日本語教育通信 日本語教育ニュース JF日本語教育スタンダード準拠コースブック 『まるごと 日本のことばと文化』入門(A1)を出版しました!

日本語教育ニュース
このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。

JF日本語教育スタンダード準拠コースブック
『まるごと 日本のことばと文化』入門(A1)を出版しました!

日本語国際センター 事業化開発チーム

 2013年9月、国際交流基金は『まるごと 日本のことばと文化』入門(A1)を出版しました。これは、国際交流基金が2010年に発表した「JF日本語教育スタンダード」に準拠した日本語コースブックです。
 『まるごと日本のことばと文化』という題名には、リアルなコミュニケーションを「まるごと」、日本人のありのままの生活や文化を「まるごと」、ことばと文化を別々にではなく「まるごと」学ぶことができるように、という思いが込められています。
 ここでは、これら3つの「まるごと」がぎっしりと詰まった本書について紹介します。

JF日本語教育スタンダード準拠コースブック

 JF日本語教育スタンダード(以下、JFスタンダード)は、ヨーロッパの言語教育の基盤であるCEFRの考え方に基づいて国際交流基金が開発した、日本語の教え方、学び方、学習成果の評価の仕方を考えるためのツールです。日本語を使ってどんなことができるかという「課題遂行能力」の向上と、さまざまな文化に触れることで視野を広げ、いかに他者の文化を理解し尊重するかという「異文化理解能力」の育成を目指しています。
 『まるごと 日本のことばと文化』シリーズは、このJFスタンダードの考え方をかたちにした日本語教材です。

「課題遂行能力」=日本語でできること

「課題遂行能力」=日本語でできることについての画像  JFスタンダードでは、課題遂行能力について、「A1」から「C2」までの6レベルの日本語の熟達度で説明しています。各レベルでは「日本語で何がどのくらいできるのか」について、「~することができる」という文(「Can-do」)によって示しています。たとえば、「社交的なやりとりをする」という言語活動であれば、各レベルについて次のような「Can-do」があります。

A1:
友人や近所の人と、時間帯に合った基本的な挨拶を交わすことができる。
A2:
友人の家で、友人の家族などと基本的な挨拶をし、自分の近況などについて、短い簡単な言葉で話すことができる。
B1:
友人の家で、友人の家族などと、自分の近況などについて、自分の気持ちもまじえて話すことができる。
B2:
友人や同僚と、人間関係や仕事などについての愚痴や不満、満足していることなどを、自分にとって重要な点を強調しながら話すことができる。

JFCan-doより)

「異文化理解能力」=異文化を学び、自文化をふりかえる

 JFスタンダードでは、国際相互理解を深めるためには、言葉だけでなく文化もあわせて学ぶことが重要としています。異文化に親しむだけでなく、自文化をふりかえる視点を養うことも目指しています。
 『まるごと 日本のことばと文化』では、各トピックで多様な文化背景を持つ人々が日本語で交流する場面を設定しています。それぞれの場面で話される自然な会話をたくさん聞くこと、写真やイラストを見ることを通して、日本文化のさまざまな側面をそのまま身近に感じとれるように考えました。

『まるごと 日本のことばと文化』の特徴

「入門(A1)」とは

 今回、出版した『まるごと 日本のことばと文化』入門(A1)は、このJFスタンダードで示す6段階のなかの最初のレベルを学ぶためのものです。全18課で、9つのトピックがあり、1課あたり90~120分で学習できるように考えてあります。

写真やイラスト満載、全ページフルカラー

 見て楽しい、学んでさらに楽しい教材となるように、全ページフルカラーで、写真やイラストを豊富に掲載しています。学習者が日本にいなくても、日本や日本文化を感じられるようになっています。

  • かつどう 第16課「これ、ください」の画像
    かつどう 第16課「これ、ください」
  • りかい 第16課「これ、ください」の画像
    りかい 第16課「これ、ください」

「かつどう」と「りかい」

 本書は「かつどう」と「りかい」の2つの主教材があります。

「かつどう」 「りかい」

 「かつどう」では、聞いて話す、読んで書くという「活動」に焦点を当てた学習をします。一方、「りかい」では、文字や文法など言語項目の「理解」に焦点を当てた学習をします。「かつどう」と「りかい」を組み合わせて学習することも、それぞれを単独で学習することも可能です。

公式ポータルページ

公式ポータルページの画像  本書に関する情報は、こちらの公式ポータルページ(http://marugoto.org/)で発信していきます。教師用リソース、音声教材も無料で利用することができます(一部、ユーザー登録が必要。ただし登録は無料)。
 出版元である株式会社三修社への注文や販売情報なども含めた、関連サイトへのリンクもあります。ぜひご覧ください。

本書の詳細は、「本ばこ」(2013年9月30日更新)でも紹介しています。

購入方法

 日本国内:日本語教材を扱う書店、各オンライン書店よりお買い求めいただけます。
 日本国外:各オンライン書店、日系書店(紀伊國屋書店、丸善書店など)でお買い求めいただけます。

『まるごと 日本のことばと文化』を用いた「JF講座」

 国際交流基金では、海外拠点等で実施している「JF講座」(http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/education/jf/index.html)において、本書をコースブックとして使用しています。これまで本書の本書試用版で授業を行っていた各国・地域のJF講座講師からは「音声のインプットが多いので、以前の教科書で指導していた時よりも発音がよくなった」、「聴解活動が豊富なので、聴解能力が伸びた」、「入門の始めから文脈のある自然な会話を聞かせるので、文脈から推測することが上手になる」、「写真やイラストが豊富。取り上げているテーマが日本文化に関わることなので興味を持って学習に取り組める」、「ペアやグループによる活動が多いのでクラスの雰囲気がよくなった」といった感想がありました。本書をコースブックとしたJF講座に大きな期待が寄せられています。

  • ウズベキスタン日本人材開発センターでの授業の写真  ウズベキスタン日本人材開発センターでの授業
  • バンコク日本文化センターでの授業の写真  バンコク日本文化センターでの授業
  • サンパウロ日本文化センターでの授業の写真  サンパウロ日本文化センターでの授業

『まるごと 日本のことばと文化』についてのお問い合わせはこちら(marugoto@jpf.go.jp)までお願いします。

CEFRとは「Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment」の略称。CEFRはヨーロッパの言語教育・学習の場で共有される枠組みで、2001年に発表されて以来、ヨーロッパのみならず世界の各言語で利用されている。

ページトップへ戻る