海外日本語教師の養成・研修

令和元(2019)年度 海外日本語教師テーマ別研修(1. 21世紀型スキル、2. ビジネス日本語、3. コースデザイン)

研修参加者の声

1. 21世紀型スキル

昭子さん(シャープ 昭子/SHARP AKIKO/カナダ/カルガリー大学)

シャープ 昭子さんの写真 2001年に在外邦人日本語教師研修でセンターでお世話になってから、あっという間に月日が経ち、日本語教育者としての自分の立場は、当時とは全く違っていることを痛感しながら申請書を準備したことは、それだけで貴重な「振り返り」の機会を得ることができました。「21世紀型スキル」とはどのようなものか調べて事前課題をやってみたものの、一言で説明できるものではないことがわかり、きっと研修後には頭の中はすっきり整理されているだろうと期待に胸を膨らませて日本へ向かいました。 研修の目的は(1)「21世紀型スキル」とはどのようなものか、(2)どうして「21世紀型スキル」の育成が重要なのか、(3)日本語教育では、どのような授業や活動で「21世紀型スキル」が育成できるのか、という3つに絞られ、13か国・地域(中国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、オーストラリア、カナダ、コロンビア、ブラジル、カザフスタン、ブルガリア、ロシア)から集まった私達15名は、先生方から出される難問奇問に頭を悩ませながら毎日を過ごしました。研修の事前課題作成の際に目にしていた「21世紀型スキル」の4つのカテゴリーと10の項目は、「演習1」の概念の理解・整理のはじめに先生方の質問攻撃の後で紹介され、ようやくストンと理解できたような気がしました。その後、実践例の紹介やワークショップがあり、目から鱗の日々が続きました。「演習1」の最後にはグループプロジェクトで実践案を作成できたのはとても勉強になりました。概念から日本語の授業をデザインするというのは授業実践例分析やワークショップなしでは難しく、研修の必要性と意義を痛感する毎日でした。「実習2」では、さらに実践例が紹介され、特別講師による講義を受け、並行して、最終発表(帰国後に実践するための授業案のデザイン)の準備に入りました。長いように思えた研修でしたが、授業と図書館で過ごすうちにあっという間に毎日が過ぎていきました。 研修初日にいただいたポートフォリオには、新たに紙がどんどん足されていき、メモに溢れた付箋があちこちに貼られました。バインダー式のポートフォリオの作成は、学びの振り返りにとても役に立ち、自分自身の考えの変化を知ることができました。紙を使って書き込んでいく作業は「21世紀型スキル」からイメージすると前世紀的な記録の方法に思えますが、今はパソコン以外にずっと私と一緒にいる大切な仲間になりました。研修中に作成した実践計画の発表では、参加者、そして先生方からコメントをいただけたのはとても有り難かったです。実践計画の問題点、はっきりしない点を改善して、実現に向けて努力していきたいと思います。 この研修では、素晴らしい出会いがたくさんありました。国、対象とする学習者、所属する機関は同じではありませんが、日本語教育に対する気持ちは皆が同じで、生徒・学生を大切に思い、努力を惜しまない姿勢に感動し、とても刺激を受けました。研修後、それぞれの国へ戻った友人たちは、研修会や報告会でこの研修での学びを地域の日本語教師たちと共有しています。私も近いうちに報告を待つ熱心な地元の日本語教師達とこの学びを共有させていただくつもりです。 最後になりますが、個性的な15人を引っ張り続けてくださった専任講師の先生方、特別講師の先生方、発表会においでくださりコメントをくださったセンターの先生方、スタッフの方々、そして関係各方面の方々に心より感謝致します。どうもありがとうございました。


ツヴェティさん(イヴァノヴァ ツヴェトミラ/IVANOVA TSVETOMIRA HRISTOVA/ブルガリア/ソフィア「聖クリメント・オフリドスキ」大学)

ツヴェティさんの写真 現在ソフィア大学日本学科の助教授として務めているイヴァノヴァ ツヴェトミラと申します。専攻は日本に焦点を当てた社会学(日本で博士号を取得しました)ですが、社会学だけではなく学士及び修士課程を対象とした日本語の授業なども幅広く教えています。 以前もいくつかの教師トレーニングコースを受講させていただきましたが、国際交流基金の特定テーマに関するこの新しいコースは、特に私の心をつかみました。言語教育だけでなく全体としての教育についてより広い視野を得たいという私のニーズにぴったり合っており、私はすぐに「21世紀型スキル」コースに応募することを決めました。 こちらのコースで同じコースの皆さんに会ったとき、多種多様な国や場所で日本語が教えられていることに驚きうれしく思いました。その多様性によって世界中で日本語がどのように教えられているかを深く理解することができましたし、コースの仲間たちから多くのことを学ぶことができました。 しかし我々のほとんどは共通して、21世紀型スキルがIT関連だけでなくすでに世界的な必要性として構造化され、リスト化されていることを知りませんでした。私の博士論文はe-ラーニングに関連していたため当初は主に21世紀型スキルのIT部分に焦点を当てていましたが、コースが始まると、ITスキルは単なるツールやベースに過ぎず、コースデザインやクラス設計/開発に活かせることに驚きました。 コースの前半は本当に素晴らしいものでした。私たちはグループに分かれ、先生方は私たちが21世紀型スキルを学生に伝える前に、私たち自身がそれが何であるかを確信し、教師として学生にうまく伝えることができるかどうか確認されました。私は特にグループのメンバー交代が功を奏したと思います。この方法によってコース内すべての人と知り合うことができ、誰もが貴重な国際経験を共有する機会を得たからです。国際交流基金の方々が様々な分野の参加者を選抜したことによって、グループ全体がコースを最大限に活用できたと思います。ゲスト講師もまた非常によく厳選されており、彼らの熱意とサポートに感謝しております。 コースの後半は、21世紀型スキルルールに基づいた完璧なレッスンプランの準備とプレゼンテーションで構成されていました。理解しやすく、ファッショナブルで面白いアイディアを見つけ、しかし何より学生のやり方でうまく提示するのは、本当の戦いでした! 私たちは先生方と個別にクラスを持っていたし、私たちのアイディアを守らなければならなりませんでした。これは私がコースについて最も気に入ったものです。 担当の先生方、素晴らしい議論と忍耐と理解をありがとうございました。本当に役に立つ、忘れられないものとなりました。 参加者全員がスキルを獲得し、コースを最大限に活用できたと思いますが、私にとって最も重要な結論は、大学教師として、質問に対して既成の答えを出すべきではないということです。「正解」または「不正解」の解答はありません。生徒に考えさせ、アイディアを結び付け、答えを探すように刺激します。これは、21世紀型スキルの本質だと思います。 改めて、国際交流基金のスタッフであり、このアイディアの発案者であり、有意義なコースを企画して日本での3週間の滞在を快適にしてくれた先生方とスタッフの皆さんに感謝します。安全で楽しかったし、何よりも充実した学習でした!

お問い合わせ

国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawa@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角@マークに変更してください。)