アシスタントティーチャーとしての一年と今後

グレンブルックサウス・ハイスクール
神田 恵理

イリノイ州について

イリノイ州はアメリカ中西部に位置し、五大湖の一つミシガン湖に面しています。面積は北海道の約1.8倍、人口は約1300万人であり、大都市シカゴがある州としても知られています。アイスホッケー、フットボール、野球などスポーツも盛んで昨年行われたワールドシリーズでシカゴカブスが優勝した時は、街中が大賑わいでした。また、イリノイの州都はスプリングフィールドで第16代大統領のエイブラハム・リンカーンが住んでいたことからLand of Lincoln(リンカーンの地)とされ、あらゆる所でリンカーンを目にすることができます。
日本語教育においては多くの日本語教師がイリノイ教師学会(IATJ)に属し、小学校や中学校をはじめ、高校やカレッジで日本語を教えています。IATJが行う研修や教師間のネットワークを通して情報交換を行っています。また、学校以外では補習校や継承日本語クラスといった日本人の親を持つ子供たちに対しても日本語教育が行われています。しかし、その反面イリノイ州で教師になるためには、多くの試験に合格しないといけないため日本語教師の不足も問題となっているのも事実です。 シカゴ領事館をはじめ日本人会、日米協会など様々な組織が日本関連のイベントを行っています。6月にシカゴ郊外で行われたJapan Festivalにはたくさんの人が足を運んでいました。

グレンブルックサウス高校と日本語クラス

グレンブルックサウス高校はシカゴ郊外のグレンビューにある公立高校です。生徒数は約3000人と大変大きな学校です。クラブ活動も盛んで日本語クラブをはじめオリンピック選手を輩出した水泳部など、たくさんのクラブがあります。
語学のクラスはスペイン語、フランス語、ドイツ語、アメリカ手話、中国語そして日本語があります。日本語のクラスはレベル1からAP(Advanced Placement)までのクラスがあり、約90人の生徒が在籍しています。授業時間は90分で教科書の「げんき」や補助教材として「ようこそ」や「まるごと」なども使っています。指導方法は、リードティーチャー(以下、LT)が主となって授業を行うほか、グループごとに分かれて日本語を学ぶステーションティーチングも行っています。ステーションティーチングとは三つグループに分かれLTとアシスタントティーチャー(以下、AT)がそれぞれ一つのグループを指導し、もう一つは自主勉強のテーブルとして決められた時間をグループごとに回るものです。生徒ひとりひとりと接する時間が増え、生徒も日本語を発する機会が多くなることから、頻繁にステーションを行っています。 その他のATの業務としては、LTと一緒に授業のプラン作り、会話モデル、小グループでの指導、テストの採点、机間巡視などを行いLTの指導の下、活動に取り組んでいます。

クラス外での活動

毎年生徒主体で行われているWorld Culture Celebrationという世界各国の物を展示発表する催しで日本語クラブの生徒たちと一緒にソーラン節を披露しました。ソーラン節の練習は毎週水曜日に行われる日本語クラスで行いました。最初は、声も小さく自信のない動きでしたが、本番では堂々とステージに立ちみなさんの前でソーラン節を踊ることができました。
昨年12月にはシカゴで行われたJapanese Culture Fairで日本語ミニレッスンを行いました。小さな子どもから大人までたくさんの人が参加してくれました。日本語の基本的な挨拶の練習や、折り紙をしました。クラス以外で日本語を教えるのは初めてだったのですが、みなさんのおかげでとても良い経験となりました。
夏休みには、町の図書館で紙相撲プロジェクトをしました。図書館員の方々のご協力の下、子供たちと一緒に紙相撲を作りました。それぞれオリジナルの個性豊かな力士を作り、対戦し白熱した戦いを繰り広げていました。子供たちの楽しんでいる姿を日本の文化を通して見ることができ、とてもうれしかったです。

この一年と今後の課題

この一年は、今までにしたことのない経験をたくさんすることができました。アメリカの学校は日本の学校と異なることが多く最初は驚くことばかりでした。例えば、生徒全員が学校から支給されたコンピューターを持っていることです。いつもIT機器を使って授業をしていることに驚きました。様々な科目があって生徒が自分の興味のあることを選ぶことができ、更にIT機器を使って多様なことができるので生徒にとって学びやすい環境が整っていると思いました。
クラスではLTから教授法や生徒との接し方、アメリカ生活で必要なことなど多くのことを学びました。またホストファミリーからアメリカの文化を教えてもらったり、色々な場所に連れて行ってもらったりしました。この一年は、LTをはじめ学校の先生や、ホストファミリーなど多くの人達に助けて頂いた一年でした。
アメリカ生活も残り一年となりました。去年はLTの指示を待って行動することが多かったのですが、今年はユニットプランの作成にももっと携わり、自分の意志をもって行動できる年にしたいです。授業中は視野を広く持ってクラス全体の様子がわかるようなゆとりがあるATになりたいです。また、地元のコミュニティーや行事にも積極的に参加してみなさんに日本の文化を知ってもらおうと思います。

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