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国際交流基金の事業

その他の取り組み
国際文化交流への理解と参画の促進

国際交流基金では、「国際交流基金賞」及び「国際交流基金地球市民賞」により、国際文化交流を通じて日本と海外の相互理解の深化に貢献した個人・団体や、地域に根ざした優れた国際交流を行っている団体を顕彰しています。

国際交流基金賞

学術、芸術その他の文化活動を通じて、国際相互理解の増進や国際友好親善の促進に特に顕著な貢献があり、引き続き活躍が期待される個人・団体へ国際交流基金賞を授与しています。47回目となる2019年度は、73件の候補の中から、3件の受賞者を決定しました。

▼2019年度 受賞者及び授賞理由

谷川俊太郎氏の写真

(c) 深堀瑞穂

谷川俊太郎(詩人)【日本】

谷川氏は1952年より詩作を続け、幅広い作風を特徴とし、その活動は、詩作、作詞、脚本、絵本、童話、エッセイ等多岐にわたる。日本語のリズムの特殊性、ことばの持つ響きを学ぶことができる『ことばあそびうた』、分かりやすいことばで普遍的なものに向き合う詩『生きる』など数々の作品が日本語学習の教材にも取り上げられてきた。また、20数か国語に翻訳され、世界中の人々が日本との距離を縮めるきっかけとなっている。

インドネシア元日本留学生協会の方々の写真

インドネシア元日本留学生協会(プルサダ)
【インドネシア】

インドネシア元日本留学生協会(プルサダ)は 1963 年に元日本留学生を中心に設立された。現在では約8000人の元日本留学生を擁し、意義ある活動を数多く展開している。1986年にはプルサダとインドネシア日本友好協会が中心となって私立ダルマ・プルサダ大学を設立。同大学は、両国の懸け橋となる人材を多数輩出している。プルサダは日本とインドネシアを繋ぐ交流拠点であり、今後も友好交流の中核としての役割を担っていくことが期待される。

エヴァ・パワシュ=ルトコフスカ教授の写真

エヴァ・パワシュ=ルトコフスカ
(ワルシャワ大学教授)【ポーランド】

パワシュ=ルトコフスカ氏は、ポーランドを代表する日本史研究者の一人である。ワルシャワ大学日本学科で研究・教育に携わり、多くの後進を育ててきた。主な業績は、日露戦争から第二次世界大戦の時期の両国関係の研究であり、著書『ポーランド・ 日本関係史』は、この分野に関する唯一の通史としてあり続けている。さらに日本文化の普及や、両国関係を扱った出版物の編纂や国際学会の組織などを通じて、日本と世界の相互理解に寄与してきた。

国際交流基金地球市民賞

日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディア、情報を交換し、ともに考える先進的で独自性のある活動に取り組む日本国内の団体を顕彰しています。35回目となる2019年度は98件の候補の中から、3件の受賞団体を決定しました。

▼2019年度 受賞団体及び授賞理由

四日市市立西笹川中学校 多文化共生サークルが主体となって関わった防災イベントに集まった人々の写真

四日市市立西笹川中学校 多文化共生サークル
【三重県四日市市】

西笹川中学校は、外国にルーツを持つ生徒が3割を占める。「多文化共生サークル」は学校が枠組みを決めつつも、中学生が主体となって防災行事や夏祭り、文化祭等の地域イベントに密接に関わっており、生徒たちは「多文化共生活動」というよりも「まちづくり」という意識で参加している。このような活動に大人が触発されたり、家族を通して活動が広まったり、地域への愛着がわいた生徒たちが卒業後もサークルを立ち上げる等、外国人・日本人の垣根を越えた顔の見える関係づくりに貢献している。

特定非営利活動法人 ハート・オブ・ゴールドがカンボジアで行った運動会の写真

特定非営利活動法人 ハート・オブ・ゴールド
【岡山県岡山市】

「心身ともに健全な育成」という理念に基づき、被災地や紛争地及び開発途上国の子どもたち、障がい者、貧困層の人々に対して、体育教育支援や養護施設・青少年人材の育成を目的とした日本語教室の運営、岡山県内各所と連携した交流等を行っている。対等な交流を目指し、活動を現地に移譲する等、自立かつ持続的に活動ができるような枠組みを作っており、また官・学・民を巻き込んで協働を実現している点は、複雑な社会課題の解決方法として注目されるものである。

国際児童・青少年演劇フェスティバルの写真

国際児童・青少年演劇フェスティバル
おきなわ実行委員会【沖縄県那覇市】

豊かな芸術体験は「ヌチグスイ=命の薬」との考えから、子どもたちや地元の人々が独創的で上質な世界中の舞台公演に気軽に触れる機会を長年提供してきた。毎回10か国前後の約20作品を上演、ノンバーバル表現を中心とした作品によって、子供たちの感受性や想像力を育み、いまや世界各国の演劇関係者が集うアジアの演劇フェスティバルネットワークのハブとなっている。鑑賞者と劇場、劇団員、地元住民、ボランティア、海外からのインターン等、地域と世界と人々の心をつなぐ国際文化交流の好事例といえる。