平成24年度 中国大学日本語教師研修

研修参加者の声

(修了式・歓送会のスピーチから一部抜粋しました)

閻晶さん (紹興文理学院)

閻晶さん 今回日本で勉強できる機会に恵まれ、心からうれしく思っております。この二ヶ月弱の研修の間、勉強や見学、旅行で、充実した毎日を過ごしました。 勉強の面では、総合日本語と教授法のほかに、日本事情もありました。日本語の教師と言っても、まだまだ未熟なもので、今回はもう一度学習者の立場になって、勉強しました。授業を通して、いままで気付かなかったことを見つけたり、いろいろな教授法を習ったりしました。先生方の話は非常に面白くて収穫も大きかったと思います。私個人は長年聴解の授業を担当していますが、今回の授業でも聴解の教え方があり、非常に勉強になりました。研修中、聴解の教え方だけではなく、他の授業の教え方もあり、たくさんのヒントを得ました。おかげさまで、自分の教え方を見直すことができたり、教授法に新しい考え方を取り入れようと思ったりしました。これから今度習ったものを授業でぜひ一度試してやりたいなあと思います。また、最後に教授法の発表会があって、他の大学からの参加者が担当している授業の紹介や研修で得た成果を聞いたり見たりすることができて、非常に勉強になりました。教え方に関する悩みの解消にも役立ちました。 そして、歌舞伎や茶道、華道をも体験させていただいて、面白いのはいうまでもなく、日本文化をいっそう味わうことができまして、よかったと思います。
そのうえ、見学、旅行の面では、東京のみならず、ずっとあこがれていた京都までも行くことができ、金閣寺や清水寺などを見学して、とても印象深かったです。そこでの思い出もとても宝物のように大切だと思っています。
日本語国際センターの先生方やスタッフのみなさんとの二ヶ月弱の触れ合いを大切にして、これからの日本語教育に力をもっと尽くしていきたいと思います。


韋登山さん (桂林旅遊高等専門学校)

韋登山さん 秋晴れが続く紅葉の季節に、国際交流基金のお招きに預かり、北浦和日本語国際センターにて、研修が出来たことは、我々にとって、またとない貴重な機会でございました。 今回の研修は、52日間という短い期間ではございましたが、日本語や日本語教授法の授業に加えて、ホームステイ、歌舞伎鑑賞、生け花・茶道などの日本の伝統文化体験、埼玉市民との友好交流、ボランディアの方々へのインタビュー、防災訓練、それに、関西への研修旅行など、様々な内容を勉強させていただきました。 我々中国の日本語教師は、これまで、長年教壇に立って来ていましたものの、日本語教授法については、あまり真剣に考えたことはなく、ただ感性的な模索を重ねてきていたのではないでしょうか、今回の研修によって、この感性的なものが理性的なものに昇華され、これまでの日本語教育を振り返って、いろいろと考え直すようになれましたことは、今回の研修で受け取とりました最大の収穫だと存じております。帰国してからも、日本語国際センターで学んだ知識を日本語教育の現場に生かして、その波及効果を一層広げていきたいと存じます。


高芃さん (黒龍江大学)

高芃さん 五日間の関西研修旅行は、盛りたくさんの充実したスケジュールで十分楽しみました。旅行中、初めての体験も多かったです。初めてのたこ焼き、プロのように手早くぱっぱと丸めることができなかったけれども、自分が焼いたものをみんなに自慢しながら口に入れて最高の味を味わいました。初めての風呂敷包み、自分の手の中からバラのような結び目が出来上がりました。初めての友禅染、摺り込み友禅と呼ばれる手法を用いて何もない生地の上に自分の好きな模様を入れて一点物の風呂敷を仕上げました。 みなさんはその初めて体験されたときの気持ちはいま覚えていますか。ワクワク・ドキドキ、周りの人にほめられるとまるで小学生のように心から喜んでいたのではないでしょうか。でも、考えてみてください。もしこれから毎日のように、たこ焼きを作ったり、お弁当箱を包んだり、同じ模様を摺り込んだりすると、私たちの気持ちがどうなるでしょうか。そのワクワク・ドキドキの気持ちがずっと続くのでしょうか。
いつの間にか後輩だった自分が先輩になり、新米教師からベテラン教師になります。授業の準備、宿題の添削、試験問題の作成、卒業論文の指導などなど日々の忙しさに追われて、自分を振り返る余裕がなくなります。すべてが習慣になり、すべてが当たり前のようになっていて、つい、初めて授業をするときの自分も忘れてしまいます。
人間というのが、ほかの動物とは違って、過去を振り返ることができる。だからこそより前のほうへ進めるのです。初心者だった自分を忘れず時々初心にかえる必要があるでしょう。今回の研修において、まさに「初心にかえる」絶好なチャンスになりました。先生としてではなく、研修生いわゆる学生として教えることをもう一度考えて、自分の授業をもう一度振り返ってみる。ベテランの先生であっても、このような時間が必要だと思います。インタネットが普及されている今の時代において、学習者が教師以上の情報量を入手することができます。そういう情況の中で教師がどう教えればよいのか、学習者が知っていそうな情報をどう活用すればよいのか、市販の参考書が大量に入手できる情況の中、教師が教材をどう扱うべきかなど、今回の研修ではこれらの答えを見つけることができました。 帰国してから、日本語国際センターで習ったことを生かしてよりよい授業をするように、またセンターの先生方にご報告でもできるように頑張っていきたいと思います。


張剣韻さん (安徽農業大学)

張剣韻さん 五十二日にわたって大変お世話になった日本語国際センターの先生方や職員の皆様、ボランティアの皆様、ホストファミリーの皆様に心より感謝いたします。時間がたつのは本当に速いです。センターについたのはつい先日のような気がしますが、またたく間に2か月の研修が終わり、明日帰国します。2か月の研修を通して私たちはたくさんの教授法に関する知識を身につけました。 今、私たちはcan-do、A1、B2、インプット、アウトプット、ロールプレイ、レアリア・生教材、タスク練習、情報差、選択権などの言葉をよく口にするようになりました。そして、私たちはこれらの知識を中国に持ち帰り、自分たちの授業に生かし、学生たちが楽しく効率よく日本語が学べるよう努力するつもりです。また、今回の研修は授業だけではなく、研修旅行、茶道、華道デモンストレーション、歌舞伎鑑賞、ビジターセッション、さいたま市民のみなさんとの交流会、ホームスティなど実に多彩なスケジュールだったので、私たちは生の日本社会や日本人、日本の伝統文化などに接することができました。日本の社会、文化や習慣をより深く理解することもできました。
皆様のおかげで、52日間の研修は無事に終了できました。中国語には「満載而帰」という言葉があります。その意味は車や船などに荷物をいっぱい載せて帰るということですが、私たちも研修の成果をいっぱい載せた船のようです。52日はとても短いですが、私たちにとって一生忘れられない日々でした。この場をお借りしてもう一度心から皆様に感謝の意を表したいと思います。皆様ほんとうにありがとうございました。
最後に、先生がたこれからそれぞれのご研究領域で一層ご活躍をお祈り申し上げます。また、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。
ありがとうございました。

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