2010年度上半期 調査研究プロジェクト
インドネシアにおける日本語教育 −ケーススタディ地域研究−

2010年度上半期 調査研究プロジェクト
インドネシアにおける日本語教育 −ケーススタディ地域研究− 概要
計画者 古川嘉子
プロジェクト参加者 藤長かおる、堀川晃一
外部協力者 なし
日程 開始2010年5月~終了2012年3月

計画:(2ヵ年)

1年目(22年度):
前半
  1. (4月)計画大枠の策定
  2. (6~7月)パイロット聞き取り調査実施(インドネシア人日本語教育関係者2名)
  3. (8~9月)調査データの整理
後半
  1. (10月)インドネシア出張に伴う状況調査、インドネシア赴任経験者への聞き取り
  2. (11月~2011年3月)情報収集及びデータ整理
2年目:
基金内資料の収集と所在確認資料整理・分析及び最終提供物の形式・内容のデザイン(情報一覧及び年表作成) ⇒ 最終提供物の作成/公開

目的と概要

第2次世界大戦後のインドネシアにおける日本語教育は、1960年代からコロンボ計画により日本語教育専門家の派遣が開始されて以降、教育機関における日本語教育支援が本格的に開始された。その後高等教育機関での日本語学科の開設、中等教育段階で日本語が外国語選択必須科目の一つとして認められるようになるなど、日本語教育を取り巻く環境が整備されてきた結果、2009年には学習者数世界第3位、71万4千人に達した。

これらの学習者に対する日本語教育は、多くの場合、インドネシア人教師によって行われている状況があるが、このような日本語教育の発展の中で、日本語教育専門家派遣を中心として、国際交流基金の果たした役割は大きい。

しかし、これまで網羅的にインドネシアにおける日本語教育の発展と基金事業との関わりを整理し、記述されてきたとはいえない。そこで、本プロジェクトでは、基金内の各部署に分散している文献・資料類や、関係者への聞き取りなどを通じて、インドネシアの日本語教育の発展の様相をとらえ、その中での基金の関与を整理・記述し、特徴的な視点から可視化した資料を作成し、今後のインドネシアに対する日本語教育支援のあり方を探るための資料として提供したい。また、日本語教育専門家派遣機関で日本語教育を受けたインドネシア人教師が、日本語国際センターで研修を受け、当該国の日本語教育の主導的立場になっているケースの調査(当該人物への聞き取り調査等)、日本語国際センター及び関西国際センターの研修生の動向調査など質的な調査手法も利用する。

このような試みは、一つのケースとして、他の国・地域の日本語教育の発展と基金の貢献を示すとともに、今後の基金の国・地域別日本語教育支援のあり方を考えるための資料作成のプロトタイプとして活用され得る。


成果の概要

2ヵ年計画の1年目にあたる2010年度の経過は以下の通り:

1.調査の実施

  • パイロット聞き取り調査(2010春短研修参加者:教育省関連機関職員1名、高校教員1名)の実施及び調査結果のまとめメモの作成
  • インドネシア赴任経験者への聞き取り(3名)

2. 資料の作成

  • インドネシアの日本語教育関連文献一覧の作成
  • 古川のインドネシア出張(10月)に伴う、インドネシアの日本語教育に対するJFの関与の歴史的整理資料の作成

3. 課題

  • インドネシアにおける日本語教育年表を、専門家派遣機関を中心にとした基金の支援とともに記述する作業を行う予定で、その中にインタビューで得た当事者としての個人を位置づけることを計画しているが、年表作成は2011年度の課題として残った。

以上の取り組みについて、2011年度前半で日本語教育年表素案を作成し、同時に継続的に情報収集を行い、2011年度後半で全体を整理し基金内外で発表できるよう資料としてまとめる予定である。