事業評価への国際交流基金の取組み
国際交流基金は、社会への説明責任を果たすため、及び、事業内容の改善のため、という二つの目的のために、自らの事業の評価を行なっています。
プログラム評価とプロジェクト評価
国際交流基金の事業は、法律により定められる目的を達成するために、事業の種類(「プログラム」とよばれます)ごとに決められた目的、事業形態、規則に従って運営されています。平成20年現在、国際交流基金には全部で70種類以上のプログラムがあります。
たとえば、日本文化紹介派遣、海外日本語講座助成、日本研究フェローシップ、などといった様々なプログラムが集まって、国際交流基金の事業活動全体を構成しています。
そして、各プログラムごとの目的、形式、ルールの中で、多くの個別の事業案件が毎年度決定され実施されます。この一つ一つの実施案件のことを「プロジェクト」とよんでいます。
国際交流基金の事業評価では、原則として全てのプロジェクトについて何らかの評価を行ない、その上でプロジェクトの集合であるプログラムの単位での評価を行ないます。
国際交流基金の事業評価の流れ
国際交流基金の事業評価の流れをおおまかに説明すれば次のようになります。
なお、(1)~(9)は国際交流基金自らの評価制度による評価、(10)・(11)は独立行政法人制度で定められた評価プロセスです。
- (1)翌年度実施予定のプログラムを決定。それに基づき、海外及び国内から具体的事業の要請や企画を集め、公募プログラムの場合は応募要領(プログラム・ガイドライン)を公表・配付して申請を募集。
- (2)各種の案件(プロジェクト)の要請、申請(公募の場合)及び企画についての、必要性・有効性・効率性等の事前評価
一部のプログラムでは、この段階で外部の専門家に評価意見を求めたり、審査に参加してもらっています。 - (3)事前評価の結果と予算を考慮の上、実施する案件(プロジェクト)を決定。
- (4)プロジェクト実施後、事後評価のためのデータを収集。
- (5)実施担当部署による各プロジェクトの事後評価
- (6)毎年度終了時、各プロジェクト評価結果を踏まえて、実施担当部署によるプログラム自己評価
- (7)基金が依頼した外部専門家の眼によるプログラム評価
- (8)前年度事業全体についての基金の自己評価案作成
- (9)国際交流基金の評価に関する有識者委員会に、前年度業務の基金自己評価案を諮り、外部有識者の意見を聴取、反映
(この有識者委員会の評価は、基金が、自己評価の妥当性をチェックするために独自に識者に依頼する評価です。) - (10)外務省独立行政法人評価委員会及び政策評価・独立行政法人評価委員会による外部評価
(両委員会の評価は、法律に基づき行われる外部評価です。) - (11)評価結果に基づいて事業の方針・方法の見直し、プログラム設計の見直し
個別事業の集中的な評価
上に述べたサイクルの評価は、全事業プログラム、全案件を、毎年度まんべんなく評価する制度ですが、それとは別に、特定の重要プロジェクトや、一定年数経過後のプログラムについて、集中的な評価を行なうことがあります。
これは、国際交流基金が、事業の継続の是非や、継続する場合の改善点を判断するために行なう評価です。
国際文化交流の評価手法に関する研究
国際文化交流事業の評価においては、その性質上、効果の測定に次のような問題があります。
- 外交上の効果も、文化的・精神的な効果も、数量化が困難である。
- 文化交流事業の真の効果は長期的に現れるものであり、年度毎の評価では捉えきれない部分が多い。
基金の事業評価では、定量的評価と定性的評価との組み合わせ、また、中長期的な効果・影響が確認できた事例を収集するなどの手法を用いていますが、文化交流事業の事業評価手法は国際的にも未確立の分野です。
国際交流基金では、より客観的かつ総合的に事業の成果を評価できる方法の開発を目指し、関係分野の研究者と共同して、文化交流の事業評価手法開発のための調査研究も行なっています。
これまでの研究の報告
「国際文化交流の評価手法開発研究中間報告書 -国際交流基金の韓国事業を対象とする一次調査について」 【PDF:12.2MB】