ウェストバージニア州での1年目の活動報告

キャベル・ミッドランド・ハイ・スクール
山口 慧

カントリーロードのウェストバージニア州

ウェストバージニア州は、アメリカ東部のアパラチアン山脈に位置している州です。また、アパラチアン地域の中に州全体が含まれる、アメリカ唯一の州です。別名、山岳州とも呼ばれています。元々はバージニア州の一部でしたが、南北戦争でバージニア州が南部連合に属した時、それに反対した西側の地域が独立して、ウェストバージニア州となりました。面積は、50州のうち41位と決して大きくはありません。人口は、約180万人と全米38位で、人種は9割以上が白人です。山岳州と呼ばれる通り、山に囲まれた地域で、秋には綺麗な紅葉を見ることができます。私の派遣先であるハンティントンは、州都のチャールストンについで2番目に多くの人口が生活しています。ハンティントンの気候は、夏は蒸し暑く冬は雪が多く、日本と似ており四季がはっきりとしています。
外国語の教育はあまり盛んではありませんが、中国やスペインからネイティブの先生を派遣するなど、普及活動に力を入れられています。ウェストバージニア州の日本語教育もあまり盛んではなく、ハンティントンの私が赴任している2校が、州で唯一日本語教育を行っている高校です。しかし、マーシャル大学とウェストバージニア大学には日本語専攻があり、日本語、そして文化を広める活動が行われています。

州唯一の日本語教育のある高校

私の赴任先はキャベル・ミッドランド高校ですが、私のリードティーチャー(以下、LT)が州唯一の高校日本語教師であることから、ハンティントン高校の2校を受け持っています。その為、午前はキャベル・ミッドランド高校、午後はハンティントン高校と移動して授業を行っています。キャベル・ミッドランド高校では約60人の生徒が日本語授業を取っています。45分授業が3クラスあり、うち2クラスはレベルが混ざっています。その為、LTが上のレベルを、アシスタントティーチャー(以下、AT)である私が下のレベルを同じ教室で分けて教えています。また、キャベル・ミッドランド高校では日本語の教室がなく、1コマごとに移動し別の教室を借りて授業を行っています。午後、お昼休みの時間を利用してハンティントン高校へ移動します。約40人の学生が日本語授業を取っており、2017年より日本語の教室を使用しています。45分授業が3コマあり、同じく2クラスはレベルが混ざっています。
私の担当する業務は、下のレベルを教えること、LTと二人でレッスンプランを考え、授業中のサポートやテストの採点、教材作成です。レッスンプランなどを話し合う際は、お互いに提案し、交互にそのアイディアを使用しています。また、LTがアメリカ人なので、私は一切英語を話さず、必要な時はLTが英語で説明してくれます。そのため、学生も徐々に私が話す短い日本語を聞き取り、意味を聞いてくれるようになりました。

授業外活動

ハンティントン高校では、午後に授業があるということで日本語クラブを放課後に作ることができました。週に一度の活動で、ゲーム、おにぎりや巻きずしを作るなどの活動をしています。主に計画は学生が立て、そのために必要なものを私が揃えています。
地域活動では、州都のチャールストンに、国際交流基金のプログラムの一つであるJOIのコーディネーターが派遣されており、ハンティントンで地元の方向けの料理教室を開催した時にお手伝いをしました。また、夏休みには派遣地域でイマージョン日本語キャンプが小学生に向けて毎年開催されており、2週間ATとして授業のお手伝いをしました。このキャンプに数年前参加した学生数名が、現在高校で日本語の授業を取っています。今もキャンプで習ったことは覚えていて、とても印象に残っていると話してくれます。当時習ったことが楽しかったから日本語に興味をもち、日本語を勉強し続けるモチベーションにつながったと言ってくれ、低学年のころから日本語や外国語に触れることの大切さを再認識させられました。

2年目に向けて

ウェストバージニア州は、アメリカの中でも認知がとても低い州で、アメリカ人の中でも州ではなく、バージニア州の一部と思っている人も少なからずいます。そのため、別の州へ行き日本人に会うと、必ずウェストバージニア州の位置と、自然について語っています。
初めは一人で教えること、クラスをまとめることに不安がありましたが、LTとの協力により、学生とうまくコミュニケーションを取れるようになりました。また、学生の名前と顔を覚えることに苦労し、日によって学生のやる気が変わることにも戸惑いました。しかし、徐々に学生一人一人の性格や個性が分かっていくにつれ、授業の進め方もスムーズにいく日が増えました。学生のまとめ方やクラスマネジメント、アメリカの高校のシステムに慣れることができたように感じる1年目でした。
1年目は、文法や平仮名など基礎を教えることに精一杯で、座学がとても多く、もっと身体を動かしながら授業をできればと感じました。そのため、2年目の今年度は、ゲームや文化活動を多く取り入れた授業を行っていきます。日本語の勉強はこんなに楽しいんだ!と学生に感じてもらえる授業を作り上げられるように頑張ります。また、習った日本語を実際に使えるような環境作りにも力を入れていきます。学生が、日本語を勉強してこんなことができるようになったと達成感を感じられるような授業をできる2年目にしていきたいと思います。

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