国際交流基金賞50周年記念 日本美術・技術博物館 Manggha(クラクフ)からのメッセージ

平成9(1997)年度 国際交流奨励賞
日本美術・技術博物館 Manggha(クラクフ)
[ポーランド]
国際交流基金賞50周年を祝して
日本美術・技術博物館Mangghaは、設立からわずか3年後の1997年に、栄えある国際交流奨励賞を受賞しました。この受賞は、当館にとって非常に価値あるもので、ポーランドにおける日本の美術や技術の紹介・普及への揺るぎない取り組みの土台となりました。

「クラクフに日本の博物館」の構想は、フェリックス・「マンガ」・ヤシェンスキの日本美術コレクションの恒久的な収蔵場所を用意するための、アンジェイ・ワイダ監督の市民としてのイニシアティブから始まりました。それは同時に、日本とポーランド両国民の活力ある文化交流の拠点となることも目指しました。この構想は、創設者の寛大さと日本社会の献身的な支援、ポーランドおよび日本両政府の協力によって、実現したのです。
ここ30年近くの間に、当館は数々の特徴ある展覧会、数えきれないほどの交流事業、パフォーマンス、プレゼンテーション、そしてワークショップを開催してきました。博物館の施設も時の経過とともに拡充され、1999年には美しい庭園に囲まれた裏千家茶室が、その後2004年には日本語学校が、続いて2015年には欧州極東ギャラリーが設置されました。
日本語学校では、継続的な際交流基金の助成を受けて、総合的な日本語教育と書道の講座を実施しています。また、やはり基金の助成により創設期に拡充された専門図書館は、現在では6,000冊を超える圧倒的な蔵書数を誇り、一般読者や研究者に利用されています。
児童や青少年に向けた教育プログラムも実施しています。とはいえ、この 「Manggha」館の主要な役割は博物館としての存在にまつわるものです。古代から現代までの美術を紹介する注目すべき展覧会が、クラクフで開催されるだけでなく、ポーランド国内外を縦横に巡回し高い評価と賞讃を得ています。こうした企画の多くは、国際交流基金の公募プログラムを通じた助成のおかげで実現したものです。
当館は設立当初から独自の美術品コレクションを着実に収集し、異文化対話を推進する活力ある21世紀の施設としての「Manggha」館の本質を体現してきました。また、充実した出版活動にも積極的に関わっています。
ゆるぎない信念をもって、1997年に国際交流奨励賞を受賞して以来、当館は約束どおり期待に応え、ポーランドと日本をつなぐ要となる拠点としての地位を確かなものにしてきたとの自負があります。
国際交流基金50周年にあたり、栄誉を受けるに相応しい基金の国際的な貢献と支援に深くお礼申し上げます。永続的なパートナーシップやアドバイス、着実な取り組み、そして素晴らしいプログラムの実施に対する感謝と敬意をこめて、この言葉をお贈りします。
並ぶものがない国際交流基金という機関が、この先の50年も成長を続け、尽きせぬインスピレーションの源となり、成功を収め続けるよう願っています。基金の存続と発展に関わるすべての方に、心からのお祝いを申し上げます。
紫の蝶が今後も私たちの頭上を自由に舞い続け、夢の実現に導いてくれることを願って。
日本美術・技術博物館Manggha
館長 カタジナ・ノバク
(原文 英語)
※ 受賞団体「クラクフ日本美術技術センター」は、組織変更により2007年より「日本美術・技術博物館Manggha」となりました。