平成18(2006)年度 受賞者プロフィール

2006年  国際交流基金賞・国際交流奨励賞

国際交流基金賞


ジョー&悦子・プライス (Joe & Etsuko Price) 財団心遠館 代表【米国】

悦子・プライス氏の写真ジョー・プライス氏の写真

ジョー・プライス氏は建築家フランク・ロイド・ライトとの交流を通し、1950年代にニューヨークで江戸時代の日本絵画と出会った。その後悦子夫人と共に活動、伊藤若冲・円山応挙ら江戸期を中心とした日本美術の蒐集を続ける。1980年には財団心遠館を設立し、所蔵コレクションを公開し、研究を支援。1988年ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)の日本館建設に尽力し、また資金を提供、コレクションの一部を寄託して、日本で看過ごされてきた江戸期の美術を日本および世界に再認識させた。

コレクションは日本でも紹介されてきたが、2006年には作品109点を公開する大型展『プライスコレクション-若冲と江戸絵画』が東京国立博物館を皮切りに京都、福岡、愛知で開催される。

プライス夫妻は、日本美術を通じた日米文化交流や研究者の育成支援を積極的に展開してきた。また自然光を理想とした光補正による独自の展示手法の研究と提案、江戸絵画のデジタル化への取り組みなども行っている。2000年以来自ら作成に取り組んだコレクションのカタログが2006年9月に完成した(『ザ・プライスコレクション』小学館刊)。

国際交流奨励賞


文化芸術交流賞

山形国際ドキュメンタリー映画祭 実行委員会 【日本】

1989年に山形市制施行100周年のイベントとして映画祭を開催し、アジア初のドキュメンタリー国際映画祭として注目されたのを契機に、映画祭を継続して開催するため、1990年に実行委員会が発足した。

以来、これまで9回の映画祭が隔年で実施された。国際コンペティションで世界各地からの応募作品から選定された新しい作品を上映するほか、

山形国際ドキュメンタリー映画祭 実行委員会活動の写真

「アジア千波万波」プログラムでアジアの新進ドキュメンタリー作家を紹介、また毎回さまざまな特集を組み、数多い作品を上映すると共に、シンポジウム等も開催するなど充実したプログラムで、上映される映画の質の高さ、映画祭全体の企画・実施について山形国際ドキュメンタリー映画祭は国内外で高い評価を得、国際文化交流の場として重要な役割を果たしている。

2006年4月より本実行委員会は、民間主導の新組織として、新たに出発した。2006年10月に特定非営利活動法人としての活動開始をめざしている。

日本語教育賞

サンクトペテルブルク国立大学 アジア・アフリカ学部【ロシア】

サンクトペテルブルク国立大学 アジア・アフリカ学部の方々の写真

ロシアで日本語教育が行われたのは、ピョートル大帝の命により極東地域に漂着した日本人がサンクトペテルブルクに送られ、1705年に日本語を軍人子弟に教えたのが最初である。その後も熱心な日本語教育・日本研究への姿勢は、19世紀に創設されたサンクトペテルブルク大学に引き継がれた。

1855年に東洋学部が創立され(2005年に学部名をアジア・アフリカ研究学部と改称)、1898年に同学部内に日本語学科が設立された。ニコライ・コンラド(1891-1970)、セルジュ・エリセーエフ(1889-1975、1973年国際交流基金賞受賞者)をはじめとする著名な卒業生・研究者を数多く輩出し、これら研究者はロシア国内のみならず周辺諸国、米国等においても日本研究・日本語教育の発展に寄与した。

現在同学部のうち日本語学科及び極東史学科にて日本語教育が行われているが、同学部はロシアの日本語教育及び日本研究において大きな役割を果たしている。


日本研究賞

金容徳(Kim Yongdeok)ソウル大学校国際大学院 院長【韓国】

金容徳ソウル大学校国際大学院院長の写真

1970年にソウル大学校にて修士号、1979年に米国ハーバード大学にて博士号(歴史学)を取得。その後ハーバード大学日本研究所研究員、東京大学経済学部客員研究員(国際交流基金フェローシップ)を経て、1980年にソウル大学校人文大学東洋史学科教授に就任。以来、韓国における日本研究分野の教育と研究を牽引するとともに、日本との学術交流を推進してきた。

1997年にソウル大学校日本資料センター設立に尽力、2004年には日本研究所が設立され、その所長を務めている。2003年よりソウル大学校国際大学院院長をも務め、日本研究の国際化に大きな成果をあげるなど、韓国における対日理解促進および日韓学術交流の発展に大きく寄与しており、さらなる活躍が期待される。

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