日本語国際センターについて

2014年度下半期 調査研究プロジェクト
海外日本語教師短期研修文法授業(上級クラス)シラバス作成の試み

計画者 生田 守(専任講師)
プロジェクト参加者 代表者のみ
外部協力者 なし

目的と概要

「世界言語のひとつとして日本語をとらえる」といった視点からの言語系授業を提示することにより、当センター研修における言語学・文法系授業の位置づけが明確になり、教授内容の質が向上すること、また、文法授業を担当する講師にとっても、授業をデザインする上で参考となるべく資料を整えることを目的に研究を行った。

海外日本語教師短期研修(多国籍)において、最上位クラスの文法授業を担当してきた経緯を踏まえ、3研修(春・夏・冬)の特徴に応じて、研修ごとに最適なシラバス(3コマ×5回および3コマ×4回+2コマ×4回)作成のための指針を立てた。今回の調査研究においては、研修ごとにその特徴に応じたシラバスを整理した。すなわち、春短期においては初中等教育、夏短期においては大学および一般機関、冬短期においては高等教育と、参加者がたずさわる教育機関に、それぞれの特徴があり、また、文法力から言っても、研修ごとに差がある。このような各研修の特徴を反映させたシラバスを作成するための指針を立て、シラバスのプロトタイプ、すなわち、最上級クラスの授業目標および教授項目を一覧にした物を作成した。

また、春夏冬研修間の差異、中下位クラスとの差異に関しても、モデルを立てた。


日程

●開始 平成26年9月 ~ 終了 平成27年3月

●スケジュール

本件は、4月から特定課題研究業務として作業が進められており、すでに、多国籍研修のおける文法授業のシラバス・授業報告書・フィードバック・教材・配付資料などを収集し(過去3年分)、整理・分析を行った。

[10月~12月]
  • (引き続き)多国籍研修での文法授業に関する、シラバス・教材分析
  • 自分が行った授業の配布資料、シラバスおよび参加者からのフィードバックの分析
  • 参考文献参照
[1月~3月]
  • 今後の研修に向けてのシラバスと教材を検討
  • 過去配付資料の分析および考察

成果の概要

  1. 過去3年間の多国籍短期研修のシラバス、配布教材、授業記録などから、上級クラスのシラバスを作成した。(別添資料1参照)
  2. 比較のために、中下位クラスのシラバスに関しても、過去の資料からプロトタイプをまとめた。(別添資料2参照)
  3. 上位クラスに関して、春夏冬参加者のプロファイルを作成した。
    ①春短期参加者
    中等教育機関で教えている。教える際の文法知識は十分にあるが、運用する際には、ときおり不正確さも見られる。当授業においては、教授項目に関してはかなり知識を持っているが、視点を変えてとらえなおすことには多少の困難を覚える。理論的な談話を持続して理解するのにも多少の困難を覚える。運用のための練習が必要と思っている。
    ②夏短期参加者
    高等教育機関(あるいは一般教育機関)で教えている。教える際の文法知識は十分にあり、運用力も高い。運用のための練習も必要だが、教室でどのように文法を教えるか、どのような活動に結びつけるかにも関心がある。言語学にも多少ふれたことがあり、理論的な談話を理解することも可能である。
    ③冬短期参加者
    高等教育で教えている。中上級を教えることもあるが、教える際の文法知識は十分である。時折間違いが出るものの、運用力はきわめて高く、自らの文法の間違いを振りかえることができる。言語学にも多少ふれたことがあり、理論的な談話の理解や分析的な視点も有している。研究的な関心も持っている。

    という3種類のプロファイルを作成した。

  4. 当センターの文法授業として3つの方向性を立て、各研修で目指す文法授業の概要を提案した。
    すなわち、
    A 文法学習型(コミュニケーション言語能力)
    日本語学習の性格が濃く、形・意味・用法についての正確さを目指す。シラバスは文型・陳述形式による。
    B 文法タスク型(コミュニケーション言語活動)
    文法をどう教えるかという教授法的性格が強い。コミュニケーションのための文法であり、 場面・状況が重視される。文法タスク。
    C メタ認知型(コミュニケーション=言語認識)
    日本語学・言語学的な性格が濃い。ユニバーサルな観点から日本語を分析する。また、母語や他言語との比較・対照を通じ、言語の性質を明らかにする。自分で考える文法を目指す。

    という3つの方向性を示した。
    さらに、上記ABCのタイプを参加者プロファイルを参考に研修ごとにそのウェイトの配分を仮定した。
    すなわち、
    A:B:Cが、春短においては4:2:4、夏短においては3:3:4、冬短においては2:2:6の配分を仮定した。
    また、中下位クラスにおいてはA>B≫Cという不等式を仮定した。

  • JF日本語教育スタンダードのサイトへ 外部サイトにリンクします
  • みんなのCan-doサイトへ 外部サイトにリンクします
  • みんなの教材サイトへ 外部サイトにリンクします
  • まるごと 日本のことばと文化のサイトへ 外部サイトにリンクします
  • いろどりにリンクします。 外部サイトにリンクします
  • エリンが挑戦!にほんごできます。のサイトへ 外部サイトにリンクします
  • 日本語教育通信のページへ
  • 日本語教育紀要のページへ
  • リポジトリのページへ 外部サイトにリンクします