国際交流基金賞50周年記念 高良 倉吉さんからのメッセージ

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平成16(2004)年度 国際交流奨励賞

琉球大学名誉教授 /博士(文学)・琉球史

高良 倉吉

[日本]

「琉球王国」の再評価を目指して

沖縄は日本社会を構成する県の一つであるが、歴史的に見ると、他の地域とは異なる独自の歩みを辿った。

1429年から1879年までの450年間、その島々は、「琉球王国」という独自の体制によって統治されていた。琉球王国は、島々の内部に閉じこもったのではなく、中国や日本、朝鮮、そして東南アジアの国々と活発な外交や貿易を推進した。対外交流の司令塔だった首里城には、「船を駆使し、アジア交流の懸け橋となる」、というスローガンが掲げられていた。

だが、近代・現代における激動の歴史は、「琉球王国」の記憶を遠ざけてしまった。多くの記録や遺産が、ことごとく失われたからである。

私は、「琉球王国」という存在の再評価を研究テーマとしてきた。その課題のために力を注いだのは、交流を重ねたアジア諸地域の資料と情報を理解することだった。そして、それぞれの地域の研究者たちとのあいだにネットワークを築くことだった。また、アジア交流の司令塔であった首里城を復元し、「琉球王国」のシンボルを蘇らせることだった。

そのような私の活動に対し、国際交流奨励賞が贈られた。意外だったが、光栄なことだと受け止めた。

私と仲間たちが、心血を注いで復元した首里城は、2019年10月31日、火災により焼失した。しかし、再建のプロジェクトは直ちに始まっており、私もそのメンバーである。

今後も、「琉球王国」の再評価を目指し続けたいと思う。

高良 倉吉

(原文 日本語)

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