日本語教育通信 本ばこ JF日本語教育スタンダード準拠の日本語コースブック『まるごと 日本のことばと文化 初級1A2』<かつどう><りかい>

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

JF日本語教育スタンダード準拠の日本語コースブック
『まるごと 日本のことばと文化 初級1A2』<かつどう><りかい>

編著者:独立行政法人国際交流基金 来嶋洋美、柴原智代、八田直美、今井寿枝、木谷直之
出版社:三修社(http://www.sanshusha.co.jp/

『 まるごと 日本のことばと文化 初級1A2 』<かつどう>
『 まるごと 日本のことばと文化 初級1A2 』<りかい>

 本書は「相互理解のための日本語」をコンセプトに開発された『まるごと 日本のことばと文化 入門 A1』(2013年10月刊行)に続くシリーズ教材です。JF日本語教育スタンダードのA2とは、あまり複雑でない日本語で日常的なコミュニケーションができるレベルです。

さまざまなトピック

 本書は入門A1と同様、成人学習者が日本語と日本文化を楽しく学べる内容になっています。例えば、トピック「きせつと天気」「私の町」では、日本の四季の変化や東京の観光スポットが写真やイラストとともに紹介されています。また「私とかぞく」「外国語と外国文化」「そとで食べる」では、様々な国の言語や文化が関係し合う日常生活を背景にした会話を学びます。「出張」「けんこう」なども成人学習者や社会人の関心をよぶところでしょう。

 <かつどう>と<りかい>のトピック(両編共通)は次の通りです。

  1. 私とかぞく
  2. きせつと天気
  3. 私の町
  4. 出かける
  5. 外国語と外国文化
  6. そとで食べる
  7. 出張
  8. けんこう
  9. お祝い

<かつどう><りかい>の使い分け

 <かつどう>は日本語を聞き話すという技能中心の本、<りかい>は文型・文法等の言語項目の学習が中心になっています。両編はトピックと場面が共通なので、学習ニーズや学習環境によって単独使用も併用も可能です。入門A1からの継続学習者のほかに、<かつどう>は、話すことが苦手な既習者が会話力をつけるために利用することもできるでしょう。<りかい>は文型・文法練習をトピック・場面で文脈化し、音声も利用する新しい方法をとります。日本語の文法・文型が苦手な学習者が復習に使ってみることもできそうです。

「生活と文化」で話題の豊富な授業に

 <かつどう>の各トピックの最後には、トピックに関係のある日本事情や文化の話題を取り上げた「生活と文化」があります。例えばトピック「そとで食べる」では、色々な場面で日本人が食べるお弁当について紹介しています。このページを使って、自分の国のお弁当の習慣などについて話したり、日本の"キャラ弁"について取り上げてもおもしろいかもしれません。

目的にあわせて使える音声教材

 本書には<かつどう>と<りかい>両編合わせて520もの音声ファイルがあります。また、音声ファイルは同じスクリプトでBGM(背景音楽)のありなしが選べます。例えば、会話場面の雰囲気をつかんだりリラックスして聞きたい時はBGMあり、人物の声と表現に集中したいときやシャドーイングをするときはBGMなしというように、目的にあわせて効果的に使い分けることができます。
 日本語によるコミュニケーションを身につけるための教え方/学び方のポイントとして、音声の扱い方もいろいろ試してみてはどうでしょうか。

 『まるごと 日本のことばと文化』公式ポータルページから無料でダウンロードできます。音声の他、教師用リソースも提供されています。

P.34-35の画像P.34-35 P.102の画像P.102

(来嶋 洋美/日本語国際センター専任講師)

日本語国際センター図書館

「日本語教育通信」の「本ばこ」では、新しく出版された図書の紹介を行っていますが、日本語の教材や、日本語、日本語教育関連の図書についての情報がほしいときは、日本語国際センター図書館のホームページもぜひ利用してください。

日本語国際センター図書館
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/j_lbrary.html

図書館蔵書検索
http://jli-opac.jpf.go.jp/mylimedio/search/search-input.do?lang=ja

日本語教育ナビゲーション
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/navigation.html

What We Do事業内容を知る