日本語教育通信 本ばこ 『役割語研究の展開』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『役割語研究の展開』

著者:金水敏
出版社:くろしお出版

役割語研究の展開

URLhttp://www.9640.jp/
書籍情報:http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?
book_id=17707&prev=new
発行年月:2011年05月
ISBN:978-4-87424-522-4
判型・頁数:A5判 324ページ

 本書は「役割語」研究の論文集です。2007年に編集された『役割語研究の地平』(くろしお出版)の続編になります。「役割語」とは、話し方のヴァリエーションの一つで、たとえば、「わしが知っておる」といえば、発話者は「老人」であり、「私は知っててよ」といえば「お嬢様」、「拙者が存じておる」といえば「武士」という「キャラクタ」がイメージできます。この「キャラクタ」に応じたしゃべり方を「役割語」といいます。つまり、「ある特定の言葉遣い(語彙・語法・言い回し・イントネーション等)を聞くと特定の人物像(年齢、性別、職業、階層、時代、容姿・風貌、性格等)を思い浮かべることができるとき、あるいはある特定の人物像を提示されると、その人物がいかにも使用しそうな言葉遣いを思い浮かべることができるとき」(金水敏(2003)『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』)の言葉遣いです。

役割語研究の現在を示す15本の論文

 本論文集は5部に分かれています。
 第1部「キャラクタをめぐって」は、役割語とキャラクタの関係、キャラクタと文法変化、コンテクストとの関係など、3本の論文からなっています。
 第2部「教育と役割語」では、韓国の日本語教科書における役割語の役割と、翻訳という枠組みの中で役割語が持つ意義を論じた、実用・応用的側面を持った2本の論文、
 第3部「外国語と役割語」では、スポーツ放送の翻訳テロップでの役割語の分析、コミックにおけるフランス語、ドイツ語の役割語の対照研究の論文3本、
 第4部「さまざまな役割語」では、アニメ『風の谷のナウシカ』のキャラクタ、映像メディアの中の「沖縄人」、「幼児語」や西洋人キャラクタの「片言日本語」など、役割語のヴァリエーションについての論文5本、
 第5部「ツンデレをめぐって」では、「ツンデレ」というコミック/アニメに特異なキャラクタの表現を分析した論文が2本おさめられています。

「オレがナンバー1だ!」

 スポーツ放送の翻訳テロップでは、ウサイン・ボルト選手はいつも「オレ」と言い、マイケル・フェルプス選手は「僕」と言います。また、イシンバエワ選手は「記録を出す秘訣なんてない」というような言い方(訳され方)をします。なぜでしょうか。本書を読めばその理由がわかります。
 今まで役割語について詳しく知らなかった方も、本書を通じて、役割語研究の世界にいざなわれることでしょう。また、アニメ・漫画を授業に取り入れたいと考えている教師にとっても本書はよい参考となるはずです。

P.102(生田守/日本語国際センター専任講師)の図
P.102
P.110(生田守/日本語国際センター専任講師)の図
P.110

(生田守/日本語国際センター専任講師)

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