
国際交流基金日本語国際センター(以下、NC)は、2019年10月5日(土曜日)に第22回海外日本語教育研究会を開催し、1989年のNC開所以来、取り組んできた現職者教師研修の知見や、昨今の社会情勢を受けた新たな社会的取り組みについて報告しました。140名ほどの方に来場いただき、盛会となりました。
プログラム【PDF:1,344KB】は、全体会と分科会の2部構成で行いました。以下、本研究会の各発表・展示の概要をご報告します。なお、配布された資料や関連資料等もダウンロードできますので、併せてご参照ください。
NCで実施してきた、主にノンネイティブ日本語教師を対象とした研修の内容・方法をふり返った上で、今後、時代に合った教師研修を展開していくために何が必要なのか検討しました。その基礎資料として、欧州で開発された外国語教師の資質能力の枠組み等を概観し、日本語教師研修への適用可能性を探りました。アンケートでは「教育者に求められる資質・レベルが常に見直されていることを知り、参考になった」「ヨーロッパ言語共通参照枠(以下、CEFR)だけでなく、欧州で開発されている様々な枠組みを比較しながら見ることが大切だと思った」といった声が寄せられました。
配布資料:
当日提示PPT:全体会「日本語教師研修のこれまで・これから」【PDF:2,208KB】
当日配布資料:全体会資料【PDF:681KB】
「展示/ポスター発表」、「口頭発表」、「カフェ・展示・体験コーナー」の3つを並行して開催しました。それぞれの分科会では、来場者と発表者の間で活発な意見交換が行われました。
「分析的視点や自律性を重視した文法授業(中・上級)の実践」(木田真理・山本実佳)
会場では、授業で使ったハンドアウトや研修参加者が課題にそって作成した成果物などを展示し、それらに関する具体的な質問が多く寄せられました。
関連資料:「長期研修Bコースにおける文法授業のシラバス作成—JFSとの関連性からの再考—」(2016年度上半期 調査研究プロジェクト報告書)
「日本語をことばとしてとらえる授業—世界言語の一つとして—」(生田守)
今回の研究会では、授業の概要やシラバス、作成した教材などを展示しました。
「『言語=道具』なの?」、「コミュニケーションに言語は必要か?」、「文法って本当にあるのだろうか?」というようなテーマで来場者の方と有意義かつ楽しいやりとりをしました。
関連資料:生田守(2019)「海外日本語教師向け『文法』授業の構築」『マテシス・ウニウェルサリス』20(2), 197-211.
※報告書を「JF日本語教育スタンダードサイト」で公開いたしました。
来場者が語り合う場として、カフェを用意しました。展示を見に行く合間に、カフェでくつろいだり、「日本語教育で人と社会をつなぐ」という今回のテーマについて、コメントを書いたりしていただきました。来場者の方と現在、NCで開催されている研修の参加者がお互いの日本語教育機関について語り合う姿も多く見られました。
国際交流基金日本語国際センター
教師研修チーム
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