日米の懸け橋に

レイク・オスウィーゴ・ハイ・スクール
レイクリッジ・ハイ・スクール
大石 日奈

生の日本に触れよう!

日本人教師として、日本文化や最近の流行などを取り入れたレッスンを行うことができました。日本のイベント(ひな祭りや七夕、お正月など)の紹介や体験、さらに日本で流行っているドラマの主題歌をみんなで踊って動画を作成したり、と楽しみながら学生のモチベーションを上げることができました。最も有益だった経験は、単元をまるごと担当させていただいたことです。レッスンプランから実際のレッスン、宿題やテストの作成、評価までを手掛けることができました。1年目では「もったいない」をテーマに、日本でのごみの捨て方やリサイクル方法、江戸時代の人々の生活など、多岐にわたる面から「もったいない」のコンセプトを学生と一緒に考えることができました。2年目では「日本のアルバイト」をテーマに、日本の高校生のアルバイト事情から、日本とアメリカの履歴書の書き方の違い、面接の質問や練習までを取り上げながら、実際の日本を紹介することができました。ゼロからのレッスン作成はとても大変でしたが、生徒の反応と成長を直々に感じることができ、大きなやりがいを感じました。今後もぜひ生教材や最近の日本事情をレッスンに入れ、学習意欲を掻き立てるレッスンをしていきたいです。

北西部ジャパンボウル大会、2連勝!

ジャパンボウルとは、1992年からワシントンDC日米協会が行っている日本語や日本文化に関する知識を競う大会です。任期1年目に初めて北西部大会が行われ、私たちの高校からも早速参加しました。学生も私も手探り状態で準備を進める中、1チームが見事優勝。私が一番驚いたのは、優勝することができなかった学生たちが「準備をしながらたくさん勉強できて楽しかった!」「来年はもっと上を目指したい!」「仲間と参加できて嬉しかった!」とさらにモチベーションを上げて2年目に臨んでくれたことです。2年目はさらに多くの学生が参加し、早々から準備を始めました。結果、4チームが入賞。そのうち優勝したチームが、全米ジャパンボウル大会でも良い成績を収め、副賞として日本に旅行することができました!私の任期が2年で終わってしまうので、できるだけ自発的に準備を進めてもらうよう工夫しました。文化祭・体育祭などのイベントで日本の学生がどのように主体的に動いているかといったことや、部長を中心とした日本の部活動の仕組みなどを紹介し、学生主体の自立した仕組みを作ることができました。来年度については何も心配していません!主体的に自分たちでしっかり準備し、楽しめる学生たちを誇りに思います。みんながんばれ~!

日本語クラスはファミリー

2年間で強く感じたことは、学生にとって日本語のクラスがどれだけ「仲間意識」や「所属意識」を感じられる場となっているか、ということです。実際にアメリカで教え始めて分かったことは、アニメやゲームなどバーチャルな世界が趣味だけれども、実際の社会や学校生活になかなか馴染めずに悩んでいる学生が多い、ということです。彼らはよく「他のクラスでは自分を出すのが怖いけど、日本語クラスは唯一自分自身でいられる」や「日本語のクラスは趣味を共有できる仲間がいるからとても楽しい」などと話してくれていました。日本語や日本文化を教えるのはもちろん、それを通して思春期である子どもたちが自己表現できたり、心のよりどころになる場所を提供するのが、教師として本当に大切なことだと感じました。
日米間の若者交流に関しては、姉妹都市から学生を年に一回ずつ受け入れ、交流を促すことができました。また、J-LEAPの任期終了後すぐに、クラスで教えていた学生のうち14名を連れて日本旅行をしました。今までクラスで教えてきたことを実際に体験し、勇気を出して温泉に入ったり、すきやきの生卵を美味しいといって食べたり、日本の授業に意欲的に参加したり、という姿を見て、とても嬉しく感じ、学生を大変誇りに思いました。

2年間を充実させるために

どうしても日々の業務に追われてなかなか新しいことに挑戦するのは難しいと思いますが、広い視野をもってぜひ業務外でも自分の好きなことを見つけると、2年間の充実度が変わってくると思います。私は、ボランティア活動を通して和太鼓に出会い、ポートランドの和太鼓グループに入ったり、ホストファミリーと深い交流を持ったり、リードティーチャー(以下、LT)とプライベートでも遊んだり、現地の友達をたくさん作ったことで、一生涯の人間関係を作ることができ、本当に有意義な時間を過ごすことができました。ぜひ自分の殻をやぶって一歩踏み出すと、世界がより広がると思います。
今後は、地元宮城県石巻市に戻り、震災後に縮小してしまった父の塾を継ごうと思っています。そこで、英語、そして目標としては日本語も教えながら、今まで経験させていただいたことを活かし、地元に還元していきたいと思っています。また、ポートランドにいる間に、日本からたくさんの友達が遊びに来てくれ、オレゴンを案内することができました。今度は、アメリカでできた友達にもぜひ日本に来てもらい、日本の魅力を生で体験して欲しいと思っています。

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