ラストフロンティア 小さな町での日本語教育

パーマ・ハイ・スクール
早崎 美温

アラスカ州について

アラスカ州は、別名「ラストフロンティア」とも呼ばれており、アメリカ合衆国の最も北端にある州です。人口は74万1千900人で、面積は151万9千平方キロメートルで日本の約4倍です。東側はカナダと接しており、西側のロシアとはベーリング海を隔てて53キロしか離れていません。私の派遣先パーマ市は、一年に一度の大収穫祭であるアラスカ・ステイトフェアの開催地として知られています。
アラスカ州の学校は、6-2-4制で12年生までが義務教育と定められており、公立学校は国籍を問わず無料で学校に通うことができます。アラスカ州最大の都市アンカレッジには、12年間を通しての日本語イマージョンプログラムがあります。

パーマ高校

受入機関であるパーマ高校は、アンカレッジから車で北東に50分ほどのパーマ市に位置しています。パーマ高校はマツ郡で唯一のIB(International Baccalaureate)高校です。パーマ高校には800人の生徒と74人のスタッフが在籍しています。日本語教師は私のリードティーチャー(以下、LT)1人とアシスタントティーチャー(以下、AT)の私一人です。私が派遣された2016年度から、第二言語として日本語が開校され、日本語への関心がますます高まっています。クラスは現在レベル1が3クラスあります。教科書は使用しておらず、教える目標に合わせてLTとプランニングや教材作成を行っています。私は授業中に使うイラスト付きのポスター(文化紹介、応援や相づちの仕方など)を作成しました。それらを教室内に貼り、いつでも生徒が見て使えるようにしました。また季節に合わせて日本の行事紹介をさせて頂きました(バレンタイン、ホワイトデー、節分等)。州の日本語コンテストやデクラメーションの前には、学校の前や放課後に生徒たちと練習に明け暮れました。内容をチェックしたり、イントネーションや発音、言い回しなどを教えたりしました。みんな一生懸命取り組んでいたことに、とても感銘を受けました。

学校外活動

毎年、姉妹都市(北海道、佐呂間市)に2週間交換留学するパーマ市の中学生と高校生のために、放課後、日本語、日本についてのクラスを定期的に開校しました。準備とクラス運営はLTと2人で行いました。日本の料理を作ったり、書初めをしたり、日本の学校や文化、マナーについて勉強しました。また、パーマ市の幼稚園、小学校へ出向き、日本語のミニレッスンを行いました。事前に各学校にアポイントメントを取り、一人でレッスンの内容を作り、LTからのコメントをもらって授業を行いました。挨拶や数を教えたり、じゃんけんを教えたり、子どもの日には兜を作ったりしました。クリスマスやお正月には、教会や図書館を借りてイベントを開催しました。折り紙や福笑い、なわとびや羽根つきを、子供から大人までみんなで楽しみました。この夏休みには、ミネソタ州の日本語イマージョンキャンプにクレジットティーチャーとして参加してきました。初めて高校生に一人で日本語を教える非常に良い経験になりました。自然の中で日本語を教えることの素晴らしさを体いっぱいに感じました。

2年目に向けて

アメリカで日本語を教えたいという夢がついに今、現在進行形で叶っています。日本にいたら絶対にできない素晴らしい体験をアラスカの大自然の中でさせて頂いています。運転中に車より大きなムースと出くわしたり、学校からオーロラが見えたり、外でアイススケートができたり。そして、太陽のような元気で明るいLTと出会えたことに、とても感謝しています。いつでも寛大で私の話を真剣に聞いてくれるLT。思ったらすぐ行動に移せるフットワークの軽さには、いつも尊敬しています。毎日一緒に働いていても、毎日学ぶことがたくさんあります。1年目を終えて、授業・年間を通しての流れが段々とわかってきました。今年度からは日本語のクラス数やレベルが増えるので、柔軟に対応していきたいです。また、夏のキャンプや研修でたくさんのアクティビティを学んだので、授業でも取り入れていこうと思います。私主体で授業が進む場合でも、物怖じせずクラスマネージメントをしっかり行っていくことが一つの課題です。教師として大切なことは、教師自身が授業を楽しむことだとLTと授業をしていて感じました。自然と教室から笑みがこぼれるような安全で楽しいクラス作りをみんなでしていきたいです。

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