第18回海外日本語教育研究会
「JF日本語教育スタンダード」を活用した評価 ‐その実際と課題‐
2013年3月2日(土曜日)に、第18回海外日本語教育研究会「JF日本語教育スタンダードを活用した評価−その実際と課題−」が、60名以上の参加者を得て日本語国際センターのホールで開催されました。2010年の「国際交流基金日本語国際センター20周年記念シンポジウム JF日本語教育スタンダード−その活用と可能性−」、2011年の「Can-doに基づいた授業の組み立て−JF日本語教育スタンダードを利用して−」、2012年の「JF日本語教育スタンダード準拠教材『まるごと 日本のことばと文化』−その理念と概要−」に続き、本研究会でJF日本語教育スタンダードに関連するテーマを取り上げるのは今回で4回目となります。
当センターの西原鈴子所長による開会挨拶に続き、第一部ではJF日本語教育スタンダードの理念と概要について説明した後、日本語国際センターのノンネイティブ日本語教師を対象にした多国籍短期研修において実施している評価の全体像およびポートフォリオ、日本語関連科目「総合日本語」における自己評価とパフォーマンス評価について紹介しました。具体的には、研修の開始時と終了時に行う自己評価でどのように俯瞰的に日本語運用力を評価するかについて紹介し、「自己評価チェックリスト」の内容・形式や作成方法についても説明しました。また、授業でのパフォーマンス評価として行っている口頭発表の評価ついて、評価の観点や評価シートによる達成度チェックの方法について紹介し、実際の発話サンプルを聞いていただきました。
第二部では海外の事例として、ケルン日本文化会館の作成および日本語非母語話者教師向けに行ったワークショップで得られた効果や今後の課題について報告しました。
質疑応答では、「ボランティア教室やプライベートレッスンなど必ずしも評価を必要としない現場でも評価を取り入れることができるか」、「異文化理解能力はどのように評価するべきか」、「自己評価チェックリストのフィードバックはしているか」、「文型シラバスの教科書を使っている授業で課題遂行を目標とし評価する方法についてアドバイスがあれば」など、具体的な評価の方法や内容についての質問を受け、より実践的な情報交換や意見交換が行われました。
終了後のアンケートでは、「JFスタンダードの活用の方法が具体的にわかった」、「課題遂行能力の評価をどのように行うのか、具体的にわかった」、「目標→授業→評価の一貫性という大きなテーマに意識を持つことができたが、これを実現できる職場は多いわけではないところに歯がゆさを感じた」、「海外の事例発表がイメージしやすく、参考になった。自分でもできそうに感じた」、といったコメントが寄せられました。
なお、当日は、日本語国際センターにおける多国籍短期研修の評価に関連する資料として、自己評価チェックリストや口頭発表の評価シート、ポートフォリオや研修の全体マップなどをホール内に展示しました。また、図書館を開放し、JF日本語教育スタンダードやCEFRに関連する資料、言語テストやOPI関連図書を展示しました。
当日のプログラムと資料
- 13:00
- 開会の挨拶
西原鈴子(日本語国際センター所長) - 13:10―14:20 第一部
- 日本語国際センターのノンネイティブ教師研修における評価デザイン−多国籍短期研修の場合−
古川嘉子、白井桂、根津誠(日本語国際センター専任講師) - 14:50―15:50 第二部 海外における日本語教育
- ①ケルン日本文化会館の事例−一般日本語講座における課題遂行能力を測るテストの作成−
磯村一弘(元ケルン日本文化会館派遣日本語上級専門家、日本語国際センター専任講師) - ②タイの中等教育の事例
−『あきこと友だちCan-doハンドブック』を用いた口頭コミュニケーション能力の評価−
渋谷実希(元バンコク日本文化センター派遣日本語教育専門家、東京大学教養学部PEAK非常勤講師、一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任講師) - 16:00-16:30
- 質疑応答(全体)
- 16:30
- 閉会
日本語国際センター所長挨拶
講演の様子(第一部)
講演の様子(第二部)
質疑応答の様子
ホール展示の様子
図書館での関連資料展示