宮崎から世界へ、世界から宮崎へ
――創作ダンスが生み出すノンバーバルな交流
NPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTER
2024年度地球市民賞受賞
代表理事 野邊壮平
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2024年度地球市民賞 授賞式
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2024年度地球市民賞 授賞式会場にて記念写真
Photo by Nishi Junnosuke
「地球市民賞」受賞後の変化
―アーティストには表現以外にも役割がある―
ダンスカンパニー「んまつーポス」(※)として活動を続ける中で、元いわき芸術文化交流館アリオス支配人の大石時雄氏から、「アーティストには表現以外にも役割がある」という言葉をいただいたことがあります。一方で、「アーティストなのだから作品制作に専念すべきではないか」という声をいただくこともありました。私たちは葛藤しながらも、アーティスト活動に加え、地域との関係づくりや子どもたちとの活動など、“表現を取り巻く環境を育てること”にも力を注いできました。「国際交流基金地球市民賞(以下、地球市民賞)」受賞は、そうした私たちの実践に光を当てていただいた出来事でした。受賞後は、「アーティストには表現以外にも役割がある」という考えを、より明確に、社会に向けて発信できるようになりました。
また、若い世代のアーティストから、「地域と関わる活動を始めてみた」という声を聞く機会も増えました。受賞をきっかけに、文化活動のあり方についての選択肢が広がっていることを実感しています。
さらに、周囲の方々から「んまつーポスの活動を紹介しやすくなった」と言っていただくことも増えました。受賞が一つの指標となり、県内外から新たな相談や依頼をいただく機会も生まれています。地球市民賞の存在が活動の信頼性を高め、ネットワークを広げる後押しとなっています。
※ダンスカンパニー「んまつーポス」
2006年、宮崎大学舞踊学研究室から生まれた創作ダンスカンパニー。「逆さから物事を考えることで新たな価値を創造する」をコンセプトに、身体を通じた実践的研究を展開。カンパニー名も「スポーツマン」の逆さ読み。2008年にNPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTERを設立し、地域に“アーティスティックな身体活動”と“きらめくダンス体験”を提供している。

Photo by Nishi Junnosuke
受賞を活かした取り組み
―国際ダンスフォーラムの開催―
2025年6月に開催した「第3回 空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」の一環として、宮崎大学(錦本町ひなたキャンパス)にて、国際ダンスフォーラム「ダンスの未来 ― ネイティブコンテンポラリーな子どもたち」を実施しました。これは、地球市民賞受賞を記念した企画です。
本フォーラムには、地球市民賞の副賞を活用し、海外から二人のゲストを招へいしました。一人目は、2008年にんまつーポスの初海外公演を企画してくださったエストニアのダンスカンパニー「Fine 5 Dance Theatre」主宰のRenee Nõmmik 氏。二人目は、私たちの劇場のモデルとなった、ルーマニアの「子ども青年劇場GONG THEATRE」芸術監督のAdrian Tibu氏です。地方都市で活動を続けていた私たちにとって、この二人との出会いは、国際的な視野を得る大きな契機であり、海外での創作上演活動、劇場の開設、みやざき国際ダンスフェスティバルの開催などといった私たちの国際交流活動の出発点です。今回の招へいは、Renee Nõmmik氏とAdrian Tibu氏をいつか宮崎にお呼びしたいという私たちの長年の願いが実現した瞬間でした。
具体的に、本フォーラムでは「ダンスの未来」をテーマに掲げ、地域社会との関係構築、子どもたちとの創作のあり方、文化が社会に果たす役割などについて議論を行い、異なる文化的背景や立場を持つ参加者が率直に意見を交わす場となりました。海外ゲストからは、本フェスティバルが年齢や文化を越えた人々を結びつける場であること、教育や成長を重視する姿勢が印象的であったことなどの評価をいただきました。
本フォーラムは、私たちのこれまでの実践をあらためて検証する機会となり、今後の活動の展開を考える上でも重要な示唆を与えてくれました。副賞は、国際的な対話を深化させる具体的な機会へとつながりました。
国際ダンスフォーラムの様子
Photo by Nishi Junnosuke
今後の活動
―創作ダンスの聖地を目指して―
2026年夏、「国際子どもダンスキャンプ」を宮崎市で開催します。このプログラムは、2018年に香港のダンス界を牽引するダンスカンパニー「Unlock Dancing Plaza」と協働でスタートし、2025年には韓国の済州島を舞台に「日韓国交正常化60周年記念事業」として開催しました。韓国と日本の子どもたちが済州島で出会い、言葉に頼らず身体で対話するワークショップを実施することができました。先日、韓国のディレクターから、「宮崎開催には、韓国だけでなく台湾や香港の子どもたちも誘いましょう!」と連絡があり、今年の夏はこれまで以上に多様な背景を持つ子どもたちが集うキャンプになりそうです。
そして今、もう一つ構想している企画があります。国や文化的背景の異なる若手アーティスト9名(各国・各地域3名ずつ)が宮崎に滞在し、3組の混成チームで創作ダンスに挑むプロジェクトです。舞台となるのは、私たちの劇場「透明体育館きらきら/国際こども・せいねん劇場みやざき」。限られた時間と条件の中で対等に協働し、試行錯誤を重ねながら作品を立ち上げます。創作過程も一般公開し、お散歩中の保育園児や学校帰りの小学生がふらりと劇場に立ち寄れる環境をつくることで、地域の人々が完成を心待ちにする、そんな創作の風景を生み出します。
さらに、地域の家庭で夕食を囲むなど、生活の時間も分かち合いながら日常の中で関係を育み、地縁血縁を越えて地域全体で若手アーティストの挑戦を応援する関係を築いていきます。そして、宮崎で生まれた作品が、また別の国や地域で再演され、新たな出会いの中で育ち、再び宮崎へ還ってくる。消費されるのではなく、循環し成熟していく作品を生み出すことが目標です。
実現も継続も、私たちの熱量にかかっています。宮崎と「透明体育館きらきら/国際こども・せいねん劇場みやざき」を“創作ダンスの聖地”にする。その夢があるからこそ、私たちは宮崎にいながら世界とつながり続けます。
韓国・済州島での「国際子どもダンスキャンプ」の様子
Photo by Nishi Junnosuke
NPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTER(宮崎県)
2024年度地球市民賞受賞
代表理事 野邊壮平
略歴
宮崎県宮崎市出身。宮崎大学で創作ダンスと出会う。2006年、児玉孝文とダンスカンパニー「んまつーポス」を結成(2010年に豊福彬文が加入)。2008年、NPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTERを設立。同年、エストニアで初の海外招聘公演を経験し、以降、地域と世界をつなぐ活動を展開する。2015年、国際交流基金プログラムでルーマニアのロマの子どもたちとのアート実践を行う。2017年、文部科学省EDU-Portニッポン採択を機に、日本型教育「創作ダンス」の海外展開を進める。2019年、地域の保育園と連携し、「透明体育館きらきら/国際こども・せいねん劇場みやざき」をオープン。2023年、「空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」を立ち上げる。2024年度国際交流基金地球市民賞受賞。

Photo by Nishi Junnosuke
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