第10回海外日本語教育研究会 報告 第2部 タイ国中等教育用日本語教科書『日本語 あきこと友だち』作成 その1

プラパー・セーントーンスック
前田綱紀

1.背景説明

1)概要(略称 JF:国際交流基金、JFBLC:旧バンコック日本語センター、NC:日本語国際センター)

西暦年 教科書執筆委員会の動き タイ(教育省・JFなど) 日本(JF)
1991年   バンコック日本語センター
開設
 
1994年 5月   中等教育新規養成プロジェクト開始(教育省+JFBLC)  
1996年 4月     第1回タイ中等教員訪日研修実施(NC)
1998年 10月   大学入試に日本語が入る  
1999年 3月     『教科書を作ろう』完成(NC)
6月 教科書作成調査出張(日本語課)
10月 教科書作成計画を基礎に体制構築会議開催(JF)  
11月 作成体制協議(教育省+JF)
2000年 2月 教科書執筆委員会結成
教科書専任派遣専門家着任
教科書作成開始 (教育省)  
4月 <全体構成作成>   アドバイザー出張
8月   監修者出張
10月 合宿会議<1巻検討・2巻準備> アドバイザー出張
2001年 2月   新指導要領、公布・実施? 監修者出張
3月 試用校向けセミナー
合宿会議<2巻検討・3巻準備>
アドバイザー出張
5月 試用開始  
8月   監修者出張・教育省表敬訪問・高校見学
アドバイザー出張
10月 合宿会議<3巻検討・4巻準備>  
2002年 3月 合宿会議<4巻検討・5巻準備>   アドバイザー出張
監修者出張
5月 試用校会議  
8月   監修者出張
10月 合宿会議<5巻検討・6巻準備> アドバイザー出張
2003年 3月 合宿会議<6巻検討>   アドバイザー出張
?月 印刷・出版会社決定
FBによる原稿修正~
 
2004年 2月 専任派遣専門家離任
執筆委員会長マレーシアセミナー
   
3月 完成記念セミナー 新規プロジェクト9期で終了  
4月   JF機構改革によりBLCとBCCがJFBKKに  
5月 1・3・5巻市販開始   JF機構改革
10月 2・4・6巻市販開始    
  • 特徴1:『教科書をつくろう』を活用して練習問題などを作成
  • 特徴2:コミュニケーション重視の観点から各課の機能を明示何ができるようになるかを明確に

2) 教育省の二つの計画 「第8次教育の質を高めるための計画1999−2003年」

  1. (1) 国家、国土の繁栄のために、世界に通用する人材を輩出する高い価値の効率のいい教育
  2. (2) そのために外国語学習を促進し、学習者がタイ語と共に外国語も使いこなせる

3) 教育省普通教育 「日本語教育開発計画局1998−2001年」

  1. (1) 日本語教育の拡大
  2. (2) 日本語教師数の増大
  3. (3) 教育の質の向上
  4. (4) 教師、教育指導主事の語学知識や能力、教授力、評価力を高め、より効率のいい授業を達成
  5. (5) 標準的な教授法の確立
  6. (6) 時代に合った教材の開発

4) 教科書作成計画始動

1999年 日本語国際センターの専任講師を派遣し現状調査

  1. (1) 現地の日本語教育事情及びニーズ
  2. (2) 国際交流基金(以下「基金」)として可能な支援とその体制

2000年 第1回教科書作成会議で作成体制が確定