理事長挨拶

理事長再任のご挨拶

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このたび、令和4(2022)年4月1日付で、国際交流基金(JF)理事長に再任いただきました。

2020年初頭から世界に広がった新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種が進むとともに、人の移動に対する制限も緩和されるなど、明るい兆しも見えてきましたが、いまだ感染者の拡大に見舞われる国もあり、予断を許さない状況が続いています。私自身、2020年10月に就任しましたが、実際に自分自身で対面での国際交流の現場に立つ機会は極めて限られたままになっています。

コロナ禍という特殊な状況において、世界中の多くの人々がステイホームを強いられる中、各国で内向き志向や自国中心主義的な志向が強まる一方で、困難な状況の下で鬱屈した心にもたらす芸術や文化の大きな癒しの力があらためて再認識されました。また、人類共通の課題には国際社会が連帯して対応しなければ有効に対処できないことも明らかになっています。

こうした困難な状況に直面しているときこそ、人と人とが国境を越えて交流し、互いに相手のことを知り、同じ経験を共有し、絆を強めることが重要であり、それを後押しする国際文化交流は何物にも代えがたい価値を持っていると言えるのではないでしょうか。時々刻々と変化する状況の中で、JFとしては最も効果的な在り方を模索しながら、諸般の交流事業を進めていきたいと考えています。

確かに、この2年間に、オンラインコミュニケーションは新たな日常風景として急速に浸透し、一面において国境や物理的な距離を一気に消滅させたかの感があります。JFでも、積極的にオンラインを通じて日本文化の魅力を世界に届け、人々の交流を絶やさないようにするための取り組みを強化し、従来手の届かなかった地域からも反響があるなど、手ごたえを感じています。

同時に、人々の間の対立やネガティブな感情が、リアルな世界とサイバー空間の双方を行き来しながら増幅され、悪循環に陥る危険があることも否定できません。人と人が直接、対面で交流しなければ得られない温もりや深い共感こそが、そのような危険を防ぎ、より確かな相互理解の基礎となるのではないかと感じており、JFとしては、オンライン事業を最大限活用しつつ、状況が許す限り、リアルな対面での事業を積極的に再開していく所存です。

本年は、JFの設立50周年という大きな節目であり、また、新しい5か年の中期目標期間がスタートする年でもあります。JFは、この機会に合わせて、これまで述べてきたような問題意識のもと、世界の国・地域を横断するグローバルな視点でのプログラムの立案や、さらに効率的な事業の展開を目指し、組織体制も刷新いたします。
具体的には、

  • 日米センターや日中交流センター、アジアセンターなどの地域別のセンターを再編し、国際的重要課題などについて、知識人・有識者だけでなく、次世代を担う市民・青少年層を含めた幅広い層の間での対話や協働作業を地域横断的に促進するため、「国際対話部」を新設いたします。

  • これまでアジアセンターが実施していた「日本語パートナーズ事業」は、新たに設置する「日本語パートナーズ事業部」が継承します。

  • 諸外国における日本理解をさらに促進していくため、「日本研究部」を設置し、海外における日本研究者や日本研究への支援、市民層に対する日本理解促進に寄与する事業もよりきめ細かく実施してまいります。

JFが新たなニーズに最も適した態様で国際文化交流を効果的、効率的かつ創造的に展開していくことが出来るよう、決意を新たにして諸課題に取り組んで参る所存です。引き続き皆様からのご指導、ご支援をお願い申し上げます。

2022年4月
国際交流基金(JF
理事長 梅本 和義

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