本語教育関連の図書についての情報がほしいときは、日本語国際センター図書館のホームページもぜひ利用してください。

日本語国際センター図書館
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/j_lbrary.html

図書館蔵書検索
http://jli-opac.jpf.go.jp/mylimedio/search/search-input.do?lang=ja

日本語教育ナビゲーション
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/navigation.html

ページトップへ戻る