令和5(2023)年度海外日本語教師基礎研修

研修参加者の声

(修了式・振り返りの会での、ご本人による日本語のスピーチを一部編集しました。)

1クラス
フィラさん(ザフィラー サルサビラ/ZHAFIRAH SALSABIL/インドネシア/SMTI 工業専門高校)

フィラさんの写真

この基礎研修を最後までうまく終えることができました。6か月の間にいろいろなことがありました。みんなの意見が賛成も反対もあること、29か国から来ていろいろな文化を持っていることを理解し、家族みたいに感じるようになりました。週末にはみんなと自炊室で食事しながら、冗談を言ったり、日本語の教え方を相談したり、どんな教科書を使うべきかについて話したりしました。いろいろなことがあって今、私たちは「北浦和」を第二の故郷と呼びたいです。

私たちの中には、日本に来るのが初めての人もいました。知り合いもいない外国に飛行機で行くことに緊張も不安もありました。でも、緊張と不安は、空港に到着して友人たちと初めて会ったときに消えました。

この研修のおかげで、天使のようなハートを持った人々に出会うことができました。一緒に笑ったり遊んだり泣いたりしました。ある日、1クラスの読解の授業で日本語の本を推薦する課題が出されました。 その時、私は「アリババと40人の泥棒~アラビアン・ナイトより~」という本を推薦しました。子供のとき、毎晩寝る前にアラビアン・ナイトの話を聞かせてくれた父は、2021年、コロナのせいで亡くなりました。私はその本を選んだ理由を発表しなければなりませんでしたが、みんな、自分にとって大切な人たちを思い出して泣きました。

この研修のおかげで、天使のようなハートを持った人々に出会うことができました。文化体験でホームステイのプログラムがありました。ホストファミリーはとてもやさしかったです。私の言葉や日本の文化をアップさせました。日本ではいつでもどこでも勉強することができます。

国際交流基金の皆様に感謝したいです。楽しい授業をしてくださった先生方、月曜日から金曜日まで栄養を与えてくださった食堂の皆様、1週間に1回私たちの部屋を掃除してくれたハウスキーピングの方々、温かい笑顔で迎えてくださった受付と管理人室の皆様、国際交流基金のスタッフの皆様、そしてもちろん、基礎研修の仲間たちにも感謝しています。

みんなの優しさと日本で一緒に体験したことを絶対に忘れません。機会があったらまた会いましょう。


2クラス
アレクサンドラさん(オルビレル ゴメス マリア アレクサンドラ/HORVILLEUR GOMEZ MARIA ALEXANDRA/コスタリカ/日本文化センター)

アンジーさんの写真

こんにちは。2クラスのアレクサンドラと申します。研修の最後に感謝の言葉を伝えたいと思います。

この6か月間、私達が日本の生活に慣れることができるように、沢山の方が手伝ってくださいました。日本に来る前から研修担当の方は私達をいつもお世話してくださいました。仕事としてだけではなく、人として心から私達のことを心配してくださっていると感じていました。先生方もいつも手伝ってくださいました。

研修中に、私達研修参加者も、講師やスタッフの皆さんも大変なことがあっても、諦めずにベストを尽くしたと思います。クラスメートの言葉を借りると、皆さんが諦めなかったのは、「めっちゃすごい」と思います。私も最後まで頑張りたいと思って、今このスピーチをしています。

2クラスの皆さんはよく分かると思うんですけど、私は沢山の人の前で日本語で話すのがあまり得意じゃないです。とても緊張します。今本当に緊張しています。
ですが、この研修は最初から最後まで挑戦することが大事だと思っていますから、一番難しいことをするのは、この素晴らしい機会を終える一番の方法だと思います。易しいことだけすると、ここまで成長できなかったと思います。日本で生活する中で挑戦的なことを多くして、2クラスのスピーチの代表をすることも決めました。その理由は、友達とクラスメートが私に自信を持たせてくれたからです。今気持ちを伝えながら、心から自信を持っています。2クラスの授業中、沢山笑ったり、楽しいことをしたりしたので、どんどんどんどん自然に話せて、自由に考えを伝えられるようになりました。皆さん、本当にありがとうございます。2クラスにいられたこと、とても嬉しいです。

それから、研修の後に何に向かって努力していくか考えました。色々な新しい目標が出てきました。皆さんも新しい目標があると思います。この研修期間中にしたように、帰国してからも頑張りましょう。怖くても、大きな挑戦でも、息を深く吸ってその明るい目標に向かって歩んでいきましょう。2023年度の基礎研修の皆さん、どんなときも諦めないでください。

ありがとうございました。


3クラス
オルシさん(バラージュ オルショヤ/BALAZS ORSOLYA/ハンガリー/東洋語学学校)

オルシさんの写真

皆さん、改めてこんにちは。3クラスのオルシです。

私たちの6ヶ月にわたる旅が、ついに終わりを迎えました。今日は、基礎研修の修了を祝う特別な日です。私たち日本語教師の仲間たちと共に、この貴重な経験を共有できることを光栄に思います。感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。日本語国際センターの皆様、所長、副所長、先生方、スタッフ、管理人の皆様、食堂の皆様、本当にお世話になりました。

私たちの多くにとって日本文化を体験するのは初めてのことだったと思います。茶道、書道、浴衣着付け、三味線、和太鼓、風呂敷などを通じて、日本文化の理解を深められました。

私は、暇な時間に茶道を学びに行きました。茶屋に入るとき、にじり口という非常に狭い入口から入ります。皆さんも茶道の体験ビデオで見たと思います。あのにじり口に入り、別の世界に到着しました。茶道をする前、時計などのアクセサリーを外さなければなりません。なぜなら、茶屋の和室は外のことを忘れてしまう場所で、外の世界を思い起こさせないようにするためです。これは日本での基礎研修の体験にも当てはまるのではないでしょうか。私たちの世界、国を遠くに置き去りにして、基礎研修に集中しようとしてきました。そして、いつの間にか、この別の世界、日本で6ヶ月が経ちました。

皆さん、この6ヶ月はどのように過ごしましたか。私はクラスの皆に「基礎研修を一言で表すとしたら、どんな言葉にしますか」と聞きました。「一期一会」という答えが出てきました。また茶道の表現ですね。しかし、何が「一期一会だったんですか」と聞くと、皆はさまざまな思い出を呼び起こしました。
ある人は、「子どものころからの夢は日本に来ることでした。山梨で日本を象徴する富士山を見たとき、初めて自分が本当に日本にいると感じ、夢が叶ったと思った」と言いました。山梨研修では富士山の美しい景色に感動し、地元の文化に触れることができて本当に楽しかったです。

ある人は、京都駅でスタンプ集めを楽しんでいた最中に地震が発生し、びっくりしたそうです。でも、地震がすごく日本っぽい感じだったと言いました。
また、高校訪問も印象的でした。ふつうは、日本に来ても現地の学校を訪ねる機会が少ないため、非常に特別な体験だったと思います。高校訪問が一期一会になったという人もいました。英語の授業を見学し、外国語を正しく教えるのが難しいと分かったので、日本語教師としてもっと頑張りたいと、モチベーションが上がったそうです。

それから、センターでの人間関係も一生に一度のものです。ある人は担任の先生やクラスの仲間と共に築いたクラスの環境が素晴らしかったと話してくれました。クラスでは皆がお互いの視点を尊重し、自分の視点をシェアできました。もちろん、3クラスだけではなく、基礎研修全体の協働力が強いと感じられます。それに関連して、クラスメイトのメッセージを伝えたいと思います。「温かいハグをたくさんくださって、ありがとうございました」。

しかし、帰国の日が迫ります。まもなく、にじり口を出て、私たちは普通の生活に戻ります。会うは別れの始め。皆に初めて会ったとき、6ヵ月後には別れを告げなければならないとわかっていたにもかかわらず、今、別れを告げるのは本当に難しいです。ですから、「さよなら」と言いません。今後も連絡を取り合い、友だちはもちろん、仕事上の関係も続けていき、また会えることを願っています。
以上です。

ご清聴ありがとうございました。


4クラス
ガイさん(ウォラチット ウィヤゲート/VORLACHID VIYAKED/ラオス/ラオス日本センター)

ガイさんの写真

皆さん、こんにちは。
基礎研修、お疲れ様でした。どうでしたか?きっと楽しむことができたと思います。

この6ヶ月間は瞬きするぐらいあっという間でしたね。一緒に勉強したり、遊びに行ったりして、全体的にとても楽しい6ヶ月間でした。まだ、一緒に勉強したり、カラオケや卓球をしたりしたいですが、もうすぐ帰国して、皆さんに会えなくなって、とても寂しいです。

まず、今まで優しく指導してくださった先生方、いつもサポートしてくださったスタッフのみなさん、一緒に学んだり、遊んだりしていた研修参加者の皆さん、心から申し上げます。大変お世話になりました。

私はこの研修でいろいろなことを習いました。日本語の教師に必要なのは日本語だけじゃないとわかりました。例えば、総合日本語は文法を勉強したり、音声を聞いたりする普通の日本語の授業だと思っていました。しかし、実際の授業は多文化共生や科学技術などたくさん知らないトピックを勉強しました。今まで経験したことがない授業でした。そして、課題はインタビューや作文やグループワークなど自分にとって苦手なものなので、最初はとても不安で、泣いた日もありました。しかし、総合日本語の授業のおかげで見たことのない世界を触れて、新しい知識をもらいました。そして、自分の限界も超えることができました。クラスメートは優しくアドバイスしてくれましたし、みんなから新しいことばや考え方を習うことができました。

また、教授法の授業でも勉強になったことがたくさんありました。教授法といえばきっと皆さんの頭の中にPCPP(*)のことが浮かびますね。私もいつも先生の「PCPP」が聞こえます。PCPPについて勉強したことで、自分がこれからどうやって学習者に興味を持たせるか、実際のコミュニケーションに近い産出ができるようにどんな活動を取り入れるかを見直すようになりました。そして、模擬授業を通して、授業の計画の書き方、教材作成、学習者とのコミュニケーションなど、教師として必要なスキルを身につけることができました。そして、今でも忘れられないことは、私はコミュニケーションが苦手ですし、面白い話もできないので、楽しい授業ができるかいつも心配していました。しかし、相談の時、先生が「ガイさんらしい授業でもできると思いますよ」と応援してくださいました。そのことばを聞いて、とても嬉しかったです。これから、クラスメートや先生からのフィードバック、教え方、アイデアを生かしてより良い授業ができるように頑張りたいと思います。

最後に今までありがとうございました。心から感謝しています。いつかまたお会いできるのを楽しみにしています。

(*)PCPPは、教授法で学んだ授業の流れの一つです。P…Presentation、C…Comprehension、P…Practice、P…Productionの略です。


懇親会 研修参加者代表
ララさん(ララ モハメド マリ モハメド/LARA MOHAMED MAREY MOHAMED/ヨルダン/JICAヨルダン研修員同窓会)

ララさんの写真

みなさん、こんにちは
ヨルダンから来たララと申します。

みなさん、今日は、この特別な時間にみなさんと一緒にいられることが嬉しいです。

基礎研修に参加して、ちょうど6ヶ月ぐらいになります。つまり、私たちは人生の中で、半年ぐらいを一緒に過ごしました。

みなさん、基礎研修の最初の日を覚えていますか?最初の日はみんなが同じ表情をしていました。それは緊張でした。ずっと「私はだれ?」「今はどこ?」と考えていました。みなさんの顔を見て、もちろんとても優しい方だなあと思いましたが、みんなと仲良くできるかどうか悩みました。しばらくたって、プレイスメントテストが始まりました。到着したばっかりなのにもうテスト?とみなさんの顔に書かれていました。

仲間づくりワークショップや埼玉見学などをして、どんどん仲良くなりました。そして、みんなはそれぞれのクラスに行きました。色々な授業を受けて、私たちの関係はもっと強くなって、最初の日の緊張している顔はなくなってきました。文化体験や地方見学などをして、私たちの関係は一歩ずつ強くなってきました。大変な時でも、勉強が難しい時でも、嵐のように来た課題や宿題の時でも、お互いに応援しながら、一生懸命頑張りました。それで私たちは、日本語で通じることができる家族になりました。いつも応援してくれた家族、いつもそばにいてくれた家族です。私はこの家族の一員になって、とても良かったと思います。

皆さん「出会いは別れの始まり」ということわざを聞いたことがありますか?人生には数え切れないほどの出会いがあります。しかし、その出会いが別れにつながります。愛する人との別れや、大切な人との別れは心を痛めます。私たちは「別れ」を悲しむこともありますが、同時に「始まり」を見出すこともできると思います。人生にはいろいろな変化があり、新しいチャプターや機会が現れるので、私たちは成長していきます。今回は私たちの別れが始まりますが、これからはたくさんの新しい経験や学びが私たちを待っています。

たくさんお世話になったスタッフのみなさん、美味しい料理を作ってくれた食堂のみなさん、いつも掃除をしてくれた皆さん、いつも見てくれた管理人のみなさんと受付のみなさん、本当にありがとうございました。皆さんのお陰で、安心して生活することができました。
いつも私たちの悩みを聞いて、一人一人の面倒を見てくれた研修担当の方、いろいろお世話になりました。本当にありがとうございました。

たくさん教えてくれた先生方、また基礎研修を担当してくれた担任の先生方、本当にありがとうございました。教師としても学習者としても楽しい学びの意味が分かりました。

埼玉市民の皆さん、ホストファミリーの皆さんもありがとうございました。皆さんのお陰で日本の社会が理解でき、埼玉でとても楽しい時間が過ごせました。

また、この研修を導いてくれた研修リーダーの先生に、心より感謝しています。先生は私たち全員を腕に抱き、私たちを一つの家族にしてくれました。いつも私たちのことを心配してくれて、笑顔で迎えてくれて、一人一人の好き嫌いまで覚えてくれていました。今までありがとうございました。

今日は私たちが共に経験したすべての瞬間に感謝し、その絆を永遠に記憶に刻みたいと思います。これから先も、私たちはこの研修で得た知識や経験を大切にし、学習者のために最善を尽くしていくことを誓います。

この研修でいっしょに過ごした皆さんに心から感謝しています。教師としても家族としても心が結ばれました。ですから、今回別れても皆さんと作った思い出はずっと心に残ります。私たちの旅がこれからも続いていくことを願って、皆さんとの素晴らしい時間に感謝します。
以上です。

ご清聴ありがとうございました。


お問い合わせ

国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角に変更してください。)