理事長挨拶

理事長就任のご挨拶

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このたび、令和6(2024)年4月1日付で、国際交流基金(JF)理事長に就任いたしました。

私は、ツーリズム分野で40年にわたるキャリアを重ね、観光やグローバル・コミュニケーションを通じて人々に感動や共感を呼び起こすとともに、世界の人々と日本の交流を拡大・促進するために貢献してまいりました。
コロナ禍以降、訪日インバウンドはじめ、急速な世界的往来の回復を目の当たりにすると、人と人との対面での交流の重要性が何ものにも代えがたい価値を持つことを改めて確信しました。

今日、世界中からの日本に対する関心は、食や伝統文化からポップカルチャーまで、一層幅広く、奥深くなってきており、人気の的となっています。日本人にとっては当たり前の習慣、風習、行事でも、世界の人々は、そこに斬新さ、珍しさ、学ぶべき価値を見出しており、改めて日本文化の奥深さを思い知らされる次第です。しかしながら、今後の世界情勢を鑑みると、この時流に驕ることなく、リスペクト精神の下、国際交流を通じた持続的相互理解促進と「共感づくり」がより一層重要となってくるものと思慮します。

一方、当初から日本文化への理解促進の一環として普及させてきた日本語教育も、時代の要請からその役割をさらに拡充して考えなければならないタイミングに来ているものと考えます。
将来的な人手不足という社会的問題を背景に、外国人財を適正に受け入れるため、日本政府は、現在技能実習制度や特定技能制度の見直しを進めています。今後、日本で就労し、社会の一員として生活する外国の方もますます増えていくことが予想されます。このため国内外での日本語教育を充実させていくことはもちろんのこと、日本国内においても多文化共生への理解を一層進めていくことが求められます。また、現下の大きく変化する国際環境の中で、気候変動や防災、高齢化社会への取組といった世界が直面する共通の課題に対しても、対話を通じて日本が果たす役割はますます高まっています。
こうした背景のもと、特に2024年度は、日本とASEANの次世代の交流促進と交流の担い手育成を目的とする包括的な人的交流事業「次世代共創パートナーシップ -文化のWA2.0-」を今後10年間にわたり集中的に実施する最初の年となります。ASEAN諸国との持続的交流創造のみならず、日本での就労を目的に日本語を学ぶ外国の方への教育活動をより充実させてまいります。

国際交流基金は1972年に設立され、半世紀を超えて、総合的に国際文化交流を実施する日本で唯一の専門機関として、世界の全地域において、事業を実施してきました。上述した今日の状況に鑑み、国際交流基金が貢献できるフィールドや可能性も一層拡大してきていると感じています。

「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ。」とのミッションの下、パブリック・ディプロマシーの一翼を担い、時代に適合した多角的で、そしてきめ細やかな国際交流を心掛けて、ツーリズム経営で培った経験を活かしながら、価値ある交流創造に向けて、国際交流基金の運営及び事業実施に尽力する所存です。今後とも皆様のご指導、ご支援をお願い申し上げます。

2024年4月吉日
国際交流基金(JF
理事長 黒澤 信也

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