平成29年度海外日本語教師短期研修(冬期)
(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、インド、スリランカ、カナダ、エルサルバドル、グアテマラ、ブラジル、ギリシャ、スペイン、ウクライナ、ウズベキスタン、スロベニア、チェコ、ベラルーシ、ロシアの19か国から34名が参加)
研修参加者代表
イグナシオさん(ロペス サコ ノブオ イグナシオ/LOPEZ SAKO NOBUO IGNACIO/スペイン/グラナダ大学)
まずは、研修参加者の心に湧いてくる気持ちを、日本の文化を象徴するひとつの言葉で表したいと思います。「あ・り・が・と・う」。はい、ありがとうございました!日本と日本人の「お・も・て・な・し」に対して、我々は「ありがとう」という感謝の言葉しか出てきません。 理由は少なくありません。このセンターで2か月間弱研修してきましたが、毎週素晴らしい先生方に教わり、親切な人々に出会い、いろいろな文化体験ができ、素敵な思い出がたっぷりできました。それは国際交流基金と日本語国際センターのお蔭です。このセンターを代表される所長・副所長をはじめ、教員、スタッフの皆様にお礼を申し上げたいと思います。 一生忘れられないこの思い出は、日本語国際センターの関係者の皆様以外にも、様々な方々のご協力があったからこそ、可能になったのではないかと思います。センターの活動にご協力いただいた埼玉県の皆様、さいたま市の皆様、ホームステイ先のホストファミリーの方々、所沢北高校の方々、どうもありがとうございました。 また、落語鑑賞、和太鼓デモンストレーション、茶道など、我々研修参加者はバラエティに富んだ文化体験をすることができました。そういった活動や指導を引き受けてくださった先生方や専門家にも心を込めて感謝いたします。 あっという間に、2か月間が経ちました。来日する前にはそれぞれに「目標」があり、その達成を目指して、世界各国からこのセンターに参りました。しかし、終わってみると、自分の目標をはるかに超えるものが得られたのではないかと思います。日本語・日本文化・日本語教授法の知識と能力を広げていくとともに、新しい友達を作り、新しい縁を結び、新しい人間関係を築きました。ここで、妙心寺退蔵院副住職の松山大耕氏の言葉をお借りしたいと思います。「世界にはたくさんの人がいて、それぞれ皆さん、感謝の気持ちをもって、安心感を得て、そして、自分の人生を全うする」。これが幸せに生きるために必要なことです。幸せは心の安らぎと安心感から生まれます。この海外日本語教師短期研修(冬期)では、その一歩を踏み出すことができたと思います。 皆様、あらためて、心から「あ・り・が・と・う」ございました!
1クラス
バンクさん(ヨッドウォンルアン ディッチャーマコン/YODWONGRUAN DICHAMAKRON/タイ/サッパワィッタヤーコム学校)
「冬期」という言葉があります。短い言葉ですが、たくさんの意味が込められています。まずは「冬」。すごく寒かったですが、センターの先生方とスタッフと研修参加者の皆様のおかけで、気持ちはとても暖かくなりました。次は「期」。2か月の短い期間でしたが、いろいろな体験をもらいました。ですから、冬期の短期研修は幸せな時間でした。 1クラスの授業は、担任してくださった先生方のおかけで、楽しく過ごすことができました。困ったとき、授業のわからないとき、ミスコミニュケーションがあったとき、みんなはいつもお互いに助けあいました。写真を撮ったり、笑ったり、いろいろな国のことを話したりしました。フレンドシップが、とても良かったです。 授業では、文法、総合日本語、教授法、日本文化、プロジェクトワーク、その他、様々な科目を勉強させてもらって、いろいろな知識と教え方を学びました。センターの外でも、学校訪問、ホームステイ、落語、埼玉県学、さいたま市民のと交流会、外国人支授機関訪問など、いろいろな活動を体験しました。 この2か月間で学んだことは、帰国してから、自分の授業改善にとても役に立つと思います。必ず国の生徒たちにも紹介して、日本語にもっと興味を待たせることを目指して努力していきたいと思います。
2クラス
ランブロスさん(テルゾプロス ランブロス/TERZOPOULOS LAMPROS/ギリシャ/アクソナス教育学校)
この2か月は本当に短く感じました。短いですけれども、この2か月にたくさんのこと、勉強、体験、楽しみもいっぱいありました。 今、2クラスの仲間のことを思い出しています。ギターを弾いたり、歌を歌ったり、芸術的で活発なフィリピンのクラークさん。センターで話した最初の友達です。やさしくて静かに見えるけど、面白くていつも笑わせてくれたロシアのダーシャさん。発表のポスターを作るのを手伝ってくれました。いつもコーヒーを持っていて、面白い話ができるエルサルバドルのマウリシオさん。私にとって、いい先輩で、いい友達です。タイのケートさんは、写真や発表のポスターなど、いろんなものを可愛くしてくれました。授業でよく私とペアになって、協力していろんな活動をしましたね。元気なベトナムのイエンさんは、アニメや日本料理が大好きです。いつも笑っていて、発表のときはお互いに手伝いましたね。いつも他の人を応援する、優しいインドのジャスプリートさん。一緒に高尾山に行ったり、インドの料理を紹介してくれました。グアテマラのファンカさんは、たくさん冗談を言って、みんなに好かれています。東京や色々なところを一緒に旅行しましたね。 そして、先生方はいつも笑顔でやさしく教えてくれました。先生方のおかげで、短い間にたくさん勉強できました。本当に興味深い授業でした。 さて、「いい思い出」というのはどんなことでしょうか。新しい友達を作ることでしょうか。大好きな国で生活することでしょうか。面白いことを勉強することでしょうか。きれいなところを旅行することでしょうか。異文化を体験して、分かるようになることでしょうか。成長することでしょうか。もし「いい思い出」とういうのはこういうことを意味するのなら、私は2クラスの仲間といい思い出を作ったと自信を持って言えます。 この機会をくださって、こんな思い出を作る機会をくださって、本当にありがとうございます。
3クラス
テュ フォンさん(グェン ティ テュ フォン/NGUYEN THI THU HUONG/ベトナム/ハノイ国家大学外国語大学附属外国語高等学校)
2か月があっという間に過ぎました。皆さん、今日の気持ちと初めて会った時の気持ちは同じですか。違いますか。私は少し違います。初めてセンターに来た時も、今もとても幸せです。でも、理由はちょっと違います。 初めてセンタ-に来た時、幸せだと思った理由は、教授法や日本語や日本の文化という先生の仕事に役に立つものが勉強できると考えていたからです。今、幸せだと思う理由は、先生の仕事のことだけでなく、人と良い関係を作ったり、相手の文化のことについて考えたりするための能力や考え方も身につけられたからです。時々、お互いの文化が違うので誤解がありましたが、お互いの国の文化を大切にして、仲良くなれたと思います。 2か月間、センターでの経験について、色々なことが記憶に残っています。教授法の授業では、Can-doや課題遂行、PCPPという日本語の教え方について勉強しました。この方法を自分の授業に取り入れることで、生徒はコミュニケーションができるようになるし、自分の考えや伝えたいことを十分に伝えられるようになると思います。プロジェクトワークでは、文化の見える部分と見えない部分について考えることができました。質問づくりは学生の指導や自分の成長にも役に立つと思います。また、3クラスではいろいろな活動をしました。例えば、寄せ書きをお互いに書きました。カードには、友達のいいところやしてもらって嬉しかったことを書きました。メッセージを書く時、友達の色々なエピソードを思い出しました。みなさん、一緒に勉強してくれて、ありがとうございました。 帰国したら、日本で学んだことを国の授業に活かしたり、職場の同僚に共有したり、生徒達に様々な日本の文化について考えさせたりすることを頑張りたいです。改めて、センターの所長をはじめ、先生方、センターのスタッフの皆様に心よりお礼を申し上げます。
4クラス
ケルさん(ソアーレス ラケール/ANTONIO SOARES RACHEL/ブラジル/リオデジャネイロ日本語モデル校)
2か月前を振り返ると、たくさんの期待もありましたが、いくつかの不安な気持ちもありました。不安のひとつは、ここでどんな勉強ができるのかということです。プレースメントテストを通してクラスが分けられ、研修の目的、科目の内容を知り、不安が徐々におさまり、自分の勉強に集中できるようになりました。 もうひとつの不安は、どんな人たちと出会えるかということです。私たちは授業や文化体験プログラムで毎日意見を交換しました。それを通して、自分のこと、そして、みんなのことがだんだん理解できるようになり、すばらしい仲間になりました。国、文化、性格が違っても、4クラスの人にはひとつの共通点があります。それはどんなテーマでもいつも真面目にディスカッションし、そして、盛り上がってしまうことですね。総合日本語の「人工知能」の授業で、このようなことがありました。はじめにテーマに関連する語彙や表現がわからず、みんなはとてもショックでした。しかし、ディスカッションが始まると、話し合いは止まりませんでした。先生が困ってしまったぐらいです。とにかく、あの「ショック」のおかげで、今、「人工知能」について色々話し合えますね。 宿題もいっぱいでしたが、七転び八起きでいつも一生懸命がんばりました。困ったこと、心配なこと、悩んだこと、不安なこともありました。でも、興奮すること、うれしいこと、わくわくすることはそれ以上にたくさんありました。この研修で先生がおっしゃったように、「泣いても、笑っても、発表をするしかない」という気持ちで自分の課題を進めました。 4クラスのみんなはこれまで何回も日本に来ていて、日本での経験もたくさんあります。でも、今回の研修での経験は私たちにとって、唯一です。国際交流基金の存在も唯一です。日本語・日本文化・日本の勉強だけではなく、人間関係も養い、文化や考えを超え、人と人の心をつなぐ役割を担っていると強く思います。 この貴重な機会を与えてくださり、国際交流基金の皆さまに感謝申し上げたいと思います。そして、学習したこと、体験したこと、いっぱいの気持ちを風呂敷できれいに包んで、国に持ち帰りましょう。そして、それを世界中に普及させましょう。
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