国際交流基金賞50周年記念 アンドレイ・べケシュさんからのメッセージ

アンドレイ・べケシュさんの写真

平成29(2017)年度 国際交流基金賞

リュブリャナ大学名誉教授(日本研究)

アンドレイ・べケシュ

[スロベニア]

国際交流基金賞50周年記念メッセージ

50年前の1973年、大阪大学大学院の学生だった私は数学の修士論文の準備をしていました。文系の友人達からその前年に、文化交流と国際理解の推進を目的として、国際交流基金という面白い機関が新たに設置されたという話を聞きました。当時は、44年後の2017年に私自身が、日本研究の分野での活動により国際交流基金賞の受賞者の一員に加わることになるとは夢にも思いませんでした。

映画監督の黒澤明、日本学者のドナルド・キーン、詩人の谷川俊太郎をはじめ、多くの著名人と同じ賞を受け光栄であると同時に、恐縮もしています。受賞は個人の功績である場合もあれば、受賞者が所属する組織の貢献が高い評価につながる場合もあることを、忘れないようにしています。

私が学科長をした所属先、リュブリャナ大学文学部アジア研究学科の日本研究講座にとって、国際交流基金は極めて重要な役割を果たしてきたと言わねばなりません。スロベニアにおける日本研究の黎明期において、指導教員、教材、図書館の蔵書や日本国内の提携大学との人的交流などへの支援がなければ、研究の進展と成長が大幅に遅れていたでしょう。こうした支援や私たちの研究に対する評価のおかげで、日本研究講座は着実に発展し、それに応じて学生の数も増えました。約10年後には、日本研究は文学部で最も人気のある専攻のひとつとなり、こうした環境下で私たちは第14回ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)国際会議を参加者全員が満足できる形で成功させることができました。

私たちのケースは、国際交流基金が日本研究に関わるアカデミアに提供している素晴らしい支援のほんの一例に過ぎません。同時に、日本と世界各国の文化がともに集う文化交流も、国際交流基金が精力的に携わっており国際理解および国際平和に貢献している分野です。

国際的な摩擦が激しくなっている今、国際交流基金の貢献には計り知れない重要性があります。なかでも国際交流基金賞は、基金の崇高な目標への個人と団体の貢献を称える素晴らしい方法です。

この場を借りて国際交流基金賞50周年をお祝いするとともに、この賞をはじめとする国際交流基金の活動に対する理解と支援が今後さらに進むよう願っています。

ベケシュ・アンドレイ

(原文 英語)

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