令和6(2024)年度 海外日本語教師基礎研修
修了式・歓送会での、ご本人による日本語のスピーチを一部編集しました。
歓送会では、清水勇人さいたま市長より、「さいたま市国際友好名誉市民章」が授与されました。

1クラス
グレイさん(グレイ ナイラ ディオドス/GRAY NYRA DIODOS/フィリピン/フィリピン日系人会国際学校)

皆さん、こんにちは。フィリピンから参りました、グレイと申します。
1クラスを代表してご挨拶させていただきます。
「なぜ、みんなが集まって、1クラスになったのか?なぜ今年?なぜこの人たち?特別な理由があるよね?」
これは、「研修ふり返り」の時間で先生が私たちに問いかけた言葉です。正直に言うと、私はもともとこの基礎研修に応募するつもりはありませんでした。昨年度、私の学校では2人の教師が応募できるチャンスがありました。一人はJapan Foundation(JF/国際交流基金)の研修、もう一人は京都の大学への留学。京都に1年間留学できると聞いた瞬間、私はすぐに手を挙げました。でも、上司に強く反対されました。そんな時、以前基礎研修に参加した先輩がこう言いました。「グレイさん、Japan Foundationのほうが合っているよ。」私は頑固なので、最初は納得できませんでしたが、結局いやいや応募しました。でも、今になってみると、私の24年の人生で、最高の決断でした。どうしてかというと、
もし、この基礎研修がなかったら?総合日本語の授業で、さいたまの街の地図を手に歩き回って、北浦和を知ることもなかったでしょう。
もし、この基礎研修がなかったら?高校訪問の授業で、日本語でフィリピンのことを紹介して、生徒たちみんなの「フィリピンはバナナ!」という大きな声を聞くこともなかったでしょう。
もし、この基礎研修がなかったら?世界中から集まった40人の日本語教師と出会うこともなかったでしょう。最初は知らない人たちだったのに、今ではまるで家族のような存在です。一緒に笑い、一緒に悩み、一緒に成長できた、かけがえのない仲間です。
それこそが、この基礎研修の本当の魅力です。異なる国、異なるバックグラウンドの私たち41人がここで学び、成長する機会を与えてくれました。もうすぐ私たちは、言語と文化の知識を教えるだけの教師ではなく、人生を変えるような経験を持った教師となってそれぞれの国に帰ります。
今、私は、はじめの、先生から問われた質問の答えを見つけようとしています。
それは、私たちが出会うべき人たちだったから。
それは、私たちがこの人生の旅で成長するために必要な出会いだったから。
だからこそ、国際交流基金の皆さんへ、心からの感謝を伝えます。
私たちが今の自分でいられるのは、皆さんが支えてくれて、導いてくれて、信じてくれたからです。基礎研修は、世界で一番すばらしい教師研修です。知らんけど。イェェェェイ!!!
2クラス
ラウルさん(オテロ バゲル ラウル/OTERO BAGUER RAUL/キューバ/ハバナ大学)

中学生のころから私は日本に留学するという夢を持っていました。一生懸命頑張ったのに、何回も何回も失敗してしまい、「自分は十分じゃないかもしれない」と考え、諦めたほうがいいと思い始めました。でも、ある日出会った大切にしている人が、また自分を信じる力を与えてくれました。諦めないで夢を叶えるための道を進んだ結果、今、みなさんの前に立つことができています。もう6か月が経ちましたが、今でも夢みたいです。
みなさんにとって、この研修はどんな意味がありますか。私にとって、人生を変える経験になりました。特に、色々な方法で自分にチャレンジできる機会でした。例えば、日本に来る前にたくさんの人の前で話すことを恐れたラウルは、研修のおかげで、今、スピーチをしたくなりました。せっかくスピーチをしていますから、研修のリーダーの先生、2クラスの担任の先生をはじめとする先生方に感謝したいと思います。私たちを導いて応援してくださって、心からありがとうございました。これからも私たちは研修で学んだことをふり返って、頑張ります。基礎研修担当の方をはじめとする、センターのスタッフの皆さまにも感謝したいと思います。日本にいる間、基礎研修の参加者が楽しく過ごせるように心をくばってくださり、本当にありがとうございました。
それから、この研修は他の国から来た人と絆を作る機会になりました。日本に来る前にはいい友達ができるかどうか心配していましたが、今は素晴らしい友達に会えて、うれしいです。一緒にカラオケや卓球をした夜や、教室でも外でも過ごした時間や、2クラスの内輪ネタを絶対に忘れません。悲しくて、寂しい時にも喜びを与えてくれて、ありがとうございます。帰国してからもみなさんで作った楽しい思い出を大切にします。どこにいても、永遠に残る思い出だと思います。
最後に、基礎研修のみなさんへもう一つのメッセージを伝えたいと思います。チャレンジがない人生はありません。ですから、ときどき失敗してもいいです。でも、どんなに人生が難しくなっても、決して希望を失ってはいけません。自分を信じれば、みなさんができないことは何もありません。夢は限界がないからです。壊れた刀を取って、立ち上がって、何度でも成功に向かって戦い続けましょう。みなさんが成功するのを楽しみにしています。キューバから応援します。
3クラス
クインさん(リー ニュー クイン/LY NHU QUYNH/ベトナム/ホーチミン市経済金融大学)

皆様、こんにちは。3クラスのクインと申します。
まず初めに、お伝えしたいことは感謝の言葉です。私にこの貴重な機会を与えてくださったJapan Foundation(JF/国際交流基金)の皆様に心より感謝申し上げます。日本での6か月間の学習と研修の機会をいただき、大変意義深い時間を過ごすことができました。この経験を通じて、私の知識を広げ、日本語教育のスキルを向上させることができました。また、熱心にご指導してくださった先生方に深く感謝いたします。先生方の温かいご指導と惜しみないサポートのおかげで、現代的で効果的な教授法に触れることができました。
また、JFのスタッフの皆様、管理室の皆様、そして食堂の皆様にも心から感謝申し上げます。皆様の細やかな配慮と温かいサポートのおかげで、私たち研修参加者は快適な学習環境と生活環境の中で、勉強に専念することができました。
この研修を通じて、私は多くの貴重な知識と経験を得ることができました。文法の授業では、日本語の構造をより深く理解して、分析力や指導力を高めることができました。多文化共生をテーマとした総合日本語の授業では、言語の多様な使い方や文化的な違いについて学べました。特に、教授法の授業では、実際の授業設計や、テクノロジーを活用した教授法について学び、より効果的に知識を伝えるスキルを身につけることができました。また、文化に関する授業を通して、文化的要素を授業に取り入れる重要性を理解でき、より自然で魅力的な日本語学習環境を作る方法を学びました。
この研修では、学びだけではなく、素晴らしい仲間にも恵まれました。かわいらしい1クラス、楽しい2クラス、勤勉な4クラス、そして特に自由な3クラスの皆さん。皆さんと過ごした時間は、私にとってかけがえのない思い出です。3クラスに入ることができたのは幸運だと感じていましたし、今でもそう思っています。クラスメート一人一人が、それぞれ異なる色を持っていて、このJFでの学びをより豊かで価値のあるものにしてくれました。
学習のこと以外では、日本文化の多くの魅力的な体験をする機会もありました。浴衣を着たり、三味線を弾いたり、和太鼓を叩いたりすることができたのは、忘れられない思い出です。これらの体験を通して、日本文化の深さを感じるとともに、「一期一会」の精神を強く実感しました。一つ一つの瞬間は二度と戻ってこないからこそ、大切にしなければならないと改めて思いました。
皆さんもご存じのとおり、私は日本語での会話があまり得意ではありません。しかし、今日はここに立って、最後の挑戦をしたいと思いました。なぜなら、私の気持ちを皆様に伝える機会を持ちたかったからです。総合日本語の授業で最初にスピーチをしたとき、自分の言いたいことがうまく言えなかったことにがっかりしました。だから、今日、日本語が上手ではなくても、発表をしようと決めました。やりたいことをやらずに後悔したくなかったからです。
私が一番好きな日本語の言葉は「一期一会」です。しかし、私にとって「一期一会」は単なる一度きりの出会いではありません。一つの瞬間は一生に一度しか訪れないかもしれませんが、縁は私たちが望めば続いていくものだと思います。41人の研修参加者、先生方、JFのスタッフの皆様と共に過ごした時間は、一生で永遠に忘れられないものです。そして、私はこれが最後ではないと信じています。別れは好きではないので、「さようなら」とは言いません。「一期一会」という言葉が好きだからこそ、また皆さんと新たな「一期一会」があることを願っています。ですから、最後に伝えたい言葉はこれです。
「私が大好きな皆様、また会いましょう。」
ご清聴ありがとうございました。
4クラス
ニンさん(ニン エイッ ウェイ/HNIN EAINT WAI/ミャンマー/あいみ日本語学校)

皆さん、こんにちは。ミャンマーから参りました、ニンと申します。
国際交流基金日本語国際センターの先生方、スタッフの皆様、そして基礎研修の皆さん、6か月間、大変お世話になりました。
この研修を通して、たくさんの学びと素晴らしい経験をさせていただきました。特に、一番印象に残っているのは、特別授業の「もっと知って、私の国・私のこと」です。自分の国について改めて考える機会があった一方で、他の国の文化や価値観を知ることもでき、世界がもっと広がったように感じました。それに、「もっと知って、私の国・私のこと」の発表会を通して、この41人はただの日本語教師ではなく、それぞれ素晴らしい能力を持っている日本語教師だと実感しました。
6か月は長いように思えますが、この研修の6か月は本当にあっという間でした。去年の9月にみんなと一緒に川越へ行ったのが、まるで昨日のことのようです。来たばかりの頃は、お互いにまだ壁があったかもしれませんが、日本語という共通の道具を使いながら、少しずつその壁を崩していくことができたのではないでしょうか。文化や言葉が違っても、41人の仲間と一緒に学び、助け合い、笑い合った日々は、喜びにあふれていました。
これからは、食堂の「ピザです」、管理人さんの「お帰りなさい」、また、娯楽室で響く卓球の音など、あたりまえだった日常の音が聞こえなくなります。でも、一緒に過ごした6か月の思い出は、何年経っても心の中に残り続けるでしょう。
このような素敵な時間を過ごせたのは、基礎研修を支えてくださったすべての皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。特に、4クラスの皆さん!「国の代表ではない」という担任の先生の言葉のおかげで、どんな意見でも自由に話せる雰囲気が生まれ、授業では緊張せずに自分の考えを伝えることができました。皆さんのおかげで、「自分の経験や考えを大切にしていいんだ」と思えるようになりました。
これから帰国し、日本語教師として忙しい毎日が始まると思いますが、たまにはSNSで連絡を取り合いましょう。この素晴らしいつながりを大切にして、またいつかどこかで会えることを楽しみにしています。
皆さん、本当にありがとうございました。
歓送会 研修参加者代表
アレさん(チンチージャ アルバラド サルバドール アレハンドロ/CHINCHILLA ALVARADO SALVADOR ALEJANDRO/ホンジュラス/精神文化院)
アンドレアさん(ビセンシオ シルバ アンドレア サマンタ/VICENCIO SILVA ANDREA SAMANTHA/メキシコ/いちご日本語)

皆様、本日は、お忙しいところ私たちのためにわざわざお越しくださいましたさいたま市長をはじめ、ご来賓の皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
この度、さいたま市での6か月間の生活と日本語教師研修を終え、多くのことを学び、感じることができました。北浦和での生活は、初めての環境でしたが、皆様の温かいお心遣いとご支援のおかげで、私たち41人は充実した日々を過ごすことができました。言葉では言い表せないほど感謝しております。
私たちの中には、初めて日本で生活を始め、不安を抱えていた者もいました。しかし、こちらさいたま市での生活は、私たちにとってかけがえのないものとなりました。さいたま市は、日本での暮らしを知るための最高の入り口です。
私たちは、高校や小学校の生徒や先生方の日常生活を体験できましたし、温かく迎えてくださった埼玉県の皆様のご家庭でホームステイをさせていただくこともできました。また、さまざまな年代や背景を持つ多くの方々と交流する機会にも恵まれました。
日本語だけでなく、さいたま市の皆様の文化や価値観を学ぶことができたことは、私たちにとって大変貴重な経験です。これらの思い出は決して忘れることはありません。ここで学んだことをそれぞれの国へ持ち帰り、いつまでも心にさいたまを刻んでまいります。
私たち基礎研修参加者一同、心より感謝申し上げます。
本当にお世話になりました。
お問い合わせ
国際交流基金(JF)日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
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