平成27年度 日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)

日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)は、各国の日本語教育界において指導的立場に立つ人材を養成する目的で、平成13年度に開設されました。平成27年度のプログラム(研修期間:1年)は、平成27年9月から平成28年9月に実施され、4か国4名が参加し、全員、日本語教育の修士号を取得しました。

ヴィさん(トラン グエン バオ ヴィ/TRAN NGUYEN BAO VY/ベトナム/ホーチミン人文社会科学大学日本学部)

研究テーマ

ベトナム人中級学習者の説明文の読解上の問題点-ホーチミン人文社会科学大学日本学部2年生と3年生を例にして-

ヴィさんの写真 私はホーチミン人文社会科学大学で教えています。学習者が頑張っている姿を見るたび、日本語教師の仕事はとても楽しい仕事だと思っています。しかし、経験が浅い若手教師の私は現場での様々な問題に直面していました。そこで、自分の授業を改善するために、また学習者が抱えている問題を深く知るために、国際交流基金の日本語教育指導者養成プログラムに参加することにしました。来日する前に、先輩と先生の方々から「このプログラムはとても大変ですよ」ということをよく聞きました。自分で体験してみたら、本当に大変でした。しかし、一生懸命勉強したり、一生懸命日本を楽しめたりすることで、とてもいい思い出を作ることができました。また、このプログラムでたくさんの貴重な出会いがありました。日本語国際センターは世界中の日本語教師が集まってくる拠点であり、「にほんごじん」が交流している所です。多くの人との出会いから、日本語は私のコミュニケーションのツールや仕事のツールだけではなく、私と更なる世界の架け橋となりました。これから、日本語を勉強するみなさん、日本語を教えるみなさん、そして、このプログラムに参加するみなさんにいい出会いがありますように。


アリファさん(ヌル アリファ ビンティ マッド ユヌス/NUR ALIFAH BINTI MD YUNUS/マレーシア/マレーシア・ジャパン高等教育プログラム)

研究テーマ

音符に焦点を当てた漢字学習ストラテジー指導-日本留学予備教育での非漢字系学習者を対象として-

アリファさんの写真 日本語教師になって半年後、国際交流基金クアラルンプール文化センターが開いたJFKL日本語教師研修コースに参加しました。そして、平成25年度海外日本語教師長期研修を参加するために、日本語国際センターに来ました。そこで、初めて修士のコースのことを知りました。 長期研修から戻って、現場の上司や同僚の先生たちに次は修士に行ったほうがいいと勧められました。長期研修の間に日本語や教授法をいろいろ勉強しましたが、日本語や日本語教育について勉強したいという思いもありました。他の大学の修士コースも見ましたが、センターには専門の先生方も集まっているし、仕事を長く休めないので、センターの修士コースを受験することにしました。 来る前に、「センターの修士は、めっちゃハードだから、覚悟してきてね」と言われました。実際に来て、このコースの厳しさを思い知らされました。「第二言語習得研究」「言語教育研究法」「日本語学」などの授業を受けながら、自分の特定課題研究に取り組むのは、体力的にも精神的にも厳しかったです。提出の締切に追われていて、1日25時間あればと思ったときもあります。しかし、先生方は授業の内容をわかりやすく伝えたり、研究の指導教官は休日や夜中を関係なく指導をしたりしてくださいました。そのおかげで、自分にとって終わりそうもない研究が終わらせることができました。修士コースを担当されない先生方やスタッフの方からもいつも励まし言葉をいただき、とても心強く思います。 言われたとおり、このコースは本当にハードでしたが、1年の間に日本語、日本語教育、研究のやりかたについての知識がどれだけ身についたか数えられません。この1年間で学んだことや研究の成果を活かして、マレーシアの日本語教育に貢献できるよう、できることから始めたいと思います。


ウィンさん(ウィンウィンタン/WIN WIN THAN/ミャンマー/マンダレー外国語大学)

研究テーマ

マンダレー外国語大学におけるアウトプット活動の有効性を探る授業の試み-学習者の受身文に関する中間言語体系はどう変化したか-

ウィンさんの写真 私は5年前、国際交流基金の海外日本語教師長期研修に参加しました。その時、同じ国の先輩が日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)に参加していました。先輩から「修士課程は大変なコースだけど、教師として日本語の知識や教授法や言語習得理論など日本語教育に関する知識を得ることができ、とてもいいコースだから、応募するべきだ」とすすめられました。現場の日本語教育では教授法に関して不足点があり、それを改善するため日本語教育に関する知識が必要だと考えました。長期研修に参加したことをきっかけに、いつか修士コースに参加したいという希望を持ち、このプログラムに参加しました。 本コースでは教師教育論、教授法、第二言語習得、異文化コミュニケーションなどの授業を通して、日本語と日本語教育に関する幅広い知識を得ました。異文化コミュニケーションの授業を通して、言語と実際の社会の関係を理解するようになりました。それをきっかけに日本文化の授業の工夫と改善法も把握するようになりました。自分の日本語能力、教える能力について自信を持つようになり、教師は多様な資質能力を有することが必要であることを実感しました。 短い1年間でしたが、授業のことをおろそかにせず研究もすすめていくことは様々な苦労がありましたが、指導教員や他の先生方から熱心なご支援をいただき、様々な困難を乗り越えることができました。先生方の励ましの言葉で前向きな気持ちを持ち、最後まで続けられたことに、心から感謝しています。 帰国後、本コースで、教師としての立場、学生としての立場、研究者としての立場から学んだこと、新しく発見したことを自分の教育現場に生かし、自国の日本語教育発展のために努力していきたいと思います。


カメさん(カウズラリッチ カメリア/KAUZLARIC KAMELIJA/クロアチア/ザグレブ大学)

研究テーマ

会話における学習者の参加と不安の分析-インタビュー活動のやり取りと振り返りに注目して-

ウィンさんの写真 正直に言えば、この修士課程に申請したとき、実際に勤めている現場に関して研究を行うことより、自分の関心が日本語、日本文化、教授法等について学ぶことに向いていました。しかし、この1年間を通して、その態度が大きく変化してきました。まず、私には細かいことに注意しつづける忍耐力が不足していました。しかし、このプログラムのおかげで、研究に必要な忍耐力を身につけたと思います。研究していた現場の問題を客観的に分析し、自分なりの解決方法を検討し、頭の中で長い間もやもやしていたことを最後に研究報告にまとめることができたのは、先生方とクラスメートの支援のおかげです。この修士課程で習った問題解決型の考え方は研究だけではなく、毎日の授業計画のようなことにも非常に役に立ちます。1年間の経験を振り返ってみれば、この修士課程に申請しようと思っている人にとって一番大切なのは、実際に現場のニーズを考慮すると同時に、自分自身が強く関心を持つ研究テーマを選ぶことだと思います。私はそれができたおかげで、一番忙しいときにも意欲を保ち、作業に集中できました。 修士課程自体について言えば、毎日の作業が圧倒的に多いのにプログラムが非常によく整理されています。授業の内容はとても面白く、クラスメートと意見交換をする機会も多いです。専門家の先生方は日本語教育に本当に熱心で、その熱心さが私たち学生にも伝わりました。自分にとって、この経験は、教授法だけではなく、人間と自分について新しいことを学び、考えを深めるのに最大のチャンスでした。帰国後は、教えていただいたことを授業に活かし、研究を続けていきたいと思います。

お問い合わせ

国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
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