平成28年度 日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)
日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)は、各国の日本語教育界において指導的役割を担う人材を養成する目的で、平成13年度に開設された政策研究大学院大学との連携プログラムです。平成28年度のプログラム(研修期間:1年)は、4か国から5名が参加し、全員、日本語教育の修士号を取得しました。
ジュさん(パク ジュヒョン/PARK JU HYUN/朴 柱衒/韓国/蔚山外国語高等学校)
【研究テーマ】多量のインプットとグループ活動を取り入れた気づきを促す文法指導-「テイル」の状態用法に焦点を当てて-【PDF:7.3MB】
大学生の時には個人的に日本語文法に興味を持っていましたが、教師になって高校で日本語を教えてからは、どう教えたらもっと面白く日本語の勉強ができ、効果的に学習できるのかなど、いわば教授法について色々工夫するようになりました。今回、国際交流基金の日本語教育指導者養成プログラムに参加することによって、教授法について色々勉強することができ、役に立ったと思います。 食事や部屋の掃除など1年間のセンターでの生活においても、図書館や先生たちの指導など研究活動においても、日本語国際センターは最適な環境だったと思われます。外の天気がどうなのかも知らず、課題や研究でずっと部屋に閉じこもっていたため、日本に来ていることさえ実感できなかったことも多かったですが、それもそれなりの楽しさで今振り返ってみるといい思い出です。 私にとって日本語教育指導者養成プログラムはかけがえのない大切な経験でした。このプログラムを通して学んだことは、日本語教師として一層成長できるきっかけになり、学校の現場に戻ってもそれを活かし、今後の自国の日本語教育に貢献できると思います。
ウェンさん(アルヴァレズ ロエリア ヴァレンティノ/ALVAREZ ROELIA VALENTINO/フィリピン/フィリピン大学)
【研究テーマ】フィリピン大学の日本語クラスにおけるディクトグロスの導入
-初級学習者を対象にした試み-【PDF:5.43MB】
プープィンさん(プープィンピュ/PHOO PWINT PHYU/ミャンマー/ヤンゴン外国語大学)
【研究テーマ】ピア・リスニングを取り入れた初級聴解授業の試み-ピアでの話し合いと学習者のテキストの全体的な内容理解の繋がり-【PDF:6.02MB】
私はミャンマーのヤンゴン外国語大学で日本語を教えています。2014年に国際交流基金日本語国際センターで海外日本語教師長期研修に参加したことをきっかけに、この修士プログラムに興味を持つようになりました。帰国してからもこのプログラムに参加した、大学の先輩の先生方からこのコースについていろいろアドバイスを受け、日本語を教える際の様々な教授法においての知識を広げたく、実践研究をやってみたいという気持ちでこのプログラムに申請しました。 このプログラムに参加する前から「このプログラムは一年間、ハードなスケジュールなので覚悟しないといけないよ」と先輩たちから聞いていました。実際にもその言葉の通り、厳しいスケジュールの中で戦いながら毎日を過ごす一年でした。課題やレポートなどの締切に追われたり、自分の研究を進めたりして忙しい毎日でした。しかし、それなりにいっぱいの知識を得ることができた充実した一年でした。日本語の教授法をはじめ、第二言語習得理論、日本語学、異文化コミュニケーション、現代の日本の教育や社会についての知識を広げられた上、自分の現場のことを客観的に見ることもできました。また、研究のやり方、データの見方、分析の仕方などを自分の研究に取り組みながら学ぶこともできました。一緒に参加する仲間同士で悲しいことでもうれしいことでも一緒に共有し合い、励まし合いながらお互いの研究に対する意見を言ったり、そこから新しいアイデアが出てきたり、自分が思いつかなかったことに気付いたりしました。 このプログラムに参加して日本語の教師としても、一人の人間としてもいろいろ成長したと思います。帰国してからは日本語教育に関する研究を続ける一方で、プログラムで学んだ知識を活用して自国の日本語教育のためにがんばりたいと思っています。
ヌェーニさん(ヌェーニウィン/NWE NI WIN/ミャンマー/マンダレー外国語大学)
【研究テーマ】「参加型学習」に基づいた活動に学習者はどう参加し、それをどう捉えたか-マンダレー外国語大学における漢字の授業の改善に向けて-【PDF:6.02MB】
私は2012年に日本語国際センターで海外日本語教師長期研修を受けました。長期研修で教授法を始め、教材作成、漢字など色々な授業を受けた上に日本の文化も体験しました。長期研修の際、修士プログラムの内容を伝える説明会に参加し、そこで、日本語教授法、言語習得、日本語言語研究に関する色々な知識が得られるということが分かりました。これがきっかけで、修士プログラムに興味を持ち、研修を受けるために必要な日本語能力試験N1のレベルに合格できるように努力し、教授法に関する知識を蓄えました。そして、修士プログラムに申請し入学試験に合格して、16期の参加者になりました。 このプログラムでは、日本語教育指導者養成プログラムという目的のとおり、日本語教育事情、教授法、第二言語習得研究、リーダーの役割、異文化コミュニケーションなど日本語教育の指導者のために必要な知識を習得できます。1年間という短期間での研究報告作成は大変でしたが、研究報告作成のために指導教官と副指導教官のご指導と各授業での先生方のご指導、友達との意見交流などで身につけた知識があるからこそ、色々な困難が乗り越えられました。修士プログラム修了後、自分のことを反省して見ると、問題解決のための考える力が弱かった自分はこの1年間を通して、色々な知識を得てから問題解決のために各視点から見る力、考える力が強くなったという感じがします。ここでの1年間は自分にとってとても有意義でした。 帰国後、この1年間で得た知識を生かし、自国の日本語教育の発展のために微力ながら精一杯頑張ろうと思います。
ナレシュさん(ナレシュ クマール/NARESH KUMAR/インド/デリー大学)
【研究テーマ】インターネット上のリソースを活用したピア・ラーニングの試み-話し合い活動の展開に注目して-【PDF:10.3MB】
私がこのプログラムに参加しようと思った理由は2つありました。一つ目は、日本語の仕組み、第二言語習得、教授法に非常に興味を持っていて、いつか自分が興味を持っている分野について研究をしたいことと、二つ目は大学で日本語を教えていて、自分が現場で直面している課題をどのように解決できるかを調べたかったです。このプログラムはとてもチャレンジングですが、それなりの達成感もあります。プログラムの一番いい点は、参加者はすべて現職の日本語教師です。それとともに、日本語国際センターで世界中の日本語教師とも交流ができるし、他のコースの参加者の研究紹介の発表などにも参加することできることはとてもいいと思います。自分の国だけではなく、他の国ではどのようなことが注目されているかを知ることができます。 プログラムのカリキュラムもかなり充実しており、教授法、異文化コミュニケーション、言語学、教師教育論など日本語教師に必要とされることを学びました。授業で、自分の教え方や自国・現場の日本語教育について様々な観点から振り返ってみて、クラスの仲間とディスカッションに参加することで、今まであまり気づいていなかったことに気づくことができたと思います。また、合同ゼミのとき、自分の研究について発表したり、質疑応答に参加したりして、研究についてたくさんのことを学びました。実践研究の指導教官も私にいろいろな質問をし、研究について細かいところまで気づかせてくれました。指導教官は最後の最後まで励ましてくださって、自分の研究を終わらせることができたし、初めての口頭発表もすることができました。勉強や研究だけではなく、日本語国際センターの日本文化体験プログラム(大相撲、和太鼓、能楽鑑賞など)や、大学のフィールドトリップや地方研修にも参加し、日本文化についても様々なことを学ぶことができました。 この一年間で、日本語教育についていろいろなことを学び、さまざまなことを経験し、貴重な思い出もたくさん作りました。国に帰ってからも、本コースで学んだことを自国の日本語教育の発展のために生かしたいと思います。
お問い合わせ
国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
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