日本語教育通信 本ばこ 『新にほんご<生活の漢字> 漢字み~つけた』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『新にほんご<生活の漢字> 漢字み~つけた』

著者:『生活の漢字』を考える会
出版社:アルク

新にほんご<生活の漢字>漢字み~つけた

URLhttp://www.alc.co.jp/
書籍情報:http://shop.alc.co.jp/spg/v/-/-/-/7010047/
発行年月:2011年1月
ISBN:978-4-7574-1953-7
判型・頁数:B5判、156ページ

 漢字圏の人はともかく、自分の国で一所懸命漢字を勉強した人でさえ、初めて日本に来ると、まだまだ知らない漢字や漢字語彙がたくさんあることを思い知らされます。だれもがする買い物、だれもが使うトイレ、あるいは体調を崩して行く病院などで出会う理解できない漢字……時と場合によっては問題につながりかねません。そんな漢字も含めた、日本での生活に密着した漢字を集めた教材です。

自由に使える

 この本は漢字を勉強したことのない学習者、とりわけ日本で生活している学習者を対象に書かれており、日本人のボランティアの方が教室などで使用するために作られました。同様の趣旨で作られた『新にほんご<あいうえお>』というひらがな・カタカナを勉強するための教科書の続編です。
 全体は、「カレンダー」、「トイレ」、「うちの台所」、「ごみ」、「駅」、「買い物」、「日本人の名前」、「どこに住んでいますか」、「パート・アルバイトを探します」、「病院」、「銀行」、「郵便受けに入っているもの」の12のトピックで構成されています。「テキストの使い方」には第一課の「カレンダー」が終わったら、後はどの課を勉強しても構わないと書いてあります。学習者のニーズや興味に応じて自由に使うことができます。

漢字を文字として認識し、情報を得る力を付けるために

 この本が目標としていることは二つあるのですが、第一は漢字を見て目的が達成できる力を付けることです。今盛んに言われている「課題遂行能力」を付けることです。そのために実物の写真がふんだんに使われています。漢字を順序立てて学習するためのいわゆる漢字の教材でもこうした写真が使われていますが、生活に密着した漢字という切り口で一冊にまとまっているという点でとても便利です。

漢字に興味を持ち、学習を続けていく姿勢につなげるために

 第二の目的は、漢字学習の動機付けです。写真でも実際に漢字が使われているものであれば、臨場感が漂ってきます。そうした臨場感をうまく使いながら漢字学習の「ばね」にすることはとても有効です。そうした意味でこの教科書は教師にとっても学習者にとってもいい入り口になるでしょう。足りないものはインターネットでダウンロードして追加していきましょう。レアリアがあったらどんどん集めて使っていきましょう。

使いにくい場合は

 前にも書きましたが、この本は日本人のボランティアが使うことを目的に書かれています。ですから、非漢字圏の外国人の日本語教師にとっては使いにくいかもしれません。でも、振り仮名付ですのでその気になれば辞書を引いたり、日本人が身近にいたら分からないところを聞いたりすれば、十分使えるはずです。主教材として使いにくければ副教材として使うという手もあります。いずれにしろもう言い古された言葉ですが、「教科書を教えるのではなく、教科書で教える」なのですから。

P.44(白井 桂/日本語国際センター専任講師)の図P.44 P.120(白井 桂/日本語国際センター専任講師)の図P.120

(白井 桂/日本語国際センター専任講師)

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