令和7(2025)年度 海外日本語教師基礎研修

令和8(2026)年2月24日、海外日本語教師基礎研修の修了式・歓送会を行いました。修了式では、清水勇人さいたま市長にご臨席いただき、清水市長から、さいたま市国際友好名誉市民章が授与されました。
以下、修了式・歓送会での研修参加者たちによるスピーチを一部編集してご紹介します。

基礎研修修了式にて、約50人が写っている集合写真。手でハートをつくっている。

1クラス

カマンダさん(ムルンバ カマンダ マルドシェー/MULUMBA KAMANDA MARDOCHEE/コンゴ民主共和国/コンゴジャパン コーナー)

カマンダさんの写真

私は子どものころから、日本に憧れていました。アニメや漫画を通して日本を知り、いつか日本を訪れ、日本語で話し、日本の人々と暮らしてみたいと夢見ていました。

大学卒業後、日本語を学び始め、教師になり、自分の国の人々にも、日本の言葉と文化の素晴らしさを伝えたいと思うようになりました。そして今回、この研修に参加する機会をいただきました。
しかし研修の初め、私は自分の日本語に自信がありませんでした。間違えるのが怖くて、研修担当の職員の方々や先生方と話すことさえ避けてしまうことがありました。けれども皆さんは、私の不完全な日本語にも優しく耳を傾けてくださいました。

そのとき私は、大切なのは上手に話すことではなく、伝えようとする気持ちだと気づきました。
それから少しずつ安心して話せるようになり、自分の成長を感じるようになりました。

また、忘れられない出来事があります。「右も左もわからない」という日本語の表現がありますが、私は「右」と「石」のちがいがわからなくて、最初は「石山先生」のことを「右山先生」と呼んでしまいました。そのたびに友人たちは笑いながら優しく直してくれました。そして今では、自信を持って「石山先生」と呼べます。

ホームステイのときに、ホストファミリーのおじいさんと日本酒の飲み放題をして、私はもっともっと日本酒が好きになりました。国のおみやげに日本酒を買ったことは言うまでもありません。

研修中、私にとってとてもつらい出来事もありました。大切な人を亡くしたのです。深い悲しみの中で前に進めなかった私を、仲間がそばで支えてくれました。「最後まで頑張ろう」という言葉に励まされ、ここまで来ることができました。

先生方やスタッフの皆さま、そして仲間たちの温かさに支えられ、私はここで最後までやり遂げることができました。

この研修で得た経験は、私の人生を大きく変えました。日本語を学ぶことは、新しい人生を始めることだと言われます。私は今、その意味を心から実感しています。日本語を通して、新しい考え方、人との向き合い方、そして支え合う心の大切さを学びました。

帰国後は、日本語教育を通して、言葉だけでなく、人を思いやる心や文化の素晴らしさを伝えていきたいと思います。

最後に、この貴重な機会をくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

2クラス

ドゥニャさん(イリッチ ドゥニャ/ILIC DUNJA/セルビア共和国/カルロヴツィ言語学校)

ドゥニャさんの写真

日本での6か月は本当に早かったでしょう。 まるで昨日この同じホールに座り、オリエンテーションを受けたばかりのような気がします。毎日毎日、「あーまだ5ヵ月あるよ」「まだ4ヵ月あるね」と話していたのに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

この研修を通して、一人一人が多くのことを成長できたと確信しています。 総合日本語、文法、 読解、実用文など、様々な授業で日本語をより深く学ぶことができました。 特に印象に残っているのは、クラス内での発表です。ディベートで意見をぶつけ合ったり、ポスター発表をしたりして、私たち2クラスみんなは、日本語で初めての挑戦を共にたくさん経験しました。また、受身や、敬語などの文法知識もたくさん勉強しました。そして、特に私に大きな影響を与えたのは、模擬授業とPCPPの授業の流れです。一学期のころ、PCPPの内容を詳しく学んできましたが、実行するのは難しいと気づきました。だから、今からも教授法で身につけられたことをちゃんと活かしたいと思います。

このように、私たちは様々なことに挑戦することで、日本語教師として大きく成長できたと確信しています。そして、自分を信じること、協力すること、一生懸命取り組むことが一人一人を遠くまで 導いてくれるのだと学びました。

また、ここで出会った人々と深い関係が築けたことについても触れたいと思います。異なる国や文化を持ちながらも、日本語という共通言語を通して、楽しい時も大変な時も 私たちはお互いに支え合ってきました。 公園で一緒に過ごした時や、金曜日の夜に居酒屋で遊んだこと、 そしてお台場や横浜、京都、沖縄、様々な場所を旅して、数えきれないほどの美しい思い出を作りました。

研修中は楽しいことだけでなく、辛い、悲しいと感じる瞬間もありました。 しかし、 そのような時でも、 私たちはお互いの中に支えをみつけ、 笑いと涙を分かち合いながら、共に乗り越えてきました。全てがかけがえのない瞬間だから、これからもこの思い出を大切にしていきます。 また再会するまでには時間がかかるかもしれませんが、 私たちの間に生まれた絆は距離よりもはるかに強いものだと信じています。

帰国後は、また教師として教える日々が始まります。大変なこともあるでしょう。ですが、これからそれぞれの道を進んでいく中で、時々、立ち止まって、この短い6か月の間、 私たちが確かにここに、この瞬間に共にいたことを思い出してほしいと思います。なぜなら、このセンターはただの研修場所というだけでなく、私たちにとって、もう一つの「ホーム」だからです。

最後に、私たちにもう一つの「ホーム」をくれた基礎研修をご担当の先生方、職員の皆様、研修の参加者のみんな、2クラスのみんなに心より感謝を申しあげます。これまで大変お世話になりました。このセンターで得たすべての経験に、感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました。
私のスピーチは以上です。ご清聴ありがとうございました。

3クラス

はぐみさん(ブイ ミ リン/BUI MY LINH/ベトナム社会主義共和国/アトランティック外国語センター)

はぐみさんの写真

皆さん、なぜ日本語の教師になりたいんですか?
よく聞かれる質問ですよね。この研修の間、私も毎日自分に問いかけていました。

私と日本語の出会いは、偶然でした。大学で科学をやりたかったけど、「向いていない」と言われました。その時、「言語だって科学じゃないか」と思ったんです。そんな偶然が重なって日本語の道に進んだら、世界がどんどん広がって、この研修もそのひとつです。

私は3クラスのメンバーです。最初はお互いのことをよく知らなくて、少し緊張した空気もありました。でも、一緒に過ごすうちに、どんどん打ち解けていきました。私はリーダーという役割ではなかったけど、クラスをもっと楽しくしたくて、勉強会やティーパーティーを始めました。5階のロビーに集まって、勉強したり、笑ったり、それぞれの国の話をしたり、気づいたら、私たちが仲良くしていました。

静かな人も、話すのが苦手な人も、みんなが少しずつ声を出せるようになっていくのを見て、嬉しかったです。エネルギーって、伝わるんだなと思いました。そんな時間を一緒に作ってくれた3クラスの皆さん、本当にありがとうございます。

先生方にも、たくさんのことを教えていただきました。文法演習の授業で「もらう・あげる」の教え方を学んだとき、本当に驚きました。こんな教え方があるんだ、って—あの瞬間のことは、今でもはっきり覚えています。先生方から受け取ったものは、これから自分の教室でずっと生き続けると思います。

センターのスタッフの皆さんも、いつも笑顔で43人の私たちを支えてくださいました。その姿も、私には大切な学びでした。

最初の質問に戻ります。なぜ日本語の教師になりたいんですか?この研修を終えた今、皆さんにはもう、自分だけの答えがあるんじゃないかと思います。私にも、あります。言語教育には、人の人生を変える力があると信じているからです。そのひとつひとつの答えを育ててくれたのが、この場所であり、皆さんでした。皆さんは、私の20代で最高の思い出をくれました。
本当に、ありがとうございました。

4クラス

ダニエルさん(ヒル フェラン アルベルト ダニエル/GIL FERRAN ALBERTO DANIEL/キューバ共和国/芸術大学)

ダニエルさんの写真

「教育は世界を変えるのではない。世界を変える人を変えるのだ。」
—— パウロ・フレイレ

この言葉を初めて聞いたとき、私は学生のことを思い浮かべました。

でも今は、この言葉は私自身のことでもあったのだと思います。私はここに来たとき、どこかで「もう教え方は分かっている」と思っていました。技術を磨けばいい、そう考えていました。けれど、違いました。PCPPを学び、理解したつもりになっていました。

しかし実際に授業を一から作ろうとしたとき、私たちは何度もぶつかりました。思うようにいかない。形にならない。何度もやり直す。

その中で初めて、本当の「学び」が始まりました。でも、変化はそれだけではありませんでした。ホームルームの前、カードで引いた言葉から、みんなで物語を作った時間。あのゴリラの話。そして別の物語では、なぜか全員がコーヒーを飲んでいて、教室は笑いに包まれました。あの笑いの中に、私たちは互いを受け入れ、支え合う力を育てていたのだと思います。

総合日本語で作った年表も、決して簡単ではありませんでした。意見がぶつかり、緊張が走ることもありました。それでも対話を重ねる中で、違いは分断ではなく、力になるのだと学びました。今日、私たちはここを離れます。胸が少し締めつけられるのは、ここで本当に大切な時間を過ごしたからです。6か月前の私たちは、もうここにはいません。
もし教育が、世界を変える人を変えるのだとしたら、この場所は、もう世界を動かし始めています。

なぜなら、私たちが変わったからです。そしてこれから、それぞれの教室で、それぞれの出会いの中で、この六か月の鼓動は、静かに、でも確かに、生き続けていきます。
心より国際交流基金に感謝申し上げます。 私たちを信じ、貴重な機会を与えてくださり、誠にありがとうございました。

専門性の向上だけでなく、人としての成長も支えてくださったことに、深く感謝申し上げます。

歓送会 研修参加者代表

アリファーさん(アリファー ディニ プトリ/ALIFAH DINI PUTRI/インドネシア共和国/パダン国立大学)

アリファーさんの写真

Japan Foundationの皆様、 埼玉県とさいたま市の皆様に、心から感謝しています。日本語の力を伸ばす機会だけでなく、日本語教育の方法について学ぶ機会、そして実際に日本で生活し、地域の方々と交流したり、いろいろな場所を体験したりする貴重な時間をいただきました。ここでの経験は、どれもとても印象深く、私にとって一番大切で意味のある「お土産」になりました。母国に帰っても、この経験を大切にしていきたいと思います。

日本に来たばかりのころ、私はあまり自信がありませんでした。特に会話が苦手で、自分の日本語がちゃんと通じるのか、とても不安でした。ほかの研修参加者の皆さんの日本語がとても上手で、そのレベルの高さに圧倒され、時々恥ずかしくなったり、緊張したりすることもありました。

でも、ここは競争する場所ではなく、一緒に学び、一緒に成長する場所でした。先生方の温かいご指導や、友だちの励ましのおかげで、少しずつ自信を持って話せるようになりました。また、学校訪問やいろいろな交流を通して、日本の教育や社会を実際に体験することができ、多くの気づきや学びを得ることができました。

そして、日本での生活の中で、私にとって一番心に残っている学びは、マイノリティとして過ごした経験です。インドネシアではイスラム教徒がマジョリティですが、日本ではマイノリティになります。ここで私は、自分のアイデンティティを大切にしながらも、相手を理解し、尊重することの大切さを学びました。考え方や背景は違っていても、人として分かり合える部分がたくさんあるということに気づきました。この経験は、これからの人生にとって、とても大切な宝物になると思います。

この6か月間、本当にたくさんの思い出をありがとうございました。ここで出会ったすべての皆さんに、心から感謝しています。皆さんのお名前を全部覚えられていないかもしれませんが、皆さんの笑顔はけっして忘れません。このご縁がここで終わるのではなく、これからも続いていくことを願っています。そして、ここで学んだことを、それぞれの場所でしっかり活かしていこうと思っています。

バイラーさん(シジルバートル シネバヤル/SHIJIRBAATAR SHINEBAYAR/モンゴル国/新モンゴル小中高一貫学校)

バイラーさんの写真

本日、お忙しいところ私たちのためにわざわざお越しくださいましたご来賓の皆様、心より御礼申し上げます。

半年とは長く感じていましたが実際にはあっという間でした。世界の20か国から来た43人の教師たちがさいたま市北浦和で多くのことを学び、感じることができました。

基礎研修のお陰で、数え切れない新しいことを経験しながら日本語の知識や教授法を高め、日本文化や歴史を実際に体験して、自分の視野を大きく広げました。私たちはこの研修で間違ったり、笑ったり、挑戦したり、文化の違いでぶつかった日々もあったけれども仲直りできたことは、知識だけではなくて、人間としての姿勢を学び、そして、他者を尊重することを理解できたと思います。

でも、ここで得た一番感謝していることは、出会いです。基礎研修や他の研修の教師たちと友達になって、嬉しく思いました。日本語国際センターは本当に平和のセンターのように感じられました。研修参加者の皆さん、このセンターで異文化を学びながら、共通の言葉である日本語で会話していることがどれだけ大切なのかを理解したでしょうか。

これから、代表として、感謝の言葉を伝えたいとおもいます。

まずは、私たちを温かく迎えてくださった、さいたま市の皆様、ご家庭でホームステイをさせていただいたご家族、小中高校の生徒や先生方々に感謝しております。

次に一番努力してくださった先生方やスタッフそして、センターの皆様の温かいお心遣いとご支援のおかげで、私たち43人は充実した日々を過ごせました。言葉では言い表せないほど感謝しております。

研修参加者の皆さん、ここで学んだことをそれぞれの国へ持ち帰り、心に刻んで前に進みましょう。

基礎研修参加者一同、心より感謝申し上げます。
本当にお世話になりました。

お問い合わせ

国際交流基金(JF)日本語国際センター
教師研修チーム
電話:048-834-1181 ファックス:048-834-1170
Eメール:urawakenshu@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角に変更してください。)