国際交流基金賞50周年記念 ワルシャワ大学東洋学部日本学科からのメッセージ

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平成14(2002)年度 国際交流奨励賞

ワルシャワ大学東洋学部日本学科

[ポーランド]

このたび国際交流基金賞の記念すべき年を迎えられ、心からお祝い申し上げます。国際交流基金によるポーランドでの日本語教育や研究の発展への継続的なご支援に加えて、日本語学習用教材や日本文化の諸分野の研究に必要な書籍の購入に対する特に寛大な助成をいただきましたことに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、国際交流基金の非常に重要な貢献として、中・東欧における日本についてのセンター的機関の代表者会議を組織してくださり、そのおかげで私たちは研究プログラムや研究成果に関する情報を共有することができました。博士課程の学生たちは、上級研究員が彼らの博士論文のコンセプトを審査する国際交流基金主催のワークショップを高く評価していました。これは彼らにとって、自分たちのプレゼンテーションをもとにした発表論文を、やはり基金が主催する権威ある出版物に掲載する素晴らしい機会でもありました。巡回レクチャープログラムも非常に有益でした。このプログラムにより、他の中・東欧諸国の専門家を連続講義に招待することができ、わが校の学生に提供できる内容をより充実させることができました。そうした国際交流基金主催の日本文化関連イベントや、私達の地域の研究者が学位を取得できた奨学金の数々を、ここにすべて列挙することはとてもできません。ワルシャワ大学日本学科のスタッフを代表して、改めて心より感謝の意を表します。

ワルシャワ大学東洋学部日本学科
学科長 アグネスカ コズィラ

(原文 英語)


国際交流基金賞創設50周年に当たり、心からお祝いを申し上げます。

私どもワルシャワ大学東洋学部日本学科が「国際交流奨励賞」を受賞したのが2002年です。教官、学生一同非常に光栄と思うと同時に誇りにしています。私ども日本学科は、1919年にワルシャワ大学に日本語講座が開設されたことに端を発します。以後今日まで104年間にわたりポーランド国内での日本語教育と日本文化普及に努めてきました。現在は15人の教官が200名ほどの学生の教育に当たっています。

国際交流基金が設立された1972年頃を振り返ってみますと、当時ポーランドは社会主義国として東側陣営に属し、社会的、物質的にも種々の制限を受け、日常生活もかなり不自由な状況でした。そんな中でも国際交流基金は日本語教材支援や図書寄贈などの活動を通して日本学科を支えてくださいました。特に社会主義が終焉を迎える1980年代には大学の教育環境が著しく悪化し、物質的には板書に使うチョークや論文を書くタイプ用紙などにも事欠く事態となり、大学全体の財政も行き詰まり、日本語学習用の教科書や辞書は言うまでもなく、研究用の図書すら全く購入できない状態にありました。そんな危機的状態の中で、国際交流基金から届く教材や研究書籍が唯一の救いでした。

東洋学部には15学科ありましたが、そのような恩恵にあずかった学科は私たちだけだったと思います。これらの恩恵のおかげで、現在ワルシャワ大学全学部全学科の中では、入学時の競争率でここ10年以上日本学科が首位を占め続けています。大学当局も看板学科として大いに自慢しているところです。

その後、ポーランドにとっては革命とも思われた1989年の自由民主化を迎え、社会主義崩壊でポーランドは西側諸国の一員となりました。それを機に国際交流基金との関係も西側諸国と同格になり、例えば「成績優秀者日本招待プログラム」や「日本語教師研修プログラム」などへの参加も可能になって、日本との距離が大幅に縮んだのを実感しました。その他多くのプログラムに助けられ、私たちワルシャワ大学日本学科の今日があります。

国際交流基金発足当初から教材援助、図書寄贈などの物的支援もさることながら、社会主義、自由主義時代を通して地球の裏側にある私たちワルシャワ大学日本学科の存在を意識して援助してくださった国際交流基金による精神的支えは、教官にも学生にも計り知れない勇気と励みになっています。ちなみに私たちワルシャワ大学日本学科からビエスワフ•コタンスキ(1990年)、エヴァ・ルトコフスカ(2019年)の二人が「国際交流基金賞」を受賞しました。

今後もポーランドにおいて日本語教育、日本文化の普及、そして日本学者を育てる努力を続けていく所存です。日本とポーランドの大きな懸け橋となる国際交流基金と私たちワルシャワ大学日本学科との関係がこれからも大きく発展して行くよう祈ってやみません。

国際交流基金のさらなるご発展とご活躍を心からお祈りしています。

ワルシャワ大学日本学科上級講師
教授 岡崎恒夫

(原文 日本語)

※受賞団体「ワルシャワ大学 東洋研究所 日本韓国学科」は、国際交流奨励賞受賞後、組織名が現在の「ワルシャワ大学東洋学部日本学科」に変更となりました。

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